就業規則の「半日単位年休」条文の作成のポイントと規定例

午前中に病院に行きたい、午後から子どもの授業参観がある。

こういった労働者側の要望に応えるため、年次有給休暇の半日単位取得を認めている会社は多いと思います。

本記事では、法律に則った正しい半日単位取得のため、就業規則の規定と併せて解説を行っていきます。

この記事でわかること
  • 年次有給休暇を半日単位で取得する場合の法律上の位置づけ
  • 半日単位年休を認める際に就業規則へ定めるべき事項
  • 「半日」の考え方や始業・終業時刻の定め方の実務ポイント
  • 半日単位年休の取得回数に上限を設ける必要性と考え方
  • 半日単位年休についての就業規則の規定例と変更例
目次

法律・労務管理から見た「半日単位年休」

この記事は、半日単位年休と就業規則の規定について書かれたものです。

法律や労務管理の運用から見た半日単位年休について知りたい方は、以下の記事で詳しく解説を行っているのでこちらをどうぞ。

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「半日単位年休」条文の必要性

「休暇」に関することは就業規則の絶対的必要記載事項に当たります。

年次有給休暇は「休暇」ですので、半日単位年休を認める場合は就業規則にその定めが必要となります。

「半日単位年休」条文作成のポイント

半日の考え方

労働基準法では、原則として1日を暦日で考えます。つまり、午前0時から午後12時を1日と考えるわけです。

この1日の半日ということは、午前0時から正午、正午から午後12時に分けるのが本来の、法律に基づいた考えといえます。

ただし、実務上は必ずしも正午を基準に考えないといけないということはありません。監督署もその辺を厳しく見ている節もないため、所定労働時間を半分にするような分け方でも、特に問題はないと考えられます。

始業・終業時刻を定める

半日単位年休を取得すると、その日の始業・終業時刻に変更が加わります。

始業・終業時刻については就業規則の絶対的必要記載事項に当たります。

そのため、半日単位年休の条文には必ず、変更が加わった後の始業・終業時刻を記載しておく必要があります。

半日単位取得が可能な限度

労働者に対し、半日単位年休を無制限に認めてしまうと、最大80日もの半日単位年休の取得が可能となってしまいます。

それでも構わないのであれば別に良いのですが、実際には業務の遂行上、問題が発生する会社の方が多いことでしょう。

また、そもそも年次有給休暇の原則は1日単位での取得であり、それを踏まえて時間単位年休については年5日までという限度が設けられていることを考えると、半日単位年休についても一定の限度を設けておく方が無難といえます。

就業規則「半日単位年休」の規定例

第○条(半日単位年休)

  1. 従業員は、会社が認めた場合、半日単位で年次有給休暇をの取得することができる。
  2. 年次有給休暇を半日単位で取得をした場合、0.5日分の年次有給休暇を取得したものとして取り扱う。
  3. 年次有給休暇の半日単位での取得は、付与日からの1年間で○回までを限度とする。
  4. 半日単位の年次有給休暇を取得した場合の始業・終業時刻は次の通りとし、休憩はなしとする。
    ① 前半休 午後2時~午後6時
    ② 後半休 午前9時~午後1時

規定の変更例

半日単位年休を午前休と午後休に分ける場合

第○条(半日単位年休)

  1. 従業員は、会社が認めた場合、半日単位で年次有給休暇をの取得することができる。
  2. 年次有給休暇を半日単位で取得をした場合、0.5日分の年次有給休暇を取得したものとして取り扱う。
  3. 年次有給休暇の半日単位での取得は、付与日からの1年間で○回までを限度とする。
  4. 半日単位の年次有給休暇を取得した場合の始業・終業時刻は次の通りとする。
    ① 午前休 午後1時~午後6時(休憩45分)
    ② 午後休 午前9時~正午

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