労災・雇用保険の改正

リカレント教育等の支援のため教育訓練給付金が平成30年1月より変わります。・・・リカレント教育って何? 

2017年6月19日

現在いろいろな期限に追われている名古屋の社労士、川嶋です。追いつかれると厄介なので今日は軽めです。

働き方改革実行計画案を見ていると今年度中に法改正が予定されている法律がいくつかあります。

働き方改革実行計画というと残業上限や同一労働同一賃金が代表的で、法改正というと労働基準法が一番に思い浮かぶかもしれませんが意外なところで雇用保険についても変更があります。

こちらは法律ではなく省令ですが(計画案では法改正とあるが、実際に変わるのは省令)、いずれにしても、なぜ働き方改革実行計画案でなぜ雇用保険が触れられているのでしょうか。

 

女性のリカレント教育など個人の学び直しへの支援や職業訓練などの充実

働き方改革実行計画案では上に上げたようなものの他に「女性や若者が活躍しやすい環境整備」というものも計画に含まれています。

そして、社会人の半数が学び直しを希望する一方で、学費の負担が大きくそれができず、また、民間企業の教育訓練費は減少傾向にあることも踏まえ、国がそのあたりきちんとケアしよう、というわけです。

ちなみに、働き方改革実行計画案では以下のように方向性が示されています

個人、企業、政府による人材投資を抜本強化、集中投資を行う。子育て等により離職した女性のリカレント教育や高度なITなど個人の主体的な学び直しを通じたキャリアアップ・再就職への支援を抜本的に拡充する。あわせて、企業による教育訓練の実施拡大、長期の離職者訓練の拡充を図る。また、実践的な職業教育を行う専門職大学を創設するとともに、体系的なキャリア教育を推進する。

すいません、無知で申し訳ないですが、リカレント教育ってなんすか?

・・・、と思ったのでGoogleで検索してみたら、リカレントとは「回帰する、循環する」という意味で、ようは「学校→社会」へ出たあとに必要に応じて「社会→学校」に帰って勉強をし直すということらしいです。

社会に出て勉強して、勉強のために学校に戻る、ということ循環させててキャリアを積んでいく、ということですね。

わたしの知ってる限りだと、そういうことをされてるのって女性の方が多いイメージなので、なぜに「女性の」と付いているのか違和感がありますが、統計的には違うということでしょうか。

ちなみに、正規の意味では教育機関に学生として戻る場合を指すようですが、日本のリカレント教育は正規の学生として教育機関に戻るもの以外のものも指すようです。

 

教育訓練給付金関連の省令が変更

前置きが長くなりましたが本題です。

雇用保険にはこうした学び直しのための給付金として教育訓練給付金というものがあります。

教育訓練給付金には2つあります。

通常が一般教育訓練給付金で、より専門的な教育を受ける人のための給付金が専門実践教育訓練給付金です。

教育訓練給付金については昔、新聞の連載でも解説しているので制度についてはそちらを読んでもらうことにして、

テーマは教育訓練給付金、「資格取得の経費補てん(働く人を守る労働保険第11回:中日新聞連載)」

今回は省令改正による変更点についてみていきたいと思います。

 

やむを得ない理由での受給可能期間の延長が最大20年に

まずは、2つの教育訓練給付金共通事項から。

現在の受給可能期間は、離職後の受給可能期間は原則1年です(ちなみに、教育訓練給付金は離職しなくても受給可能)。

出産、育児、疾病、負傷などのやむを得ない理由がある場合できちんと手続きをした場合のみ、最大4年まで期間を延長できるようになっています。

これがなんと20年まで延長されます。

一気に5倍ですが、出産、育児で子どもに手がかからなくなるまで、と考えると確かにこれくらいは必要なのかもしれません。

 

専門実践教育訓練給付金は給付率や上限もアップ

専門実践教育訓練給付金についてはこれ以外にもさらなる充実が図られており、まず給付率が上がります。

現行では最大6割の給付率が7割に増えます。

これに合わせて上限額も最大額48万円が56万円まで増えます。

同一の訓練(一支給単位)が年をまたがる場合は10年で168万円が最大になります(現行は最大144万円)。

これに加えて、専門実践教育訓練給付金の支給を受けられる雇用保険の加入期間(支給要件期間)も短縮されます。

現行は一度も教育訓練給付金を受けたことがない場合は2年、ある場合は10年とされていますが、この10年が3年に短縮され、繰り返し利用しやすくなります。

 

以上です。

上記の変更の施行は平成30年1月1日が期日とされています。

資料:雇用保険法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う厚生労働省関係省令の整備等に関する省令案概要(リンク先PDF 参照:厚生労働省)

今日のあとがき

軽めといいつつなんやかんやで長くなってしまいました。

いつもそうなので、軽めと書くと軽めで終わらないってのは何かのジンクスなんですかね。

それはさておき、このあいだブログでも紹介したFire HD 8ですが、かなり快適です。

やはり本(特にマンガ)読むなら6インチよりも7インチ、7インチより8インチと大きいほど快適(だからといって、次10インチ買うかというとそれは断言できませんが)。

買ったばかりは気になった画面の反射も、外の日差しが差し込む昼間ならともかく、夜中の部屋の照明くらいなら全然問題なし。

値段相応に欠点もあるけど、コスパは最高なので初めてのタブレットにもオススメです。

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  • この記事を書いた人

社会保険労務士 川嶋英明

社会保険労務士川嶋事務所の代表。「いい会社」を作るためのコンサルティングファーム「TNC」のメンバー。行動経済学会(幽霊)会員 社労士だった叔父の病気を機に猛勉強して社労士に。今は亡くなった叔父の跡を継ぎ、いつの間にか本まで出してます。 著書に「「働き方改革法」の実務」「定年後再雇用者の同一労働同一賃金と70歳雇用等への対応実務」「就業規則作成・書換のテクニック」(いずれも日本法令)のほか、「ビジネスガイド」「企業実務」などメディアでの執筆実績多数。

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