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労務管理

悪用厳禁!ブラック閲覧禁止!「労働の実態」の正体

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労働基準法では、会社の定める就業規則や、会社と労働者の間の労働契約の規定がどうなっているかよりも、労働の実態を見て、法令遵守しているかどうかの判断をします。当然、監督署が会社を労働法に基づいて処分するときもそうです。

でも、そこで働いている労働者ならいざしらず、ぽっとやってきた労働基準監督署の労働基準監督官に、労働の実態なんてどうやったらわかるのでしょうか。

 

タイムカードと賃金台帳

この2つを見れば、労働時間の実態と賃金の実態についてバッチリわかってしまいます。

なので、監督署にかぎらず、社会保険の関係で労働の実態を知りたがる年金事務所もこの2つは非常に見たがります。というか、普通に見せろと言ってきます。

ただ、監督署と年金機構だと見るところはやっぱり違っていて、監督署はとにかく未払い賃金(つまり、残業代)に関わる部分を見る一方、年金機構は社会保険料に関する部分、特に短時間労働者の労働時間と標準報酬月額の変更がきちんとされているかを見ます。

変な話、監督署にきちんと残業代を支払っているけれど、社会保険料が支払われていない賃金台帳を見せたり、逆に年金機構に残業代がきちんと支払われていないけど、社会保険料はきちんと支払われている賃金台帳をても、何も言われない可能性があるくらいです。(だからって、そんなの提出してはダメ、というか、きちんとどちらも法律通りに支払いましょう)

 

なんやかんやで就業規則と労働契約書を見る

記事の最初に、就業規則や労働契約書より実態を見る、なんて書きましたが、なんやかんやで就業規則や労働契約も見ます。最低限の労働条件は労働基準法等で決まっているとはいえ、その運用の仕方は会社によって異なるので、これを見ないことには労働基準法をどのように当てはめたらいいかわからないからです。

で、見る箇所はこちらの記事で言うところのA、つまり、法律で明確な規定のある部分がほとんどです。

法に違反しているなら是正勧告だったり、逮捕送検は監督署はできるものの、それ以外の法に定められていない部分で例えば会社が守ってない、労働者が守ってないという話になっても、それは私人間(しじんかん)同士の契約の話で、民事不介入の原則から、監督署などの行政は関与できないからです。

年金機構の場合、賃金台帳の手当の項目が、標準報酬月額上の報酬に当たるかどうかを確認するため、就業規則の賃金規定を見ます。

また、労働契約書は、労働時間が通常の労働者の4分の3を超える短時間労働者の社会保険の加入の判断に見ます。契約上は4分の3未満だがたまたまある月だけそれよりも多かったのであれば、社会保険の加入は今後の様子を見て、という話になりますが、契約上特に定めなく4分の3を超えていると遡って保険料を徴収される可能性があります。

 

行政は会社で用意するもので実態を見る

まとめると、監督署や年金機構などの行政機関は、タイムカードと賃金台帳、就業規則と労働契約書で大まかな労働の実態を把握し、必要に応じて是正や保険料の徴収等を行うわけです。

どれも会社が用意できるものばかりですね。

それがどういう意味か、ちょっと悪知恵の働く人ならわかってしまうかもしれませんが、ただ、それも以下のものが出てくると話が違ってきます。

 

労働者のメモや記録、証言

会社に対して不満を持っていたり、恨みを持っていたりする労働者というのは、会社に対して復讐する機会を狙っています。復讐の主な手段は監督署相談やユニオン加入、訴訟やネットやメディアへの情報リーク等です。

そうした復讐が単なる労働者の証言だけで行われる分には、単なる労働者側の妄言だとあしらえますが、会社であったことや上司に言われたことをメモに取ったり、日記に残すなど、労働者側が様々な手段で会社の悪行と思われる部分を証拠として残している場合は別。そうした労働者側が作成した証拠が労働の実態と判断される可能性が生まれます。というか、かなり高まります。

 

「労働の実態」は作れるが…

最近では、スマホアプリで未払い残業を計算するものや、会社のタイムカードとは別に真の労働時間を記録するものなどがあり、労働者側がこうした証拠を残しやすい状況になってきています。なので、就業規則や労働契約書がきちんとしているからといって安心できるとは限りません。

中には正当な証拠とはとても思えないようなものを使って、様々な要求をしてくる労働者がいるのもまた事実だからです。

そうした相手に対して、会社はどのように対応すればいいのかといえば、会社が考える「労働の実態」を普段から残しておくしかありません。例えば、残業を許可制にして、書類やデータで管理しておけば、労働者側が許可外の残業をサービス残業だと言って残業代を請求してきても、それは会社の指揮命令下にない労働時間なら支払う必要はないと言い切れます。

要するに、事あるごとに会社として記録を残せるのなら、「労働の実態」というのは会社の思い通りに作れるわけです。あっ、言っておきますが、思い通り、っていうのは捏造できるって話ではありませんよ。会社としてコンプライアンスをしっかりしていて、労働者側からの捏造にも対抗できるという意味です。

 

ただし、事あるごとに会社として記録を残す、というのは口で言うのは簡単ですが、実際にやるとなるとランニングコストが非常にかかる。よって、ランニングコストの面から「できる範囲」というものをきちんと把握しておかないといけないでしょう。

 

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名古屋の社労士事務所、川嶋事務所の代表で、このブログの筆者。 新しいこと、もの、特にIT関連が大好きで、社労士としては会社・労働者のITトラブル対策・就業規則作成が得意分野。 2016年4月から9月まで中日新聞で「働く人を守る労働保険」を連載、開業社労士専門誌「SR」に寄稿するなど、メディアでの執筆活動も。