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給付制限期間3か月から2か月への短縮は業務取扱要領の改正で実施

期間の短縮

少し前に、このブログで今国会で改正予定の雇用保険法の内容を解説しました。

令和2年度通常国会で改正予定の雇用保険法の内容を解説

実はその中で「あれ、これが含まれてないの?」というものがありました。

それが給付制限期間の短縮です。

 

給付制限とは

給付制限期間の短縮の話に入る前に、そもそも給付制限とはなんなのかについて解説しておきましょう。

雇用保険の基本手当、いわゆる失業保険と呼ばれているものについては、労働者の退職理由によって一定の期間、給付をもらえない期間が設けられる場合があります。

この期間のことを給付制限といいます。

給付制限が設けられるのは、主に労働者側の都合で会社をやめた場合、いわゆる自己都合退職の場合です。

自己都合退職による給付制限期間は、現在「3か月」となっています。

もう少し詳しく給付制限について知りたい方は、以下から、昔わたしが書いていた新聞の連載記事をご覧いただければと思います。

参考:テーマは給付制限、「自己都合退職は「制限」も(働く人を守る労働保険第7回:中日新聞連載)」

 

給付制限期間の短縮は法改正ではなく業務取扱要領で実施

さて、この給付制限の期間を3か月から2か月に短縮する、という話が昨年末頃からメディアでも報道されるようになりました。

失業手当、制限期間短縮も=自己都合、現在は3カ月-厚労省(時事通信)

実際、雇用保険部会の報告書でもその旨が記載されており、制度の変更はまず間違いないだろうと思って、いざ出てきた法改正の内容見て見ると、給付制限期間の短縮については一切記載なしの拍子抜け。

で、どうなっているのかなあと思っていたら、今年1月の労働政策審議会の議事録に以下のような発言がありました(議事録は審議会開催からしばらくしないと出てこない)。

なお、昨年まとめていただいた雇用保険部会報告の中で、自己都合離職者に関する給付制限の見直しもありましたが、こちらは業務取扱要領による改正事項になりますので、この法律の要綱の中には盛り込まれておりません。

出典:2020年1月8日 第138回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会議事録

要するに、法改正ではなく業務取扱要領によって、給付制限期間の短縮を行うから、改正法案の中には影も形もなかったわけです。

業務取扱要領とはハローワークのマニュアルのようなもので、厚生労働省のウェブサイトから、誰でも見ることができます。

雇用保険に関する業務取扱要領(令和元年10月1日以降)

 

給付制限期間の法律上の扱い

雇用保険法上は1か月から3か月以内

さて、どうして、法改正ではなく単なるマニュアルの改正だけで給付制限期間を短縮できるのでしょうか。

実は自己都合退職の給付制限期間について、雇用保険上は1か月以上3か月以内とされています。

しかし、実務上は3か月以外の期間となることがなかったわけです。

 

期間短縮は失業者の転職活動支援のため

これには当然理由があって、給付制限の期間が短すぎると基本手当目当てで就職と退職を繰り返す労働者が出てくる恐れがあるから、ある程度の期間を設けています。

一方で、給付制限期間中は当然、基本手当はもらえません。

失業中なのに手当がもらえない期間が長引くと、失業者の転職活動はもちろんのこと生活に支障をきたす可能性すらあります。

こうしたことから、試験的に給付制限期間を3か月から2か月に短縮する、というのが今回の措置なのです。

 

試験的な措置で、2年後を目処に効果を検証

法律上は、給付制限期間は1か月以上3か月以内とされているわけですから、わざわざ法改正をしなくても給付制限を2か月とすることはかのうなわけです。

ただし、給付制限が2か月以内となるのは、は同一の労働者において、5年間のうち2回までに限るとしており、3回目以降は現行通り給付制限の期間は3か月になるとみられます。

そして、試験的な措置なので、厚生労働省は、本措置実施後2年を目途にその効果等を検証するとしています。

本措置の実施は2020年度中と言われていますが、明確な日付まではわかっていません。

 

会社への労務実務への影響

会社からすると直接実務に関係のある変更ではないものの、これを機に会社をやめよう、という人が出こないとも限りません。

そのため離職防止のための措置についてはしっかりと検討したいところです。