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労務管理

「中間管理録トネガワ」から読み解く労務管理のツボ ⑥「出張」

だいぶ間が空きましたが、久しぶりにトネガワを。
中間管理録トネガワ(2) (ヤングマガジンコミックス)
中間管理録トネガワ(2) (ヤングマガジンコミックス)

今回は扱うのは2巻に番外編として入っている「出張」というエピソード。

この回の利根川は、福岡への出張を飛行機ではなくわざわざ新幹線を使い、おまけに搭乗と同時につまみ片手にビールを飲み出すなど、ちょっとした旅行気分でいたら会長からの急な電話で・・・、みたいなお話ですが、詳しくは本編を。

今回はエピソードの主題そのまんま「出張」に関する労務管理の話です。

出張について労務管理上、主に気をつけないといけない点は以下の2つです。

  • 出張中の労働時間
  • 出張時の費用

 

出張中の労働時間

まず、出張中の労働時間についてですが、出張先で業務を行っている時間が労働時間に当たるのは当然のことなので、まあ、いいでしょう。

一方、出張には当然、家から出張先までの往復や、食事や宿泊の時間や、そこへ行くための移動などもあります。

そうした時間まで会社の命令で出張に出ているのだから労働時間になるかといえばそんなことはありません。

家と出張先の往復の時間は、家と仕事先の出勤の時間と性質は同等と考えられるため、労働時間に当たりません。

ただし、物品等の搬送自体が出張の目的の場合、それらを運んでいる時間は会社の指揮命令下にあると考えられるため労働時間となります。

食事や宿泊の時間が会社の指揮命令下にないのは言うまでもありませんが、そこへ行くまでの移動に関しても、基本的には会社の指揮命令下にないと考えられるため、労働時間とは言えません。

 

労働時間を見なせる場合、そうでない場合

以上が、出張中の労働時間の考え方です。

出張中といえど「会社の指揮命令下にあるかどうか」が重要となるのは、通常の労働時間と同じなわけです。

ただ、出張に出るのは基本的には正社員で給与も日給月給制などの固定に近い場合が多いので、実際にはわざわざ労働時間を把握しているところは少ないかもしれませんね。

つまり、出張中の実労働時間は把握せず、所定労働時間働いたものとみなしている場合の方が多いかもしれません。

いわゆるみなし労働ですが、そうした場合、事業場外のみなし労働制ということに当たるので、労使間での協定を結ぶ必要がある点に注意が必要です。

この労使協定ですが、みなす時間が法定労働時間の8時間を超える場合は監督署に提出し、そうでない場合は結ぶだけで提出の必要まではありません。

ちなみに、出張に上司など時間管理するものが同行する場合、その上司が労働時間を把握できるので、上記のみなし労働時間は使えず実労働時間を把握する必要があります。

いずれにせよ、みなし労働にせよ上司が労働時間を把握するにせよ、出張中の労働時間が所定労働時間や法定労働時間を超えていたりすると、残業代が発生するのも、通常の労働時間と同じなので、そのあたりの把握は怠らないようにしなければなりません。

 

出張にかかる費用

出張に行くには当然費用がかかります。

働いた時間に対して賃金を支払うのは当然のこととして、それ以外にも交通費や宿泊費に関しては、会社が持つのが普通です。

交通費や宿泊に関しては、法律で決まっているわけではないものの、ブラック企業の条件でよく言われる出張時の交通費や宿泊費を会社が払わないのは「自腹の強要」に当たりかねませんし。

ただ、出張時に利用する交通機関や宿泊施設を誰がどう決めるかは、ある程度規程にしておいた方が良いかもしれません。

会社が全て決めるなら問題はありませんが、出張する人間にプランニングを任せて、会社がそれに許可を与える、という形態を取っていると、今回の利根川のように飛行機で良いところをわざわざ新幹線を使う、みたいなこと起きかねません。

こうしたことを避けるにも、交通費の規程のように、経路選択の際には「最短の経路」であることや「最小限の費用」みたいなことを出張規程にうたっておくといいでしょう。

 

出張手当の効用

出張に関する費用でもう一つ代表的なのが出張手当です。

こちらに関しても会社に支払義務のないもので、宿泊費や交通費と違って、払っていなかったとしても、社会的な面や法的な面から見て大きな問題にはなりにくいかと思います。

とはいえ、あるとないとでは労働者の出張に関するモチベーションも変わってきますし、食事に関しても、出張先で自炊というわけにもいかないので、雑費がかかることを踏まえると払っておいた方が良い手当なのではと思います。

ただ、出張と名の付くものにはもれなく全て同額で支払う必要ないので、出張の場所や出張の期間や出張に行く人の役職など、費用を細かく設定するのも手でしょう。

ちなみに弁護士ドットコムには出張手当の相場として以下のような記事があります。

いまいち決めきれないと思ったら参考にしてみるのもいいかもしれません。

出張手当(出張日当)とは:金額の相場

 

今日のあとがき

出張に関して言うと、最近のこんなニュースがありました。

出張先で休暇、欧米で広がる 国内企業も奨励の動き

ようは欧米では出張を延長しそこで休暇を取るという制度が普及し始めてる、というもの。

イメージとしては、出張手当をさらに拡大したような感じですかね。

導入の可否は会社によって異なるかもしれませんが、わたしは個人事業主なので、大抵遠出をするときは前乗りか後泊です(笑)。

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名古屋の社労士事務所、川嶋事務所の代表で、このブログの筆者。 新しいこと、もの、特にIT関連が大好きで、社労士としては会社・労働者のITトラブル対策・就業規則作成が得意分野。 2016年4月から9月まで中日新聞で「働く人を守る労働保険」を連載、開業社労士専門誌「SR」に寄稿するなど、メディアでの執筆活動も。