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子の看護休暇・介護休暇の半日取得と、年次有給休暇の半日取得の違い

2016/12/07

来年の1月の育児介護休業法の改正により、子の看護休暇および介護休暇の半日取得制度の導入が義務化されます。

一方、半日休暇というと「年次有給休暇の半日取得」を思い浮かべる人も多いと思います。

子の看護休暇・介護休暇の半日取得と、年次有給休暇の半日取得、どちらも半日休暇という点で共通しています。

ただし、子の看護休暇・介護休暇は取得目的が限定されていて基本的には無給(会社の取り決めで有給とすることも可能)である一方、年次有給休暇の取得目的は限定されておらず、当然有給です。

しかし、両者にはそれ以上に非常に大きな違いがあります。

今日はその違いについて解説。

 

両者の最大の違い

子の看護休暇・介護休暇の半日取得と、年次有給休暇の半日取得の大きな違い、それは法に定めがあるか否かです。

子の看護休暇・介護休暇の半日取得は来年の1月より育児介護休業法で法制化されます。

その一方で、年次有給休暇の半日取得に関しては法の定めはなく、行政通達で半日取得認められている(禁止されていない)だけです。

法に定めがあるかどうか、この違いは思いのほか大きく、法に定めがある場合、それに基づいて制度を組み立てる必要がありますが、法に定めがないと会社がある程度のルール作りをできることになるからです。

 

子の看護休暇・介護休暇の「半日」

まずは子の看護休暇および介護休暇の半日取得について見ていきましょう。

子の看護休暇および介護休暇を半日取得する場合、特に定め等がない場合、半日は「所定労働時間の半分」になります。所定労働時間が8時間なら4時間、7時間半なら3時間45分です。

ただし、この半日の定義については労使の合意による労使協定を結んだ上で変えることができます。

例えば、所定労働時間が8時間の会社で「午前3時間、午後5時間」というような半日の定義も可能です。

この場合、注意しないといけないのは賃金の控除で、午前3時間を半日と定義しているからといって1日に所定労働時間の2分の1である4時間分を「半日分として控除する」というのは労働者の不利となるため認められません。

一方で、午後5時間の休暇に対して「半日分の賃金の控除」を行う場合、5時間の休暇に対して4時間分しか控除しておらず、結果、労働者の有利となるため問題はありません。

 

子の看護休暇・介護休暇の半日取得の注意点

また、子の看護休暇および介護休暇は、家族1人の場合最低5日、2人以上の場合は最低10日の付与が義務付けられますが、半日取得の場合、半日を2回取った時点で1日分と数えます。

では、さきほどのような「午前3時間、午後5時間」のような半日の定義をした場合どうでしょうか。午前の半日休暇2回だと6時間しか休暇を取れておらず、所定労働時間の8時間に達しません。

実はこうした場合でも、半日休暇2回を取った時点で1日分と取得したと数えて構わない、というのが厚生労働省の見解です。つまり、半日単位の定義にかかわらず、半日単位2回で1日取得と数えるわけです。

ただし、所定労働時間未満でも1日分として数えられるからといって、1日分の賃金全額を控除するのはNG。

6時間しか休暇を取っていない以上、6時間を超える賃金の控除は労基法違反となります。

 

通達からみる年次有給休暇の半日取得

続いて、年次有給休暇の半日取得です。

さきほど、年次有給休暇の半日取得は法律ではなく通達で認められていると述べましたが、以下がその通達です。

法第39条に規定する年次有給休暇は、一労働日を単位とするものであるから、使用者は労働者に半日単位で付与する義務はない。(昭和63年3月14日基発150号)

「使用者に付与する義務はない」というのは言い換えれば、使用者さえよければ「付与してもいい」と取ることができます。

一方、使用者の都合で「半日単位の取得」を命令することはできません。

なぜなら、労働者側が1日単位の有給(法定通りの有給)を請求しているのに、法律以下の有給を取得せよ、と言ってるも同じだからです。

つまり、半日単位での取得はあくまで「労働者の請求がありき」であり、それを会社が認めるかどうか、というのが基本の運用となるわけです。

 

会社に裁量はあるものの…

半日単位の有給取得が「労働者の請求ありき」な点以外は、会社が決めることができます。

例えば、子の看護休暇および介護休暇のように、半日単位の定義を定めることもできますが、看護休暇等と違って労使協定を結ぶ必要はありません。

また、半日単位で取ることのできる日数に制限を設けたりすることもできるし、「義務はない」という点から禁止することもやぶさかではないでしょう。

とはいえ、半日単位の取得による年次有給休暇の際に支払われる額を、休暇の時間よりも低くしたりするのは、看護休暇等のときと同様にNG。

あくまで、他の法令に違反しない範囲で、会社の裁量が認められている点に注意が必要です。

 

以上です。

有給の半日取得に関しては法的な定めがないこともあり、制度としてはあるけれど、会社としてきちんとルールが決まってない所も多いのではないでしょうか。

一方、子の看護休暇および介護休暇の半日取得が法的に義務化されるので、規則の整備は不可欠です。

わたしの考えとしては、運用上の混乱や手間を生じさせないためにも、有給の半日制度を導入するのであれば、子の看護休暇および介護休暇の半日取得と、なるべくルールを合わせたほうが良いと思います。

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参考: 平成28年改正法に関するQ&A(参照:厚生労働省)

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名古屋の社労士事務所、川嶋事務所の代表で、このブログの筆者。 新しいこと、もの、特にIT関連が大好きで、社労士としては会社・労働者のITトラブル対策・就業規則作成が得意分野。 2016年4月から9月まで中日新聞で「働く人を守る労働保険」を連載、開業社労士専門誌「SR」に寄稿するなど、メディアでの執筆活動も。