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夏休みの宿題を後回しにしていた人ほど長時間労働しやすいという話(行動経済学会シンポジウムより)

2017年8月24日

小さい頃、北海道は夏休みが短いと聞いて驚いたことがありましたが、最近は北海道に限らず8月31日を待たずに夏休みが終わるところも多いみたいですね。

そんな夏休みと切っても切れないのが「宿題」ですが、みなさんはこの「宿題」をどのように終わらせていましたか?

どうしてそんなことを聞くかというと、この夏休みの宿題に対する取り組み方と長時間労働に関連性があるという研究結果があるからです。

 

夏休みの宿題を後回しにしてきた人は肥満、ギャンブル、借金に陥る傾向あり

夏休みの宿題については、取り組み方が無計画だったり、夏休みの終わる最後のギリギリまで手をつけない、終わらせられない子どもだった人ほど、将来的に肥満になりやすかったり、ギャンブルにはまる、借金を作りやすい、という傾向があることが知られています。

これは面倒なことを後回しにして、今現在のことを優先するという「現在バイアス」が働く結果で、今現在の快楽を優先するから遊びたいときに遊び、食べたいときに食べ、お金を使いたいときに使ってしまうわけです。

よって、自制心が強くこのバイアスに左右されない人ほど、破滅的な人生を送らずに済むと考えられます。

 

夏休みの宿題を後回しにしてきた人は長時間労働する可能性も高い

この「現在バイアス」が長時間労働にも影響を及ぼします。

どういうことかというと、夏休みの宿題を後回しにしていた人ほど、つまり、「現在バイアス」を持つ人ほど、長時間労働、それも月60時間以上の残業をする確率が高いそうです。

おそらく、昼間の所定労働時間中はだらだらしたりしてきちんと仕事をしていない分の帳尻を、長時間労働で合わせているのでしょう。

 

現在バイアスを持つ労働者への対処方法

会社としては、夏休みの宿題を後回しにしていた社員を、過去に戻って再教育するということはできません。

かといって、そうした労働者を解雇する、というのも現在の法制度や解雇法理の上では難しい。

ただ、長時間労働をしがちな労働者が「現在バイアス」を持っているかどうかというのは今からでもわかることです(なんなら、雑談がてら小さい頃夏休みの宿題をどうしてたか聞いてもいい)し、それがわかれば対策もできます。

 

現在バイアスを自覚してもらい、周りや制度でフォロー

まず、本人が物事を後回しにする傾向にあることに自覚症状がない場合はそれを自覚してもらう。

それで本人の意識が変わって残業が減れば問題ないですが、そうはいかない場合、周りがある程度コントロールしていかないと難しいでしょう。

現在バイアスを持っている人というのは、凄く乱暴にいってしまうと「自制心がない」ということなので、例えば、仕事の計画を周りがある程度立ててあげる、仕事の報告をこまめにさせるなどの方法が考えられます。

また、そうした労働者を部下に持たせることは、その部下を長時間労働に巻き込む可能性があるので、現在バイアスを持つ労働者や長時間労働傾向にある労働者に、責任ある仕事を任せるのは控えた方がいいと考えられます。

具体的には人事制度で長時間労働を評価しない制度にしてしまうことです。

 

以上です。

昨日行われた「第14回行動経済学研究センターシンポジウム」の中で、Eテレのオイコノミアでも有名な大竹文雄先生が講演された内容から、これからの働き方改革に向けて、人事労務の方が知っておいた方がいいことを自分なりにまとめさせていただいたものです。

実は、今回のシンポジウムのテーマはそのものズバリ「働き方改革」。

行動経済学という一見、労務とは関係なさそうに見えるところもこうして「働き方改革」を取り上げることからも、働き方改革の注目度がうかがえます。

シンポジウムでは他にも興味深い話が聞けたので、明日もシンポジウムで聞くことのできた内容から、記事をまとめようかと考えています。

資料:長時間労働の経済分析(大竹文雄  (大阪大学) /奥平寛子  (大阪大学大学院/日本学術振興会) )

今日のあとがき

というわけで、上記のシンポジウムに参加するため、昨日は大阪に行ってました。

最近は年1ペースで大阪に行っていて、若干新鮮味も薄れているようないないような感じだったこと、時間的に余裕のあるスケジュールだったこともあり、今回はちょっと趣向を変えて、レンタサイクルを借りて移動してました。

普段から古畑任三郎よろしく、どこへ行くにも自転車野郎のわたしなので、自転車を漕ぐこと自体に苦痛はなく、電車では行かないよう場所を見れたりして楽しかったのですが、帰りの新幹線で、海で遊んでシャワーも浴びずに帰ったのかってくらい自分の体が汗でべたべただったときは、さすがに季節は考えた方がいいなあ、とは思いました。

 

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  • この記事を書いた人

社会保険労務士 川嶋英明

社会保険労務士川嶋事務所の代表。「いい会社」を作るためのコンサルティングファーム「TNC」のメンバー。行動経済学会(幽霊)会員 社労士だった叔父の病気を機に猛勉強して社労士に。今は亡くなった叔父の跡を継ぎ、いつの間にか本まで出してます。 著書に「「働き方改革法」の実務」「定年後再雇用者の同一労働同一賃金と70歳雇用等への対応実務」「就業規則作成・書換のテクニック」(いずれも日本法令)のほか、「ビジネスガイド」「企業実務」などメディアでの執筆実績多数。

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