労災・雇用保険の改正

2020年4月からの64歳以降の雇用保険料免除措置廃止にご注意を

2020年1月15日

追記:2020年3月末をもって雇用保険料の免除措置が廃止されたので、それに合わせて内容を追記・修正しました。

令和元年度までは、現行(2020年1月現在)では、その年度の4月1日に64歳以上の高齢者で雇用保険に加入しているものについては、雇用保険料支払が免除されていました。

しかし、令和2年4月以降はこうした高齢者の雇用保険料免除措置が廃止されます。

そのため、今後は65歳でも67歳でも70歳でも、雇用保険の被保険者である限り、雇用保険料の支払が免除されることはありません。

 

高齢労働者の雇用保険料が免除されていた理由

平成28年以前は、65歳になる前から継続して雇用保険に加入している場合しか、65歳以降も雇用保険に加入し続けることはできませんでした。

つまり、65歳以上の高齢労働者は新規に雇用保険に加入することができなかったわけです。

その代わり、64歳以上の高齢労働者については雇用保険料の徴収が免除されていたわけです。

しかし、法改正により平成29年以降は、65歳以上の高齢労働者であっても新規に雇用保険に加入できるようになりました。

そして、この改正と合わせて、64歳以上の高齢労働者の雇用保険料の徴収免除措置については、令和2年3月31日までで廃止することが決まりました。

 

高齢労働者の雇用保険料の免除措置廃止への対応

雇用保険料は会社と労働者がともに負担するものです。

よって、今回の免除措置廃止は会社にも労働者にも影響のあるものとなります。

これを踏まえて会社は今回の免除措置廃止にどのように対応すればいいのかみていきたいと思います。

 

徴収のし忘れに注意

まず、会社として気をつけないといけないのは、今年(2020年)4月1日の時点で64歳以上の雇用保険の被保険者から雇用保険料を徴収し忘れないことです。

特に、昨年(平成31年)4月1日の時点で64歳以上の雇用保険の被保険者の場合、前の年度までは雇用保険料を徴収してこなかったため、徴収を忘れてしまう可能性がるので注意が必要です。

また、労働保険の場合、労働月で考えるので、4月以降に締め日のある賃金から免除措置廃止の対象となります。

 

労働保険の年度更新にも注意

労働保険の年度更新とは、会社が国に労働保険料(労災保険料・雇用保険料等)を納めるための手続きを言います。

 

労働保険料は前払い

実は税金や社会保険と比べると、労働保険の保険料の納め方はかなり特殊です。

というのも、例えば令和2年度の労働保険料の年度更新を行う場合、令和2年度の概算保険料を計算し、それを国に納めます。

概算、ということは「だいたいの額」の保険料です。この「だいたいの額」は前年度の保険料の額から予想します。

ただ、この「だいたいの額」は当然、労働者の数の増減や賃金の増減によって変動します。

そのため「令和元年度の賃金を元にだいたいで計算した概算保険料額」と「令和2年度に支払われた実際の賃金を元に計算した保険料額(これを確定保険料と言います)」とを突き合わせたその過不足を次年度となる令和3年度の年度更新で調整します。

つまり、労働保険料は、だいたいの保険料額を先払いし、次の年にそれを調整する、という方式を取っているわけです。

 

「令和2年の概算保険料」と「令和元年分の確定保険料」

以上を踏まえて、今年の労働保険の年度更新についてみていきたいと思います。

まず、今年の労働保険の年度更新では「令和2年の概算保険料」と「令和元年分の確定保険料」を計算することになります。

当然、前者の「令和2年の概算保険料」には高齢者の雇用保険料免除措置廃止により、高齢者の分の雇用保険料も含めて計算します。

一方で、後者の「令和元年分の確定保険料」については高齢者の雇用保険料は含まない点に注意が必要です。

 

高齢労働者への周知

高齢労働者への周知も重要です。

雇用保険料の徴収に関しては、労働者への同意等は不要です。

一方で、昨年(平成31年)4月1日の時点で64歳以上の雇用保険の被保険者の場合、前の年度までは雇用保険料が徴収されていなかったことになります。

そうした中で、何の説明もなく、今年(令和2年)の4月以降の給与でいきなり雇用保険料が引かれるとなると、反発する労働者が出てくることも予想されます。

よって、今年の4月以降は、年齢に関わりなく雇用保険料が徴収されることをきちんと周知し、不要なトラブルを未然に防ぐ努力をすべきでしょう。

 

今日のあとがき

最近、記事の本編に力を入れすぎてあとがきを書く力が残ってないことがほとんどだったんですが、今回はは比較的短めで終わったので少しだけ。

私事ですが、最近、スーパー銭湯にハマってます。

厳密に言うと、サウナと水風呂の良さに気付いてしまって、先月くらいからほぼ週1で通ってます。

サウナで温めた体を水風呂で冷やすと、本当、○○○でもやってんじゃないかってくらい気持ちいい(○○○はやったことないけど)。

ただ、サウナからの水風呂のコンボが本当に体にいいかは諸説あるらしいので、サウナジャンキーにならない程度のほどほどには留めてます。

今のところは近所のスーパー銭湯にしか行ってませんが、もう少し暖かくなってきたら名古屋市内のいろんなスーパー銭湯にも行ってみたいですね。

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  • この記事を書いた人

社会保険労務士 川嶋英明

社会保険労務士川嶋事務所の代表。「いい会社」を作るためのコンサルティングファーム「TNC」のメンバー。行動経済学会(幽霊)会員 社労士だった叔父の病気を機に猛勉強して社労士に。今は亡くなった叔父の跡を継ぎ、いつの間にか本まで出してます。 著書に「「働き方改革法」の実務」「定年後再雇用者の同一労働同一賃金と70歳雇用等への対応実務」「就業規則作成・書換のテクニック」(いずれも日本法令)のほか、「ビジネスガイド」「企業実務」などメディアでの執筆実績多数。

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