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働き方改革

同一労働同一賃金のガイドライン案を見るに、賃金の決定について政府はかなり口うるさそうという話

バランス取れてる?

働き方改革の目玉の一つである「同一労働同一賃金」。

これにまつわる法改正の予定についてはすでにこちらの記事で紹介・解説させていただきました。

「同一労働同一賃金」で改正される法律とその方向性とは?

今回の「同一労働同一賃金」では法改正の他に、法改正の参考にすべく同一労働同一賃金ガイドライン案、というものも作成されています。

実はこのガイドライン案、これまでの類似のガイドラインと比べて、会社に対して「大きく踏み込んで来ている」ものとなっているため、今日はその解説。

 

賃金の決定について踏み込んできている

どう大きく踏み込んできているかというと、それは企業の賃金の決め方に関してです。

同一労働同一賃金、という世間的には目新しい言葉が先行しがちですが、今回の同一労働同一賃金の実のところは正規と非正規の格差是正という、これまでのパートタイム労働法や労働契約法の改正の流れに沿ったものに過ぎません。

そして、そうした法律の過去の改正では、改正の度にガイドライン等で「こうこうこういう理由で労働条件や待遇が異なるのはいいけど、こういうのはダメだよ」みたいな感じの指導・周知が行われてきました。

ただ、そうしたガイドラインでも、賃金の決定についてはせいぜい「不合理な差があってはならない」程度でお茶を濁していて、具体的なところまでは踏み込むことはありませんでした。

 

どういう違いは良くて、どういう違いはダメかが明確化

しかし、働き方改革実行計画案の中で例示された同一労働同一賃金のガイドライン案では、「こういう違いがあるなら賃金に差を付けてもいいけど、こういう違いに対して、またはそもそも違いがないのに賃金に差を付けるのはダメだよ」ということを明確に記載しています。

① 基本給の均等・均衡待遇の確保
基本給が、職務に応じて支払うもの、職業能力に応じて支払うもの、勤続に応じて支払うものなど、その趣旨・性格が様々である現実を認めた上で、それぞれの趣旨・性格に照らして、実態に違いがなければ同一の、違いがあれば違いに応じた支給を求める。すなわち、均衡だけでなく、均等にも踏み込んだものとしている。

昇給についても、勤続による職業能力の向上に応じて行おうとする場合には、同様の職業能力の向上には同一の、違いがあれば違いに応じた昇給を求める。

働き方改革実行計画案(リンク先PDF 参照:働き方改革実現会議)

上記の基本給や昇給以外についても、違いをつけていい部分や、どういう違いなら金額に差をつけていいかが明文化されています。

以下の表は、ガイドライン案からわたしが引っ張ってきたものをまとめたものですが、こちらをざっと読むと、現時点で政府が給与や諸手当をどのように考えているかがわかると思います。

項目 内容
基本給 基本給の性格・趣旨(職務給や職能給)を認めた上で、それぞれの性格・趣旨に照らして実態に違いがなければ同一の、違いがあれば違いに応じた支給を求める。
昇給 勤続による職業能力の向上に応じて行おうとする場合には、同様の職業能力の向上には同一の、違いがあれば違いに応じた昇給を求める。
賞与 会社への業績貢献に応じて支給する場合、同一の貢献には同一の、違いがあれば違いに応じた支給を求める。
役職手当 役職の内容、責任の範囲・程度に対して支給しようとする場合、同一の役職・責任には同一の、違いがあれば違いに応じた支給を求める。
時間外・休日手当、食事手当、単身赴任手当 同一の支給要件を満たす場合、同一の支給を求める。
福利厚生施設の利用、慶弔休暇、健康診断に伴う勤務免除・有給保障 同一の利用・付与を求める。
教育訓練 同一の職務内容であれば同一の、違いがあれば違いに応じた実施を行わなければならない。

働き方改革実行計画案(リンク先PDF 参照:働き方改革実現会議)

 

ガイドラインを無視できない理由

同一労働同一賃金のガイドライン案については、案を法改正の立案作業の基にしたうえで、ガイドラインの完成版を法改正の施行日と同時に施行するとしています。

ガイドライン自体に法的拘束力はないとはいえ、ガイドライン案を基に法改正が行われることを考えると、その影響力は無視できないでしょう。

特に同一労働同一賃金と合わせて強化されるADRではこのガイドラインを基に様々な判断がなされるでしょうし、司法も完全に無視するというのは考えにくい。

また、同一労働同一賃金に関する法改正では、労働者への待遇に関する説明義務が課される予定なので、ガイドラインに則った賃金決定ができていないと、労使間の争いになったときに会社側が不利になると考えられるため注意が必要です。

 

 

今日のあとがき

事務所の隣が空いたので、借りました。

以前ここに入っていた会社はぬいぐるみとかを作ってる会社で、それらが所狭しと大量に置かれていたので気付きませんでしたが、室内は思ってた以上に広くて実はやや持て余し気味。

一応、手前のスペースはミーティングやミニセミナーに活用していこうかと思っています(奥はわたしの仕事のスペース)。

これまでは川嶋事務所と(株)給与計算本部事務所が同じ部屋にある感じでしたが、これからは一応、こちらが川嶋事務所の本スペースとなります。まあ、一体となって業務やってるので形式的なものではありますが。

 

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名古屋の社労士事務所、川嶋事務所の代表で、このブログの筆者。 新しいこと、もの、特にIT関連が大好きで、社労士としては会社・労働者のITトラブル対策・就業規則作成が得意分野。 2016年4月から9月まで中日新聞で「働く人を守る労働保険」を連載、開業社労士専門誌「SR」に寄稿するなど、メディアでの執筆活動も。