その他法改正

平成29年(2017年)1月より改正される育児・介護休業法を徹底解説:介護休業編

2015年12月23日

追記(平成28年6月22日):平成28年3月31日に無事、改正育児介護休業法が成立したため、本記事の内容を一部変更しました。

追記(平成28年9月6日):厚生労働省より、今回の改正についてモデル就業規則と労使協定が出ました。PDFとリンクを貼っておくのでご参考いただければと思います。

追記(平成28年11月9日):法改正の内容として「有期契約労働者の介護休業の取得要件の緩和」を追加しました。

追記(平成28年11月29日):「介護休業の分割取得」に労働者側の休業申出の撤回について追加しました。

育児・介護休業法に関する規則の規定例・様式例(リンク先PDF)
【平成29年1月1日施行対応】育児・介護休業法のあらまし(厚生労働省公式HP)

 

育児・介護休業法というのは以外に複雑というか、様々な権利を労働者に認めている法律なのですが、認めすぎているが上に複雑で、それを活用する側の労働者もその対応をしないといけない企業への周知も全然進んでいないんですよ。

なので、育児や介護をする労働者にとってはかなりありがたい法律の割には、複雑なせいで死に文みたいな規定も多い。

加えて、法律で様々なことがガッチリ決まりすぎてて、育児・介護休業規程を作成する際の社労士側の裁量もほぼない。そのせいか、確かこのブログで育児休業や介護休業について、触れたことは恥ずかしながら一度もありませんでした。

今回の改正の大きな目的は社会問題化している介護離職に歯止めをかけることのようで、そのため今回は主に介護休業について述べ、次回、育児休業について書きたいと思います。

育児休業編はこちら

 

1. 介護離職を避けるための改正

1.1. 1.介護休業の分割取得

これまで、対象家族1人につき要介護状態1回につき1回だけ、合計93日まで認められていた介護休業を、3回に分割して取得できるようになります。

ただし、3回まで分割できても、合計は93日のまま変わりません。

いつ終わるともわからないのが介護なのに、短いと思うかもしれませんが、これは介護休業はあくまで介護サービス等を見つけるための休業との位置づけだからです。

3回に分割して取得できるようになったこともあり、これまでは1回だけ認められていた休業の撤回(※)ですが、来年1月からは2回連続して労働者側が撤回した場合にのみ、会社が休業の申し出を拒否できるようになりました。

※ 休業の申出を撤回した場合、もう一度休業の申し出をした場合、1回に限り会社は拒否できなかったが、2回目以降は拒否できる、というのが平成28年12月末まで。

 

1.2. 2.有期契約労働者の介護休業の取得要件の緩和

有期契約労働者の介護休業については、①入社から引き続き1年以上の雇用期間があることに加えて、②休業終了後1年を経過する日まで雇用関係が続く見込みがあることが条件でした。

今回の改正では、①入社から引き続き1年以上の雇用期間があることは変更ありませんが、その後の契約期間については休業終了後6ヶ月を経過する日まで雇用関係が続く見込みがあることが条件となり、必要な労働契約の期間が6ヶ月期間が短くなります

 

1.3. 3.介護休暇の半日取得

要介護状態にある対象家族の介護のために年5日(要介護状態の対象家族が2人以上いる場合は10日)まで認められている介護休暇について、半日(所定労働時間の二分の一)単位での取得が可能となります。

年次有給休暇でも半日取得が認められていますが、それと同じようなものとなります。

ただ、介護休暇を無給扱いしていても、半日単位の場合は、半日分は給与が発生するのでご注意を。

 

1.4. 4.所定労働時間の短縮等の措置

労働者の申出により、現在は最大93日間まで認められている所定労働時間の短縮措置ですが、現行の条文ですと介護休業を取得した日数分、所定労働時間の短縮等の措置の期間を差し引いても良いことになっています。

つまり、介護休業と短縮等の措置合わせて最大93日しかできませんでした。

法改正ではこれをやめて、介護休業とは別に、労働者の申し出に基づく3年以上の期間、所定労働時間の短縮等の措置を講じる必要があります。

短縮等の措置とは具体的には以下の4つ。この中から1つ、「事業主(会社)」が選択して実施することになります。

  1. 週又は月の所定労働時間の短縮措置(短時間勤務)
  2. フレックスタイム制度
  3. 始業・終業時刻の繰上げ・繰下げ(時差出勤の制度)
  4. 介護サービスを利用する場合、労働者が負担する費用を助成する制度その他これに準ずる制度

 

1.5. 5.介護のための所定外労働の免除

労働者が請求した場合、会社はその労働者に所定外労働を免除するというもの。

所定外労働なので、所定労働時間が5時間の人は5時間まで、7時間の人は7時間までとなります。法定労働時間の8時間でないところに注意です。

こちらは育児を行うものについてはこれまでも認められていましたが、介護を行う人については認められていませんでした。

ただし、育児の場合と同様、事業の正常な運営を妨げる場合に限り、会社は労働者の請求を拒否することができます。

 

1.6. 6.介護休業等の対象家族の範囲の拡大

現行の介護休業の対象となる対象家族は

  • 配偶者
  • 父母
  • 配偶者の父母
  • 同居しかつ扶養している祖父母、兄弟姉妹および孫

とされていますが、これに加えて、

  • 同居・扶養していない祖父母、兄弟姉妹および孫

追加されます。他と違って、法律ではなく省令の変更なので、他の内容とは違って施行日はまだ明らかではありませんが、他と合わせて平成29年1月の改正になるのはほぼ間違いないでしょう。

 

1.7. 7.仕事と介護の両立に向けた情報提供

「労働者に対する介護サービスや介護休業に関する相談・支援の充実を図るとともに、企業における両立支援制度の利用等に関する周知や相談窓口の設置等の取組を支援する。」とのこと。

いまいち意味が曖昧ですが、制度の周知については行政と企業がともに行っていくようです。

たぶん、「仕事と介護の両立」についてのパンフレットとかが作成されたりすんじゃないでしょうかね。

 

以上となります。

この記事を追記している平成28年6月現在は、法改正こそ行われたものの、まだ厚生労働省の方から指針や資料、Q&Aなどが出ていません。

そのため、あと半年で施行される改正育児介護休業法ですが、各制度の細かい部分の解釈についてはまだ曖昧な部分が残っている点はご了承を。それらが通達され次第、このブログでも情報発信していく予定です。

追記:冒頭でも述べたとおり、厚生労働省より詳しい解説やモデル規定が出ています。

仕事と介護の両立支援制度

「雇用保険法等の一部を改正する法律」の改正内容 [ (リンク先PDF)

明日は育児休業等についてです。

 

参考資料: 平成28年雇用保険制度の改正内容について

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  • この記事を書いた人

社会保険労務士 川嶋英明

社会保険労務士(登録番号 第23130006号)。社会保険労務士川嶋事務所の代表。「いい会社」を作るためのコンサルティングファーム「TNC」のメンバー。 社労士だった叔父の病気を機に猛勉強して社労士に。今は亡くなった叔父の跡を継ぎ、いつの間にか本まで出してます。 著書に「「働き方改革法」の実務」「定年後再雇用者の同一労働同一賃金と70歳雇用等への対応実務」「就業規則作成・書換のテクニック」(いずれも日本法令)のほか、「ビジネスガイド」「企業実務」などメディアでの執筆実績多数。

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