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社会保険 調査

4年に1度のお楽しみ!? 年金事務所による社会保険の調査で気をつけるべき点を解説

2018/05/25

年金事務所では全国の事業所に対し定期的に社会保険の関する調査を行っています。

年金事務所から調査の依頼が来ると「何か悪いことでもしたのかな」と心配してしまう事業主の方もいらっしゃいますが、あくまで定期的なものなので不安がる必要はありません。

調査の頻度は4年に1回と言われています(少なくとも名古屋周辺の年金事務所の調査ではそのように説明されます)。

つまり、どの会社も4年に1回は社会保険の調査を受けるということだし、年金事務所の目線に立つと4年で全国の事業所を調査しきらないといけないというわけです。

今回は、年金事務所による社会保険の調査で、先方がどのようなことを調べようとしてくるのか、という解説。

 

年金事務所による調査の基本

まず、基本的なことですが、年金事務所の調査では基本的に会社側(会社の代理として社労士が行く場合を含む)が年金事務所に足を運びます。

その際、必要となるものは調査の依頼が届いた際の書類に書いてありますが、だいたい以下のような感じ(年金事務所や調査の目的によって変わることも)。

  • タイムカード(基本は過去2年分だが、年金事務所や調査の目的によって変わる)
  • 賃金台帳(基本は過去2年分だが、年金事務所や調査の目的によって変わる)
  • 労働者名簿
  • 源泉納付書(基本は過去2年分だが、年金事務所や調査の目的によって変わる)
  • 算定基礎届や賞与届など過去の届出のコピー一式
  • 就業規則・労働契約書
  • 会社印・ゴム印   など

会社印・ゴム印については、調査時に持っていると訂正等があったときにその場で届出が出せます。ただし、仮に持ってなくても訂正に関しては後からでもできます。

次からは皆さんが気になる、調査で調べられることです。

 

調査事項① 社会保険の加入状況

社会保険の調査の目的は1にも2にもこれです。

パートやアルバイトなどで、法令上、本当は加入する必要があるのに加入していない人がいないか年金事務所の担当者が調査します。

その主な方法は「タイムカードのチェック」と「源泉納付書のチェック」の2つ。

 

タイムカード

まず、前提として、社会保険では週の労働時間もしくは月の労働日数が常時雇用する労働者の4分の3以上の場合、パートやアルバイトでも社会保険に加入する義務があります(特定適用事業所でない場合。特定適用事業所の場合は週20時間以上など要件が異なる)。

特定適用事業所以外 週の労働時間もしくは月の労働日数が常時雇用する労働者の4分の3以上
特定適用事業所 週20時間以上(その他、月額賃金等の条件あり)

調査でタイムカードをチェックするのは、上記のような条件を満たしているのに加入していない労働者がいないかどうかを探すためです。

ただ、例え、上記の基準を超えていたとしても業務の都合などにより一時的に労働時間や労働日数が増えているだけの場合は加入の対象とはなりません。

もちろん、それが恒常的となっていると判断できる場合は別ですが(就業規則や労働契約書を持っていくのは、それが恒常的なものか一時的なものかの判断に使用されるためです)。

ちなみに調査の際に持って行くタイムカードは、賃金台帳等に労働時間が書いてあれば、それで代用できる場合がほとんどです。

 

源泉納付書

一方、源泉納付書を先方が調べるのは、タイムカードや労働者名簿に名前のない労働者がいないかどうかを確かめるため。

というのも、源泉納付書には所得税の額とともに、所得税がかかった人数が記載されています。

そのため、この人数と労働者名簿や賃金台帳の労働者数に齟齬があると怪しさ爆増。

他に労働者がいるのでは、虚偽の書類を持ってきているのでは、と疑われてしまうこと間違いなし、というわけです(幸い、そういう場面に遭遇したことはありませんが)。

 

被扶養者に関して

パート・アルバイトの方からすると被保険者となるかどうかもそうですが、年収によって旦那さんなどの被扶養者でいられるか、外れてしまうのか、といった点は気になるところでしょう。

これについては正直、年金事務所からしても調べようがないようで(※)、こうした調査で調べられることはありません。

ただ、今後、マイナンバーによる行政官庁の情報共有が進めば、こうした調査によらなくても、被扶養者の収入がわかる可能性があるので注意が必要です。

※ 調査対象の会社の賃金台帳やタイムカードを見れば被保険者の賃金や労働時間はわかるが、被扶養者の収入まではわからないため

 

調査事項② 標準報酬月額

社会保険の保険料や年金の給付額等は、月の賃金額を元にした標準報酬月額によって決まります。

よって、この額が正しいかどうかと言うのは、年金事務所、会社・被保険者双方にとって重要です。

標準報酬月額は通常4月、5月、6月の賃金を元に決定します(手続きの際、算定基礎届を提出するので「算定」と呼びます)。

その一方で、昇級や減給などで賃金額に大きな変動があった場合は随時改定する必要があります(標準報酬月額を変更することから「月変」と呼びます)。

こうした手続きがきちんと行われているか、正しい金額で行われているか、年金事務所の調査担当者は、年金事務所が持っている資料と、会社が持ってきた賃金台帳や給与明細等をつき合わして確認します。

以下のようなミスが標準報酬月額ではよくあることなので普段から気をつけたいところです

標準報酬月額でありがちミス

  • 月額変更届の出し忘れ
  • 固定的な賃金の変動から3ヶ月を待たずに、あるいは遅れて月額変更届を提出
  • 固定的な賃金と非固定的賃金の区別(月変は固定的な賃金の変動があったときで、2等級以上賃金が変動したときに提出する。一方の算定は固定的か非固定的かを問わず)  など

 

ちなみに、7月1日から10日にかけてが「算定」の期間となりますが、この「算定」に合わせて調査を行う場合もあります。

算定基礎届の提出のついでに、調査も行うという感じです。

この場合、①の社会保険の加入状況よりも、算定がきちんと行われているかが重要になります。

 

調査事項③ 賞与届その他

上記の①②のほか、賞与届など過去の届出などもチェックします。

 

調査後

調査の結果、特に問題がなければそれで終わりです。

一方、社会保険の加入漏れや手続きに間違い等があると、それを訂正する必要があります。

訂正は単なる書類の訂正で終わらないことがほとんどです。

特に社会保険の加入漏れにより、遡って労働者を社会保険に加入させないといけないとなると、遡った分の社会保険料を支払う必要が出てくるので注意が必要です。

標準報酬月額の月額変更を忘れていた場合など、標準報酬月額の訂正が必要な場合も差額分の納付が必要になります。

 

以上です。

調査の依頼があってからこの記事を見て、ここを直そうあそこを直そうとしても、たいていの場合は手遅れなので、普段の手続きからきちんと法令に則った手続きを行っていきましょう。

逆に言えば、法令に則った手続きを普段からきちんと行っている会社からすると、社会保険の調査なんて何も怖いものではありません。

 

今日のあとがき

仕事の関係上、社会保険の調査に関しては、年間でそれなりの数行ってます。

まあ「年間で何件」とか書くと、その「×4」がお客さんの数とバレてしまうので書きませんが(笑)。

また、最近では社労士の歴が5年を超えたということもあり、「2回目」という会社も増えてきたのもなんだか感慨深いものがあります。

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名古屋の社労士事務所、川嶋事務所の代表で、このブログの筆者。 新しいこと、もの、特にIT関連が大好きで、社労士としては会社・労働者のITトラブル対策・就業規則作成が得意分野。 2016年4月から9月まで中日新聞で「働く人を守る労働保険」を連載、開業社労士専門誌「SR」に寄稿するなど、メディアでの執筆活動も。