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働き方改革 労働安全衛生法 労務管理

安全衛生法の施行規則改正による労働時間把握の義務化の影響とは?

大型連休前後は連休中ほどではないけどアクセス数が減るので、今日は軽めでいいかと気合いの抜けている名古屋の社労士川嶋です。ていうか、ブログより台風やばし。

それはさておき、今回はヤフーニュースにも出たこちらの話。

労働時間把握は「義務」明記、安衛法規則改正へ

記事によると、安全衛生法の施行規則を改正して、会社が労働者の労働時間を把握すること義務づけるとのこと。

 

そもそも労働時間把握って「義務」じゃなかったの?

こうした話を聞くと、会社が自社の社員の労働時間を把握するのって今までは義務じゃなかったの? と思う人もいるかもしれませんね。

この質問は難しいところで、義務(責務)はあったけれども明確にそのものズバリの条文が法令にはなかった、というのが実際のところです。

というのも、厚生労働省は「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」というものを出しています。

その冒頭で、

労働基準法においては、労働時間、休日、深夜業等について規定を設けていることから、使用者は、労働時間を適正に把握するなど労働時間を適切に管理する責務を有している。

労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン(リンク先PDF 参照:厚生労働省)

とあります。

つまり「労基法では労働時間によって36協定の提出義務や、残業代の支払い義務が生じるわけで、そうした義務を果たすには労働時間を適正に把握してないと無理でしょ?」という解釈によって、会社には労働時間の把握義務があると考えられていました。

 

施行規則の改正でどうなるの?

よって、現在でも労働時間の把握義務自体は会社にあるといえるわけですが、これをわざわざ施行規則で義務化するとどうなるのでしょうか?

正直、それほど変化があるとは考えづらいのですが、あるとすれば、監督署の取り締まりが厳しくなるくらいでしょうか。

少なくとも、施行規則が改正されたとしても、違反したからといって罰則を受けるということは考えられません。

みなさんも罪刑法定主義という言葉を中学校で習ったかと思いますが、法律の定めなしに国は国民に対して刑罰を与えることはできません。

施行規則はあくまで省が定める省令、法律ではないのです。

ちなみに、これは余談ですが、過去には省が作った省令そのものが違反であると裁判所が判断した例もあります。

 

義務化よりも施行規則の内容の方が影響大

よって、義務化が明文化されること自体はそれほど大きな問題ではないのですが、それと合わせて施行規則に記載される内容に関しては気をつける必要があります。

というのも、上記の読売新聞の記事では、改正予定の施行規則では

「客観的で適切な方法で行わなければならない」などの文言を盛り込む。

とし、その方法として、

パソコンの使用時間やIC(集積回路)カードによる出退勤時間の記録を想定する。

そうです。

つまり、厚生労働省は(会社は)労働時間管理に金かけてしっかり把握しろ、と言いたいわけです。

国民の金を強制的に使わせるような省令って財産権の侵害じゃね? と思わなくもないですが、ただ、省が定めてるルールなので、その省(ここでいうのは厚生労働省)が守らせようと躍起になるのは間違いありません。

労働時間管理の機器にしても、命令されて導入するのは癪ですが、あって困るものではないのも確か(普通の会社なら)。

機器や会社の現在の労働時間管理体制によっては、業務の効率化も図れることでしょう。

 

なので、今回の「労働時間把握の義務化」という言葉は(まるで罰則があるような印象を受ける分)やや誤解を招く言い方ではあるものの、来る「時間外労働の上限規制」時代に向けて、長時間労働を改善するため前向きにとらえていくのがいいかと思います。

今日のあとがき

台風です。

帰宅時間と名古屋で豪雨となる予定の時間がぶつかってるので、状況によっては最悪、事務所に泊まるまである(涙)。

子どもの頃は「夏休みに台風来ても意味ねえじゃん」、と思ったものですが、大人になると「いつ来たって迷惑」としか思いませんね。

電話やメールの営業と同じ。

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名古屋の社労士事務所、川嶋事務所の代表で、このブログの筆者。 新しいこと、もの、特にIT関連が大好きで、社労士としては会社・労働者のITトラブル対策・就業規則作成が得意分野。 2016年4月から9月まで中日新聞で「働く人を守る労働保険」を連載、開業社労士専門誌「SR」に寄稿するなど、メディアでの執筆活動も。