労災・雇用保険の改正

法改正で平成29年(2017年)より65歳以上でも雇用保険に加入可に!しかも保険料は免除のまま

2016年4月5日

雇用保険法の改正について、今回は主に高齢者の話をしていきます。

 

満65歳以上でも新規で雇用保険に加入可に

これまで、65歳以上の労働者は、雇用保険に新規に加入することはできませんでした。65歳より前から雇用保険に加入している場合は、65歳になっても引き続き加入し続けることはできたものの、一度喪失してしまうと、加入できなかったわけです。

それが今回の雇用保険法の改正で変更となります。

平成29年1月1日より、こうした年齢制限は撤廃され、満65歳以上でも新規で雇用保険に加入することができるようになります。

よって、平成29年1月1日以降は、すでに働いている人で入社時に65歳以上だったので雇用保険に入ってない人や、新規で65歳以上の労働者を雇う場合は雇用保険の加入手続きを行う必要がでてきます。これまでの感覚で加入漏れしてしまうことがないよう気をつけましょう。

平成28年12月30日まで:65歳以上の労働者は雇用保険への新規加入不可

→平成29年1月1日以降:65歳以上でも雇用保険への新規加入が可能に

 

 

64歳以上の保険料免除は廃止。ただし暫定措置あり

また、雇用保険では、毎年4月1日時点で満64歳以上のものについては雇用保険料が免除されていました。

こちらも今回の法改正で変更が加えられ、今後はこうした保険料の免除制度が廃止となります。

ただし、急に廃止してしまうと実務上の影響が大きいということで、一定の経過措置が設けられ、保険料免除廃止の予定日は平成32年4月1日となっています。

よって、平成32年4月1日以降は、年齢にかかわらず、雇用保険に加入している人は雇用保険料を支払う必要があるわけです。逆に言えば、平成32年の3月までは、65歳以上で新規加入する人も含め、64歳以上の労働者は雇用保険料を支払うことなく雇用保険に加入することができます。

なので、しばらくは、65歳以上でも雇用保険への加入が可能になったからといって、そのついでに雇用保険料を徴収してしまう、みたいな給与計算上のミスには気をつけないといけません。

 

平成31年4月1日の段階で64歳以上:雇用保険の保険料は免除

→令和2年(2020年)4月1日の段階で64歳以上:雇用保険の保険料は徴収される

 

 

高年齢求職者給付金はそのまま

雇用保険への加入に年齢制限がなくなり、雇用保険料の免除措置も将来的になくなるとなる、というように、雇用保険制度において年齢による取り扱いの区別がなくなる方向で法改正が行われたわけですが、では、もらえる方、給付についてはどうかというと、こちらは特に変更はありません。

一定の要件を満たしたものが失業すると、雇用保険から、65歳未満だと基本手当が、65歳以上だと高年齢求職者給付金というものがもらえます。

こちらは、法改正後も変更は特にありません。ここまで読んで、高齢者は雇用保険の保険料が免除されてズルいと思った方もいるかもしれませんが、基本手当と高年齢求職者給付金ではもらえる給付金の額が大きく異なるので、一応のバランスは取れているわけです。

ただ、これはあくまでわたしの予想ですが、平成32年4月1日以降、64歳以上の労働者からも保険料を徴収されることになると、基本手当と高年齢求職者給付金は統合されていくかもしれません。一億総活躍の時代に分ける意味もないと思いますし。

高年齢雇用継続給付についても同様に変更はありません。

 

平生28年7月現在

65歳以上の基本手当・高年齢求職者給付金・高年齢雇用継続給付の制度の変更予定はなし

 

 

高齢者に関する雇用保険法改正についてのまとめ

  • 平成29年1月1日より、満65歳以上の労働者も新規で雇用保険の加入が可能に
  • →よって、今まで加入していなかった満65歳以上の労働者はこの日を境に加入
  • 令和2年(2020年)4月1日より、4月1日時点で満64歳以上の保険料免除措置が廃止
  • →この日以降に満64歳以上の加入者がいる場合は保険料を徴収する必要がある
  • 給付についてはこれまでどおり、65歳以上は高年齢求職者給付金が支給される
  • 満60歳以降の高年齢雇用継続給付も同様

 

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  • この記事を書いた人

社会保険労務士 川嶋英明

社会保険労務士川嶋事務所の代表。「いい会社」を作るためのコンサルティングファーム「TNC」のメンバー。行動経済学会(幽霊)会員 社労士だった叔父の病気を機に猛勉強して社労士に。今は亡くなった叔父の跡を継ぎ、いつの間にか本まで出してます。 著書に「「働き方改革法」の実務」「定年後再雇用者の同一労働同一賃金と70歳雇用等への対応実務」「就業規則作成・書換のテクニック」(いずれも日本法令)のほか、「ビジネスガイド」「企業実務」などメディアでの執筆実績多数。

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