労災・雇用保険の改正

厚生労働省令の改正で「通勤災害の適用範囲の拡大」と「勤務間インターバル助成金」が決定

2016年12月6日

12月2日の労働政策審議会で次の2つの厚生労働省令の改正が決まりました。

以下、解説。

(①は長い割に大した改正ではないので、関係なさそうと思ったら②に飛んでください)

 

① 通勤災害の適用範囲の拡大

通勤災害と認められるには

通勤災害と認められるかどうかはそれが「通勤中」の災害だったかが重要で、通勤から逸脱していたり、通勤そのものを中断している場合、逸脱・中断中およびその後の移動は「通勤中」とは認められません。

ただし、「日常生活上必要な行為であって厚生労働省令で定めるもの」であれば、逸脱・中断後の移動については通勤と認められます(逸脱・中断中は省令で定めるものであっても認められません)。

図にすると以下のような感じ。

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こちらの記事もご参考に。

 

対象家族の範囲が、改正育児介護休業法と同じに

では、「日常生活上必要な行為であって厚生労働省令で定めるもの」とはなにかといえば、日用品の購入や選挙権の行使、病院への通院、あるいは「家族の介護」などがこれに当たります。

今回「適用範囲の拡大」がなされるのは「家族の介護」の部分で、これまでは逸脱・中断とならない介護家族の範囲が、

  • 要介護状態にある配偶者、子、父母、配偶者の父母並びに同居し、かつ、扶養している孫、祖父母及び兄弟姉妹の介護(継続的に又は反復して行われるものに限る。)

となっていたものが、

  • 要介護状態にある配偶者、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹並びに配偶者の父母の介護(継続的に又は反復して行われるものに限る。)

と変わります。

つまり、孫、祖父母および兄弟姉妹についても「同居し、かつ、扶養している」必要はなくなったわけです。

長々と説明しましたが、要するに、来年1月の育児介護休業法の改正内容と、対象となる家族が同じになったわけです。

まあ、「孫、祖父母、兄弟姉妹」の介護をしていて、さらに通勤災害に遭う確率って相当レアというか低いとは思いますが、法律や省令に漏れがあってはいざというときに困るので、このように変更されました。

 

② 勤務間インターバル導入による助成金新設

勤務間インターバルとは、終業時刻と始業時刻のあいだを◯時間空ける、という制度で、欧州では常識、日本でも導入している企業が少しづつ増えていて、日本でも近いうちに法制化されることが予想されます。

今回の省令改正では、この勤務間インターバルを導入する企業に対して助成金が支払われるようになる予定です。

助成金の概要はで現在決まっているものは以下の通り。

来年度より「職場意識改善助成金」のコースの1つとして新設

  • 対象企業:中小企業
  • 助成対象:就業規則等の作成・変更費用、研修費用、労務管理用機器等の導入・更新費用等
  • 助成金額:「助成対象」でかかった費用の4分の3、上限は50万円

助成金は省令が改正されても、そこからさらに細かいことを厚生労働省が決めないとその全容はわかりません。

なので、勤務間インターバルを何時間にすればいいのかなど、細かいところはまだまだ不明です。

 

以上です。

①は実務的に大きな影響はあまりなさそうですが、②についてはインターバル勤務の導入のお考えの企業にとっては、助成金をもらうチャンスなので頭に入れておいたほうが良さそうです。

どちらも施行期日は平成29年1月1日の予定ですが、②の助成金の開始は来年度以降となります。

 

参考:「労働者災害補償保険法施行規則の一部改正」の諮問と答申

 

最後に余談。

今日から来週の12日まで、Amazonではサイバーマンデーセールというセールが行われております。

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現在わたしのKindle Paperwhiteは事務所にほぼ置きっぱなので、家用に買おうか迷うレベルですが、でも、家ではタブレットのほうがいろいろ便利なんだよなあ…。

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  • この記事を書いた人

社会保険労務士 川嶋英明

社会保険労務士川嶋事務所の代表。「いい会社」を作るためのコンサルティングファーム「TNC」のメンバー。行動経済学会(幽霊)会員 社労士だった叔父の病気を機に猛勉強して社労士に。今は亡くなった叔父の跡を継ぎ、いつの間にか本まで出してます。 著書に「「働き方改革法」の実務」「定年後再雇用者の同一労働同一賃金と70歳雇用等への対応実務」「就業規則作成・書換のテクニック」(いずれも日本法令)のほか、「ビジネスガイド」「企業実務」などメディアでの執筆実績多数。

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