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労務管理と行動経済学

女性の企業内での社会進出を阻む要因とは何か(行動経済学会シンポジウムより)

先週から続いた「行動経済学会シンポジウム」からのネタはとりあえず今日でおしまいです。

長時間労働が影響を及ぼす「本人」と「周り」のメンタル・幸福度の話(行動経済学会シンポジウムより)

夏休みの宿題を後回しにしていた人ほど長時間労働しやすいという話(行動経済学会シンポジウムより)

今日のテーマは企業内での女性の社会進出についてです。

以下で紹介する内容は、最近発売されたこちらの書籍にもまとめられているので是非。

女性の社会進出を阻む3つの要因

働き方改革において、政府はさらなる女性の活躍を推進を目指すとしています。

目指す、ということは、現状はまだまだ不十分であるということですが、その主な要因として以下の3つが考えられています。

  1. 不平等な家庭内分業
  2. 長時間労働
  3. 遅い昇進

1は既婚男性よりも既婚女性が家事や子育てを担うことが多いことが、女性が継続して働くことを困難にしており、その証拠として、諸外国と比べても既婚女性の幸福度を平均して低くなっているそうです。

ただ、家事や子育ての分担に関して会社としては、男性の育児休業を推進すること以外、ほとんどできることはなく、また、男性の育児休業を推進したとしても会社にメリットはほとんどない(からやらない)という問題もあります。

2については、日本の労働文化の一つとして長時間労働が根付いてしまっていることによって、労働時間に制約のある女性が不利な立場に置かれることが女性の社会進出を阻む要因であるとしています。

こちらについては、今後導入される時間外労働の上限規制の問題があるので、遅かれ早かれ会社は対策を考えておく必要があり、その過程で阻害要因としてなくなっていくことが期待されます。

3つ目の「遅い昇進」については、日本の企業は他国に比べて昇進スピードが顕著に遅いため、昇進の前に女性が出産適齢期に入ってしまうことが問題とされています。

昇進後の女性については会社もある程度の業務上の配慮を行うと思われますが、その前に出産したりしてしまうと責任ある業務からルーティン的な業務へ配属されたり、それによってモチベーションを失ったりして、キャリアコースから外れてしまうことが考えられます。

そのため、会社として女性の活躍を促すには、若いうちから管理職選抜を行い、投資を行っていくことが重要と考えられます。

 

バイアスも阻害要因

与えられる業務、配置の違い

上記3つはいずれも結婚・出産が関連しています。

その一方で、よく聞くのは「同時期に男女の新入社員が入ってきた場合、入社時は女性の方が優秀でも女性の結婚・出産の前には同期の男性の方が能力をつけている」という話です。

これについては、それ自体が事実なのかどうかという問題はありますが、企業慣行や人間のバイアスからそうなりうる可能性というのは想像できなくもありません。

どういうことかというと、例えば、同じ勤続年数の男女に業務を割り振るとき、知らず知らずのうちに男性により困難な業務や業務量を与え、一方の女性の方には比較的容易な業務を与えている、ということです。

また、配置をするときも、差別的意識からではなく長年の慣行として、女性よりも男性の方により責任のある配置をしている可能性があります。

こうしたことが積み重なると、男性はより成長できる環境に身をおける一方、女性は同期の男性と比べて成長の機会を失ってしまいます。

 

設定する目標

これに加えて、男女では設定する目標に違いがある可能性もあります。

要するに、男性は「自信過剰バイアス」により、達成困難な目標を立てやすい一方、女性は確実に達成できる目標立てる傾向にあるということです。

この傾向を裏付けるように、とある研究では、目標の達成率自体は女性の方が高いというデータが出ています。

ただ、自身の成長のためには達成困難な目標を達成しようとする努力と、確実に目標を達成する努力とでは違いが生じるのは想像に難くなく、その結果、長期的には男女間で差が開いていく可能性が考えられます。

 

上司の役割とコミュニケーション

こうした、業務の配分や配置、目標管理において、男女間で差がある可能性を考慮すると、大きな役割を果たすべきなのはその上に立つ上司の役目となります。

つまり、上司として、業務の配分や配置について男女間で差をつけていないか気をつける必要があるし、目標管理においても、男性が立てる目標と女性が立てる目標とで差異があることに気をかけ、適宜修正を促す必要があるということです。

ただ、上司が男性で部下が女性の場合、どちらも男性の場合と比べてどうしてもコミュニケーションが不足しがちになります。

このご時世なので、異性同士でコミュニケーションを密にというと誤解を招きそうですが、少なくともコミュニケーションの不足により、男性よりも女性を低く評価していないか、という点には気をつける必要があります。

 

以上です。

問題点の指摘に分量を割き「では、どうするか」についてまではあまり深いところまで書き切れませんでしたが、その辺りはわたし自身も考え中のところが多いので、ご了承いただければと思います。

ただ、問題点がわかっていれば、後はその問題を解くだけと考えることもできるので、女性管理職がなかなか育たないとお悩みの企業は上記のような問題点が会社の中にないか調べてみると、思わぬ解法があるかもしれません。

今日のあとがき

昨日は社労士試験だったんだと、社労士試験に関する過去のブログ記事のアクセス数がやけに増えてることで気がつきました。

試験をざっと見ましたが、正答率はともかく、現役の受験生の時と明らかに違うのは一問解くのに凄く時間がかかるようになっていましたね。

昔は似たような問題を何度も繰り返しといていたので、問題を解く反射神経が鍛えられていたのだと思いますが、今となってはすっかり衰えているところを見ると、業務には必要のない反射神経だったのかもしれません。

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名古屋の社労士事務所、川嶋事務所の代表で、このブログの筆者。 新しいこと、もの、特にIT関連が大好きで、社労士としては会社・労働者のITトラブル対策・就業規則作成が得意分野。 2016年4月から9月まで中日新聞で「働く人を守る労働保険」を連載、開業社労士専門誌「SR」に寄稿するなど、メディアでの執筆活動も。