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法改正 雇用保険

来年(平成29年)の通常国会でさらなる改正予定の雇用保険法の概要

2017/02/02

昨年度末に(大急ぎで)改正された雇用保険法ですが、来年の通常国会でさらなる改正となりそうです。

労働政策審議会 職業安定分科会 雇用保険部会報告

今回は「こうした方がいいのでは」みたいな感じの報告であり、法律案はこれから作成とのことなので、目安程度ですが、大まかな改正内容は以下の通り。

(上記のリンク先の順番とは少し変更し、会社の人事労務への影響が大きい順に解説していきます。)

 

1.雇用保険料率のさらなる引き下げ

会社の業務で最も影響が大きいのはこちらでしょう。

労働者負担および事業主負担がどちらも0.1%ずつ引き下げる予定のようです。

厚労省のサイトの報告を見る限り、いまのところは「一般の事業」のことしか書かれていませんが、「農林水産・清酒酒造の事業」「建設業」に関しても同様と仮定すると、平成29年度の雇用保険料率は以下のようになります。

平成29年度変更予定の雇用保険料率(カッコ内は平成28年度の料率)

①+②
雇用保険料率
①労働者負担 ②事業主負担
一般の事業 0.9%(1.1%) 0.3%(0.4%) 0.6%(0.7%)
農林水産・清酒製造の事業 1.1%(1.3%) 0.4%(0.5%) 0.7%(0.8%)
建設業 1.2%(1.4%) 0.4%(0.5%) 0.8%(0.9%)

 

上記は、12月16日現在の不確定な表なのであくまで参考程度に。

 

2.基本手当の充実

① 特定受給資格者・特定理由離職者の所定給付日数の引き上げ

会社の倒産や解雇などで離職した場合、自己都合で退職した場合に比べて、より手厚く基本手当(失業保険)を受けることができます。

今回の報告では、「 30 歳~ 35 歳未満」「 35 歳~ 45 歳未満」の年齢層の基本手当の給付を拡大する方向のようです。

被保険者であった期間が1年以上5年未満の場合

  • 現行制度:「 30 歳~ 35 歳未満:90日」「 35 歳~ 45 歳未満:90 日」
  • →改正後の制度: 「 30 歳~ 35 歳未満 :120日」「 35 歳~ 45 歳未満 :150日」

② 賃金日額の下限・上限の調整

基本手当の額の計算などに使う「賃金日額」ですが、昨今の急激な最低賃金の引き上げにより、現状に合わないということで、調整が行う予定。

最低賃金の引き上げに合わせるものなので、どの場合も、今より高くなるようです。

 

③ 雇用情勢の悪い地域・震災被害の地域の給付日数の延長

これまでも、個別延長給付として、特定受給資格者または特定理由離職者で、雇用情勢の悪い地域に居住する場合等は「個別延長給付」として、基本手当の所定日数に60日(または30日)をプラスする措置が取られていました。

正直、資料を読んだだけではちょっとはっきりしないのですが、暫定措置だったこの「個別延長給付」は終わり(?)、新たに、「個別延長給付」の例を踏まえた、以下のような措置が取られるようです。

  • 雇用情勢の悪い地域の特定受給資格者や特定理由離職者の基本手当の所定給付日数を60日延長
  • 震災による解雇・倒産によって離職・休業したものには60日または120日の延長

資料には他にも「難病等の治療を図りながら給食する特定受給資格者や特定理由離職者については60日延長」という記載も見られますが、報告には載ってきてないのでどうなるかちょっとわかりませんね。

 

④ 特定理由離職者を特定受給資格者として扱う暫定措置の延長

特定理由離職者を特定受給資格者と同様の基本手当の支給を行う、というのは一応、ずっと暫定措置として行われているもの。

これがさらに5年延長されます。

ていうか、暫定措置じゃなくて、特定理由離職者と特定受給資格者分けるのやめたら? と思わなくもありません(実際、そういう意見はあるらしい)。

 

3.教育訓練給付の充実

教育訓練給付金のなかの「専門実践教育訓練給付」。

制度の概要については以下の記事をご参考にいただきたいのですが、

テーマは教育訓練給付金、「資格取得の経費補てん(働く人を守る労働保険第11回:中日新聞連載)」

教育訓練給付金では資格取得にかかった費用の補填が行われますが、「専門実践教育訓練給付」の場合、無事目的の視覚が取得できた場合、補填率が4割から6割に増えます。

今回の報告ではこの6割の補填率をさらに引き上げ「7割」にしようという動きになっています。

 

これに加えて、教育訓練を受けている期間、つまり、勉強中の期間の生活を支援する「教育支援給付金」についても、支給率のアップの予定

現在は基本手当日額の50%が支給されていますが、この報告では「80%」への引き上げが提案されています

 

4.育児休業給付の見直し

先日も少し(批判的に)触れましたが、

女性の多様な活躍を支援するなら、2歳に延長だけでなく育児休業を半年に短縮するオプションも必要では?

育児休業の期間を最大2年に延長する育児介護休業法の改正が予定されています。

これに合わせて育児休業給付の支給期間の最大期間も2年に延長する方針のようです。

 

以上です。

繰り返しになりますが、今回のはあくまで審議会中の「こうしたらいいのでは」的な報告ですので、変更の可能性があることにご留意ください。

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名古屋の社労士事務所、川嶋事務所の代表で、このブログの筆者。 新しいこと、もの、特にIT関連が大好きで、社労士としては会社・労働者のITトラブル対策・就業規則作成が得意分野。 2016年4月から9月まで中日新聞で「働く人を守る労働保険」を連載。