ハラスメント

厳しく指導したらパワハラ?その「ライン」と備え方を名古屋の社労士が解説

2025年10月27日

「厳しいことを言うと、すぐにパワハラって言われそうで怖い」

最近、そんな不安を口にする経営者や管理職の方が、弊所の活動エリアである名古屋市周辺でも増えています。

一方で、社員側も「気に入らないことがあったらパワハラって言ってやろう」と考えているケースも少なくありません。

では、会社はどのように対処すれば良いのでしょうか。

 

1. 法律で定められた「パワハラ」の3要件

まず「パワハラ」という言葉について、便利に使われがちですが、実は法律上の定義は明確です。

職場におけるパワーハラスメント(パワハラ)は、厚生労働省の指針に基づき、次の3つの要件を満たした場合に認定されます。

  1. 優越的な関係を背景に行われること
  2. 業務上必要かつ相当な範囲を超えること
  3. 身体的・精神的な苦痛を与えること

上記の3つがすべて揃って、初めて「パワハラ」として成立します。つまり、業務上必要な注意・指導であれば、原則としてパワハラには当たらないわけです。

パワハラの具体例については、厚生労働省の公表するパワハラ指針に記載されていますが、こちらについては過去記事で詳しく解説しています。

2020年6月(中小企業は2022年4月)より義務化! パワハラ指針を徹底解説

参考:職場におけるハラスメントの防止のために(セクシュアルハラスメント/妊娠・出産等、育児・介護休業等に関するハラスメント/パワーハラスメント)(厚生労働省)

 

2. 「常識的な叱責」はパワハラではない

業務上必要な注意・指導であれば、原則としてパワハラには当たらないわけ以上、たとえば、

  • ミスが続く社員に対して再発防止を指導する
  • 業務改善を求める
  • 成果目標を定める

といった行為は、その内容や言い方が常識の範囲内であれば、パワハラとは認められません。

一方で、人格を否定するような言葉や長時間の叱責などは、業務上の範囲を超えた行為として問題となります。

 

3. 「言われないようにする」より「言われても大丈夫にする」

とはいえ、現実問題としては、労働者側が言ってやる気満々なら「パワハラだ」と言われる可能性をゼロにするのは不可能です。

だからこそ大切なのは、「パワハラではない」と説明できる体制と証拠を整えておくこと。

そのためには、

  • 上で述べたパワハラの定義をきちんと理解し、その類例を覚えるための研修
  • 指導の経緯や内容を記録しておく
  • 面談・注意の際には複数人で立ち会う
  • 就業規則や社内規程に「ハラスメント防止方針」を明文化しておく

このような準備こそが、パワハラに怖がらずに指導できる環境づくり」につながっていきます。

 

4. 名古屋でのパワハラ防止体制を依頼するなら川嶋事務所へ

川嶋事務所では、名古屋市を中心に

  • パワハラ・労務トラブルに対応する就業規則の整備
  • 指導・評価のルール設計と職場環境づくり
  • ハラスメント防止研修の企画・実施サポート

を行っています。

「うちの指導の仕方は大丈夫だろうか?」

「トラブルを未然に防ぐルールを整えたい」

そんなときは、ぜひ一度ご相談ください。

実際のケースに合わせて、会社を守る「理論的な防御」をお手伝いします。

川嶋事務所へのお問い合わせはこちらから!

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  • この記事を書いた人

社会保険労務士 川嶋英明

社会保険労務士川嶋事務所の代表。 「会社の成長にとって、社員の幸せが正義」をモットーに、就業規則で会社の土台を作り、人事制度で会社を元気にしていく、社労士兼コンサルタント。 就業規則作成のスペシャリストとして豊富な人事労務の経験を持つ一方、共著・改訂版含めて7冊の著書、新聞や専門誌などでの寄稿実績100件以上あり。

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