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同一労働同一賃金 法改正 労働者派遣 働き方改革

同一労働同一賃金ガイドラインと法律や法改正の関係

先週まで、同一労働同一賃金ガイドラインの中味について一通り解説してきましたが、そもそも「同一労働同一賃金ガイドラインとは何か」という記事を書いてなかったので解説。

「そもそも」な話の割には、そこそこ小難しい話なので、手っ取り早くガイドラインの内容を知りたい方は、以下の記事で解説しているのでよろしければそちらを。

同一労働同一賃金ガイドラインにみる「基本給」の考え方

同一労働同一賃金ガイドラインにみる「賞与」の考え方

同一労働同一賃金ガイドラインにみる「諸手当」の考え方

同一労働同一賃金ガイドラインにみる「福利厚生・その他」について

同一労働同一賃金ガイドラインにみる「労働者派遣」について

同一労働同一賃金と「罰則」の話

 

「短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針」

同一労働同一賃金ガイドラインとは正式名称を「短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針」といいます。

「短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者の不合理な待遇の禁止等」とあるように、内容は「正規と非正規の格差是正」がメインで、「正規同士」や「雇用者とフリーランス」の「同一労働同一賃金」には一切触れていません。

また、あくまで指針であるため、法的な拘束力はありません。

ただし、近年ではこの同一労働同一賃金ガイドラインの内容に近い判例が次々と出ているため、その内容を無視することはできません。

 

短時間・有期雇用労働法(現・パートタイム労働法)と労働者派遣法の改正

ここで一旦、同一労働同一賃金ガイドラインから離れて、短時間・有期雇用労働法(現・パートタイム労働法)と労働者派遣法の改正の話をしたいと思います。

働き方改革における日本型同一労働同一賃金のため、短時間・有期雇用労働法(現・パートタイム労働法)と労働者派遣法の改正も行われています。

その法改正の詳しい内容は以下のリンク先で過去に記事にしているので省略しますが、日本型同一労働同一賃金において重要なのが改正後の短時間・有期雇用労働法8条と改正後の労働者派遣法30条の3です。

同一労働同一賃金のためのパートタイム労働法改正の概要(施行は原則平成32年(2020年)予定)

派遣労働者の同一労働同一賃金を目指す労働者派遣法の改正の概要(施行は平成32年(2020年)予定)

 

これらの条文にはそれぞれ「通常の労働者と短時間・有期雇用労働者の不合理な待遇格差の禁止」「派遣先の通常労働者と派遣労働者の不合理な待遇格差の禁止」が定められています。

以下はその条文内容です。

短時間・有期雇用労働法8条(不合理な待遇の禁止等)

事業主は、その雇用する短時間・有期雇用労働者の基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、当該待遇に対応する通常の労働者の待遇との間において、当該短時間・有期雇用労働者及び通常の労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度( 以下「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情のうち、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められるものを考慮して、不合理と認められる相違を設けてはならない。

 

労働者派遣法30条の3(不合理な待遇の禁止等)

派遣元事業主は、その雇用する派遣労働者の基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、当該待遇に対応する派遣先に雇用される通常の労働者の待遇との間において、当該派遣労働者及び通常の労働者の職務の内容、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情のうち、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められるものを考慮して、不合理と認められる相違を設けてはならない。

 

正規と非正規の待遇の格差が不合理かどうかの判断基準

正規と非正規の待遇の格差が不合理かどうかをどのように判断するかというと、法律でも定められている以下の3つの要素を基に判断します。

  • 職務の内容
  • 職務の内容及び配置の変更の範囲
  • その他の事情

つまり、正規と非正規のあいだで待遇に差があっても、「職務の内容」や「職務の内容及び配置の変更の範囲」が異なり、その異なる内容に応じた差なら問題ないというわけです。

また、「その他の事情」としてはその労働者が定年退職後の嘱託社員で年金がもらえるかどうか、を判断材料とした最高裁の判例があります(長澤運輸事件)。

 

同一労働同一賃金ガイドラインとは「改正後の短時間・有期雇用労働法8条と改正後の労働者派遣法31条」に関する指針

ただ、上記の3つを基に判断するといっても、例えば基本給や諸手当について、具体的にどのような差なら問題ないのか、というのは判断が難しいかと思います。

そのため、同一労働同一賃金ガイドラインでは正規と非正規に関する基本給や諸手当の決定等の指針が示されています。

つまり、同一労働同一賃金ガイドラインとは「改正後の短時間・有期雇用労働法8条と改正後の労働者派遣法30条の3」について、具体的にどのように考えれば良いのか、というための指針なわけです。

その名称から、同一労働同一賃金達成のためのマニュアルのようにも受け取れますが、必ずしもそうではないということです。

そうしたマニュアル的なものを求めるのであれば、厚生労働省が今年1月に公表したこちらのパンフレットを使用するのが良いでしょう。

パートタイム・有期雇用労働法対応のための取組手順書(出典:厚生労働省)

 

改正法の施行時期ととガイドラインの適用時期は同じ

短時間・有期雇用労働法(現・パートタイム労働法)と労働者派遣法の施行は、原則2020年4月1日ですが、中小企業については短時間・有期雇用労働法のみ施行が2021年4月1日からとなります。

同一労働同一賃金ガイドラインの施行時期もこの法改正時期と同一となります。

つまり、同一労働同一賃金ガイドラインの短時間・有期雇用労働者に関する部分は大企業では2020年4月1日から、中小企業では2021年4月1日から。そして、派遣労働者に関わる部分については企業規模にかかわらず2020年4月1日からとなります。

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名古屋の社労士事務所、川嶋事務所の代表で、このブログの筆者。 新しいこと、もの、特にIT関連が大好きで、社労士としては会社・労働者のITトラブル対策・就業規則作成が得意分野。 著書に「「働き方改革法」の実務(日本法令)」の他、「ビジネスガイド」「SR」への寄稿、中日新聞での「働く人を守る労働保険」を連載など執筆活動もしてます。