就業規則

仕事中にノンアルコールビールはOK? 就業規則と懲戒の話

2017年6月20日

職場でノンアルコールビールを飲んだ女性社員が上司にこっぴどく怒られて反省文まで書かされた、という話がネットで話題になっています。

就業時間中にノンアルコールビールはダメ? 出勤停止になった30代女性に批判「職場に”飲んでる気分”の人がいることが問題」

その良し悪しについては個々人様々な意見があると思いますが、それはこのブログで書くことではないので、今回はノンアルコールビールと就業規則の話。

 

就業規則上のノンアルコールビールの扱いはどこも不明瞭

どこの就業規則にも、たいていは「飲酒しながらの業務」は禁止されているはずですが、ノンアルコールビールの扱いについては不明瞭なところが多いでしょう。

ていうか、だいたい何も決まってないと思います。

扱いを明確にするのであれば、飲酒禁止の条文に括弧書きで「ノンアルコールビールなど、アルコール飲料を想起させるノンアルコール飲料を含む」と入れておけばいいと思います

ノンアルコールビールでもわずかにアルコールが含まれるものもあるし、完全にゼロのものもありますが、わずかでも含まれるものだけ禁止するならそうした書き方をするのも手でしょう。

まあ、そこまでして禁止するものなのかという疑問もありますが、これは会社次第でしょう。

ネットの意見ではそういうのを飲んでる人がいるだけでも職場の雰囲気が悪くなる、みたいな意見もありました。

 

それはバランスの取れた懲戒処分か

今回の件で、個人的に気になるのはノンアルコールビールを飲んだ女性社員に対する上司の対応ですね。

口頭で注意した上で反省文を書かせる、というのは懲戒処分でいうところの「戒告」です。

懲戒処分を行う上で気をつけないといけないのは、社員が犯した違反と与える罰の重さのあいだできちんと均衡を取らないといけないという点です。

例えば、業務でちょっとしたミスを犯しただけで懲戒解雇、というのは罪に対して罰が重すぎであり、裁判になったらまず会社は勝てないでしょう。

なので、上記のように業務中のノンアルコールビールの飲酒を禁止する規定を作成するのは問題ありませんが、それを破った際の罰則が不均衡だとあまり意味がないといえます。

 

結論:段階を踏んでもよかったのでは

もちろん、どんなにちょっとしたことでも、反省が見られず繰り返し行うようであれば、罪は重くなるし罰も重くせざるを得ません。

今回の件も、女性社員がこれまでに何度も注意されてるにもかかわらずノンアルコールビールを飲んだ、となれば、上司の上記のような対応もわからないでもないし、正当性も認められるでしょう。

しかし、ネットニュースを読む限り、この女性社員は「初犯」です。

だったら、いきなり烈火のごとく怒って反省文まで書かせるのは過剰だと思うし、とりあえず、口頭での注意くらいにすまして、次回以降の対応について上と話し合う、くらいの器量はあってもよかったと個人的には思います。

今日のあとがき

わたし自身はお酒が飲めない体質なのでお酒は飲まないし、お酒好きの人の気持ちもわかりません。

ただ、はっきり言っておくと、お酒を言い訳にする人は嫌いです。大嫌いと言ってもいい。

お酒を言い訳に、というのは、ようは「酔っ払ってるから」酷い発言や酷い行動をしたりする人のことです。

こっちからしたら酔っ払いにムカつくことされたときは、「てめえが酔っ払ってようが酔っ払ってなかろうが関係ない」って話ですからね。

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  • この記事を書いた人

社会保険労務士 川嶋英明

社会保険労務士川嶋事務所の代表。「いい会社」を作るためのコンサルティングファーム「TNC」のメンバー。行動経済学会(幽霊)会員 社労士だった叔父の病気を機に猛勉強して社労士に。今は亡くなった叔父の跡を継ぎ、いつの間にか本まで出してます。 著書に「「働き方改革法」の実務」「定年後再雇用者の同一労働同一賃金と70歳雇用等への対応実務」「就業規則作成・書換のテクニック」(いずれも日本法令)のほか、「ビジネスガイド」「企業実務」などメディアでの執筆実績多数。

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