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個人型確定拠出年金の愛称が「iDeCo(イデコ)」に決定、って確定拠出年金ってそもそも何?

2016年9月20日

一般公募されていた個人型確定拠出年金の愛称が「iDeCo(イデコ)」に決定したそうです。

なんだかmanacaとかSUICAとかiDとかとにかく電子マネーみたいな字面ですが、こちら「individual-type Defined Contribution pension plan」の略から取られているそうです。

昔、プロ野球にいて今はメジャーリーグにいるイ・デホ(李大浩)ではないのでご注意を(間違えるか)。

ただ、そもそも確定拠出年金って何? って方も多いのではないでしょうか。

今回はその確定拠出年金について解説。

 

掛け金が決まっている年金

確定拠出年金とは個人年金の一種で、毎月の掛け金が決まっている年金のことです。

拠出するお金(毎月の掛け金)が確定している(決まっている)から確定拠出年金という名前です。

毎月の投資額が決まっている一方で、高齢者になってからもらえる年金の額は不確定です。

なぜなら、毎月支払うお金を自分で運用して、その掛け金と運用益を年金または一時金としてもらう、というのが確定拠出年金の仕組みだから。

運用方法によって老後にもらえる額は変わってくるわけです。

 

掛け金や運用益が非課税

毎月の給与等からお金を出してそれを老後のために自分で運用する、一見すると通常の資産運用と何が違うのか、という感じですね。

通常の資産運用と大きく異なるのは、まず確定拠出年金の掛け金が非課税である点。

そのため、普通に資産運用するよりも所得税や住民税が安くなります。

また、運用益についても非課税。

それも資産運用中はずっと非課税なので、運用期間が長ければ長いほど基本的には得になります。

また、年金として返ってくる際も、税制面で優遇措置があります。

 

60歳以降に下ろせる積立貯金

デメリットとしては、まだまだ商品ラインナップが少ない点と、60歳までは原則下ろせない点。ちなみに、確定拠出「年金」という名前ですが、一時金として下ろせる場合もあります。

運用というと、株式投資やFXのイメージが先行して「損するのでは」と思う人もいるかと思います。

ただ、私たちの指示で確定拠出年金の掛け金を運営する側は、必ず3つ以上の商品を提示して、その中から選ばせることが義務付けられている上、そのうち1つは元本が確保されるものでなければならないとされています。

つまり、どうしても心配なら元本が確保されるものを選んで、掛け金の税額控除を受ければいいわけです。

元本保証の商品があることや年金だけでなく一時金での支給もできる点から、確定拠出年金は「60歳以降に下ろせる積立貯金」と考えることもできます。

 

企業型と個人型

確定拠出年金についての大まかなことは以上です。

ただ「iDeCo(イデコ)」は確定拠出年金は確定拠出年金でも、「個人型」確定拠出年金の略称。

じゃあ、「個人型」の他に何があるのか、といえばそれは「企業型」です。

企業がやっているのが「企業型」で、個人がやるのが「個人型」、そのままですが、個人型は個人事業主だけが入れるわけではありません。

企業に務めてはいるものの、その企業が「企業型」や他の企業年金制度をやってない場合、「個人型」に入って確定拠出年金を行うことができます。

確定拠出年金は「企業型」か「個人型」をどちらも同時に行うということはできないため、会社勤めの方はまずは、自分が企業型や他の企業年金制度に入っているのかどうか確認する必要があるでしょう。

 

企業型と個人型の違い

さて、企業型と個人型、両者にどのような違いがあるのでしょうか。

まずは掛け金の支払い方法が違います。

「個人型」の場合は当然、個人で支払うことになりますが、「企業型」の場合は企業を通じて支払われます。

この場合、基本的には会社が掛け金を拠出しますが、従業員自らが拠出することもできます。

また、掛け金の限度額も違います。

企業型の場合、以下のとおりですが、

区分拠出限度額
他の企業年金制度を実施している企業の従業員月額27500円
他の企業年金制度を実施していない企業の従業員月額55000円

個人型の場合はこのようになります。

区分拠出限度額
企業型や他の企業年金制度を実施してない企業の従業員月額23000円
自営業者等付加保険料、国民年金基金の掛け金と合わせて月額68000円

すでに述べたように、掛け金は非課税なので、限度額によってその恩恵を受けられる度合いが変わります。

 

来年一月より対象範囲が拡大

個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」を始めるには、国民年金基金連合会への申し出が必要となります。

申し出ができるのは以下の2つの場合。

  • 国民年金法の第一号被保険者(保険料免除されている場合は除く)
  • 60歳未満の厚生年金被保険者で、法令で定める企業年金制度に加入していないもの

このため、公務員や専業主婦は確定拠出年金制度の利用はできませんが、来年(平成29年)1月1日以降は加入者の拡大が行われ、公務員専業主婦の他、企業型確定拠出年金以外の企業年金制度を設けている会社の従業員も「iDeCo(イデコ)」を始めることができるようになります。

60歳になるまで下ろせない、というのが大きなマイナスではあるものの、それさえ飲み込めば普通の資産運用と比べてかなりお得な制度と言えるので、検討してみてもいいのではないでしょうか。

以前、書評した山崎元さんのこちらの著書でもオススメされています。

こちらは厚労省が出してる「iDeCo(イデコ)」のイメージ図ですが、ごちゃごちゃし過ぎで逆にわかりづらい(笑)。

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  • この記事を書いた人

社会保険労務士 川嶋英明

社会保険労務士川嶋事務所の代表。「いい会社」を作るためのコンサルティングファーム「TNC」のメンバー。行動経済学会(幽霊)会員 社労士だった叔父の病気を機に猛勉強して社労士に。今は亡くなった叔父の跡を継ぎ、いつの間にか本まで出してます。 著書に「「働き方改革法」の実務」「定年後再雇用者の同一労働同一賃金と70歳雇用等への対応実務」「就業規則作成・書換のテクニック」(いずれも日本法令)のほか、「ビジネスガイド」「企業実務」などメディアでの執筆実績多数。

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