名古屋で就業規則作成するなら社会保険労務士川嶋事務所

名古屋市営地下鉄名城線、西高蔵駅から北へ徒歩3分、国道19号線沿いの社労士事務所

その他 社会保険労務士

「中間管理録トネガワ」から読み解く労務管理のツボ ⑧「引き抜き」

ええーっと、わたしが取材を受けた「トネガワ特集」の載っている「FLASHスペシャル」発売中です。

トネガワ以外はほぼ全部乃木坂ですので、そちらのファンの人も是非。

さて、このFLASHスペシャルが発売されるまでは、なんとなくこのブログでのトネガワ企画は自重していたのですが、無事発売されたので、久々にトネガワをやっていきたいと思います。

今回のテーマは「中間管理録トネガワ」第17話のエピソードより「引き抜き」です。

この話では、なんとある人物が利根川を帝愛から、別のビジネスへと引き抜こうとします。

どうなったかは、というよりはどんなビジネスに引き抜こうとしたのか、というのがこのエピソードの面白ところですが、詳細は本編を。

 

引き抜きによる損害は賠償請求できるか

「引き抜き」というのは「君が勤めてる会社を辞めてうちに来ないか」とスカウトだったり、転職の勧誘をする行為です。

引き抜かれる人というのは「うちに来てほしい」と思えるくらい優秀とて相手に思われているということですから、勧誘される方は悪い気持ちではないでしょう。

ただ、引き抜かれる方としてはたまったものではないですし、優秀な人材の急な退職となれば業務への影響は避けられません。それどころか会社に大きな損害を与えることにもなります。

では、会社は自社の社員を引き抜く相手に対してその損害を賠償請求することはできるのでしょうか。

結論から言えば「できる場合もあれば、できない場合もある」というのが正直なところ。

 

第三者による引き抜き

では、「できる場合とできない場合」の違いは何でしょうか。

一つは、その引き抜きを行ったのが、ライバル企業やヘッドハンターなどの第三者なのか、それとも会社の関係者なのかで変わってきます。

前者の場合、相手にも「営業の自由」が認められているため、損害賠償を求めることは難しいです。

例えば、勧誘の際に「その会社はもうすぐつぶれる」など根拠のない嘘や誹謗中傷を用いた場合でも、そうした誹謗中傷に対抗することはできても、勧誘そのものに対して、となるとやはり難しい。

他に引き抜かれたくなかったら、引き抜かれた後ではなく、引き抜かれる前に労働条件や労働環境を良くしたりする必要があるわけです。

 

元を含む会社関係者による引き抜き

では、引き抜きを行ったのが会社の関係者の場合はどうでしょうか。

会社の関係者といってもいろいろありますが、その会社に在籍しているか(在籍中に勧誘を行った場合も含む)、そうでないかで変わってきます。

会社に在籍している状態での引き抜きは雇用契約上の誠実義務に反するし、競業行為に当たるため、競業避止義務違反となるため、原則違法となります。

引き抜きを行ったのが役員の場合も同様です。(この場合、忠実義務違反となる)

すでに会社に在籍していない場合、会社との雇用契約等はすでにないため、ヘッドハンターなどの第三者に近い扱いとなりますが、それでもまったく関係ない第三者というわけにはいかず、完全な第三者よりも違法性が認められる可能性が高くなります。

 

アウトとなる引き抜きとは

では、アウトかセーフかの判断基準はどのようになっているかというと、上記のどちらの場合でも、それが社会的に見て、元の会社の利益を不当に害するような引き抜きであったかどうか、が重要となります。

判断材料としては、

  • 引き抜かれた人物の会社でのポジション
  • 引き抜かれた人数
  • 経営や業績への影響
  • 勧誘方法

などが考慮されます。当然、在籍中の従業員による引き抜きの方が厳しく見られます。

例えば、会社の経営上、重要な部署の従業員を部署ごとまるっと、ある時期に同時に引き抜くことを計画的に行った場合、というのは単なる転職の勧誘にとどまるとは言えないでしょう。

規模が大きくなればなるほど会社というのは分担作業で業務が行われるようになりますが、分担作業で行われてる部署のひとつに人がまったくいなくなっては当然業務に支障が出ます。

こうしたことを計画的に、となると、これは元の会社の利益を不当に害する引き抜きと言えます。

ラクソン事件(平成3年)では、競合会社に引き抜かれた従業員が、その前にいた会社の部下をまるっと全員引き抜いたことに対して、引き抜かれた側の会社からその損害を賠償するよう訴えられ、結果、元部下を引き抜いた競合会社とその従業員側が負けています。

 

ちなみに、上記のどの場合であっても、引き抜きにあった労働者に対して損害賠償請求をすることは基本的にできません。労働者には「退職の自由」が認められているからです。

 

今日のあとがき

FLASHスペシャル、出版社のかたから送ってもらって、パラパラと読みましたが面白い面白くないの前に、雑誌を読むって行為にちょっと懐かしさを感じてしまいました。

それくらい、紙の雑誌って買ってないんですよね。本当に電子ばっか。

あと、前回雑誌に載りますって記事を書いたときに、書き忘れていたことを1つ。

先代である私の叔父は、ありとあらゆる週刊誌を毎週買う男で、当然FLASHも毎週買っていたので、別冊とは言え、今回取材してもらったことに関しては感慨深いものがありましたね。

中学1年生くらいまでは叔父と一緒に住んでたので、叔父が買ってきたのを隠れて読んでたし(笑)。

The following two tabs change content below.
名古屋の社労士事務所、川嶋事務所の代表で、このブログの筆者。 新しいこと、もの、特にIT関連が大好きで、社労士としては会社・労働者のITトラブル対策・就業規則作成が得意分野。 2016年4月から9月まで中日新聞で「働く人を守る労働保険」を連載、開業社労士専門誌「SR」に寄稿するなど、メディアでの執筆活動も。