年金・健康保険制度

扶養内で働きたい主婦等の社会保険加入に影響大な週所定労働時間20時間と変形労働時間制の関係

2016年4月27日

このブログでは、過去何度も、平成28年10月より施行される社会保険の適用拡大について書いてきました。

ただ、今までは主に106万円の壁(月額8.8万円の壁)についてがメインでしたが、今回は労働時間について書いていこうと思います。

 

平成28年10月以降の社会保険加入条件についておさらい

まずはおさらいですが、平成28年10月1日以降、以下のすべての条件をみたす場合、社会保険に加入する必要があります。

  1. 1週間の所定労働時間が20時間以上
  2. 月額賃金8.8万円以上(年収106万円以上)
  3. 1年以上継続して雇用される見込みがある
  4. 従業員501人以上の企業(従業員の数に含めるのは現行の被保険者)
  5. 学生でない

(上記に当てはまらない場合は、1日の所定労働時間もしくは月の所定労働日数が、通常の労働者の4分の3以上のものが加入対象)

追記:令和2年の法改正で、令和4年10月より101人以上、令和7年10月より51人以上の企業が対象になります(関連記事:令和4年には101人以上、令和6年には51人以上の会社が特定適用事業所に)。

 

すべての条件を満たす必要があるので、106万円の壁にビクビクな方も、週の労働時間を20時間未満に抑えれば大丈夫なわけです。

ただ、今回は106万円の壁は置いておきます。今日の主題は1の「1週間の所定労働時間が20時間以上」の方なので。

 

変形労働時間制を採用している場合は注意

普通に週休2日の事業所であれば、この条項、特に気にする必要は無いのですが、例えば、1年単位の変形労働時間制や1ヶ月単位の変形労働時間制を採用している場合、土曜日に出勤することもあると思います。

で、週の労働日数が週によって5日になったり6日になったりすると、当然、週によって労働時間が20時間で収まったり、20時間以上になったりしてしまいます。

そのため、変形労働時間制を採用する事業場では、週の所定労働時間が20時間以上かどうかの判断のためにちょっとした計算をしないといけません。

 

1年単位の変形労働時間制を採用する場合

1年間の所定労働時間を52で割って計算します。52というのは1年間を週に直したもの。

1年間の所定労働時間を52で割ると、その年の1週間の平均所定労働時間が出るので、それが20時間以上か未満かで見るわけです。例えば、1年の所定労働時間が2080時間の場合、これを52で割ると週の所定労働時間は40時間となります。

なので、1年単位の変形労働時間制の場合、20時間を超えるかどうかのボーダーラインは1年間の所定労働時間が1040時間以上となるか未満となるか、で見ないといけません。

 

1ヶ月単位の労働時間制を採用する場合

1ヶ月の所定労働時間を12分の52で割って計算します。

12分の52ってなんだって話ですが、1ヶ月の所定労働時間に12をかけると、年間の労働時間が出ますよね。それを1年を週に直した52週で割ると、年間で見た場合の、週の平均的な所定労働時間を算出することができます。

例えば、週の所定労働時間が168時間の場合、168に12をかけると2016。これを52で割ると約38.8時間になり、これが社会保険加入の条件を満たすかどうかの判断をする際の、週の所定労働時間となります。

で、上記の式を20時間を超えないよう逆算してみると、1ヶ月単位の変形労働時間制を採用する場合のボーダーラインは86時間となります。87時間だと上記の計算で20時間を超えてしまいます。

まあ、厳密に言うと、86時間40分まではギリギリ大丈夫ですが、多少の余裕は見ておいたほうがよいと思い、86時間としました。

 

まとめ

というわけで、1年単位の変形労働時間制を採用する場合は年の所定労働時間を1040時間未満、1ヶ月単位の変形労働時間制を採用する場合は、1ヶ月の所定労働時間を86時間以下に抑えると、社会保険に加入する必要はなくなります。

ただし、週の所定労働時間が20時間未満だと、社会保険に加入できないのはもちろんのこと、雇用保険にも加入できなくなるので注意が必要です。

ちなみに、週の所定労働時間が20時間以上で、月額賃金が88000円未満の場合、社会保険に加入せずに雇用保険には加入可能ですが、ただ、この場合、地域によっては最低賃金を下回るところもあるでしょう。

名古屋のブロガー社労士の日記TOPへ戻る
  • この記事を書いた人

社会保険労務士 川嶋英明

社会保険労務士川嶋事務所(名古屋)の代表。 人事労務と無関係に暮らしてたはずが、社労士だった叔父の病気を機に猛勉強。今は亡くなった叔父の跡を継ぎ、いつの間にか本まで出してます。 3冊の著書のほか「ビジネスガイド」「企業実務」など専門誌への寄稿、中日新聞での短期連載など、メディアでの執筆実績も多数

-年金・健康保険制度