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働き方改革 同一労働同一賃金

同一労働同一賃金ガイドラインにみる「福利厚生・その他」について

今回は同一労働同一賃金ガイドラインの中の「福利厚生・その他」について。

福利厚生は賃金ではありませんが、同一労働同一賃金の根拠である改正後の短時間・有期雇用労働法8条、9条及び改正後の労働者派遣法30条の3は、賃金に限らず、広く正規と非正規の不合理と認められるような待遇格差を禁止しているため、ガイドラインでも「福利厚生・その他」に関する記載があります。

以下は同一労働同一賃金ガイドラインを読む上での大前提となる考え方となるので、一通り目を通しておくと、後の解説がわかりやすくなります。

同一労働同一賃金ガイドラインの大前提

  • 日本版同一労働同一賃金はあくまで「正規と非正規」の格差是正を目指すもの
  • 同一労働同一賃金ガイドラインは、その名称とは裏腹に、同一労働同一賃金を導入するためのマニュアルとは言いがたい
  • 法律上、正規と非正規の待遇の相違として判断基準となるのは「職務内容」「職務内容・配置の変更範囲」「その他」
  • 同一労働同一賃金ガイドラインでは、この3つの相違等を踏まえ、正規と非正規の待遇の相違について、どのようなものであれば問題がなく、どのような場合だと問題があるかが記載されている
  • 同一労働同一賃金ガイドラインに法的な拘束力はないが、労使間で争いになった場合、ガイドラインの内容の通り、あるいは近い判断が行われる可能性が高い

同一労働同一賃金ガイドラインの全文

同一労働同一賃金ガイドライン(リンク先PDF 出典:厚生労働省)

 

すでに解説済みの基本給、賞与については以下をご参照ください。

同一労働同一賃金ガイドラインにみる「基本給」の考え方

同一労働同一賃金ガイドラインにみる「賞与」の考え方

同一労働同一賃金ガイドラインにみる「諸手当」の考え方

 

同一労働同一賃金ガイドラインと福利厚生・その他

福利厚生とは福利厚生施設や社宅の使用、慶弔休暇や病気休職その他の休暇などの、非金銭報酬のことをいいます。

同一労働同一賃金ガイドラインで挙げられている福利厚生の項目は以下の通りです。

  1. 福利厚生施設(給食施設、休憩室及び更衣室)
  2. 転勤者用社宅
  3. 慶弔休暇並びに健康診断に伴う勤務免除及び当該健康診断を勤務時間中に受診する場合の当該受診時間にかかる給与の保障
  4. 病気休職
  5. 法定外の有給の休暇その他の手法定外の休暇(慶弔休暇を除く)

また、賃金や福利厚生以外のその他の項目として以下のものも挙げられています

  1. 現在の職務の遂行に必要な技能または知識を習得するための教育訓練
  2. 安全管理に関する措置及び給付

 

同一労働同一賃金ガイドラインにおける考え方

福利厚生・その他に関する同一労働同一賃金ガイドラインの考え方は、諸手当の考え方と非常に似ています。

雇用形態が異なるからといって、福利厚生施設を利用する必要がないということはないですし、病気をしないわけでも冠婚葬祭等がないわけでもありません。

そのため、ガイドラインでは、雇用形態を理由に、福利厚生に関して差を設けることは問題があるとしています。

ただし、諸手当の時と同様に「雇用形態」によって変わってくる「働き方(労働条件)」に合わせて対応を変更する、ということは可能であることも示されています。

例えば、週所定労働日数が少ない労働者の慶弔休暇については、勤務日の振替で対応しどうしても振替で対応できない場合のみ慶弔休暇を取得させる、法定外の休暇を所定労働時間や所定労働日数に比例させて付与する、などの対応を問題のない例として挙げています。

 

今回も数が多いので全ては引用できませんが、比較的重要度が高いと思われる以下の2つを、同一労働同一賃金ガイドラインから以下に引用しておきます。他の制度が気になる方はガイドライン本文を(同一労働同一賃金ガイドライン(リンク先PDF 出典:厚生労働省))。

(3)慶弔休暇並びに健康診断に伴う勤務免除及び当該健康診断を勤務時間中に受診する場合の当該受診時間に係る給与の保障(以下「有給の保障」という。)

短時間・有期雇用労働者にも、通常の労働者と同一の慶弔休暇の付与並びに健康診断に伴う勤務免除及び有給の保障を行わなければならない。

(問題とならない例)
A社においては、通常の労働者であるXと同様の出勤日が設定されている短時間労働者であるYに対しては、通常の労働者と同様に慶弔休暇を付与しているが、週2日の勤務の短時間労働者であるZに対しては、勤務日の振替での対応を基本としつつ、振替が困難な場合のみ慶弔休暇を付与している。

 

(4)病気休職

短時間労働者(有期雇用労働者である場合を除く。)には、通常の労働者と同一の病気休職の取得を認めなければならない。また、有期雇用労働者にも、労働契約が終了するまでの期間を踏まえて、病気休職の取得を認めなければならない。

(問題とならない例)

A社においては、労働契約の期間が1年である有期雇用労働者であるXについて、病気休職の期間は労働契約の期間が終了する日までとしている。

同一労働同一賃金ガイドライン(リンク先PDF 出典:厚生労働省)

 

以上です。

賃金に比べると地味な感じですが、社内で正規と非正規の待遇差が問題となれば、必ずこのあたりの格差も突かれると思われるので対策は必須です。

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名古屋の社労士事務所、川嶋事務所の代表で、このブログの筆者。 新しいこと、もの、特にIT関連が大好きで、社労士としては会社・労働者のITトラブル対策・就業規則作成が得意分野。 著書に「「働き方改革法」の実務(日本法令)」の他、「ビジネスガイド」「SR」への寄稿、中日新聞での「働く人を守る労働保険」を連載など執筆活動もしてます。