「川嶋さん、退職代行の会社から連絡があったんだけど…」
名古屋市やその近郊の顧問先から、わたしもこうした相談を受けたことがあります。
ここ数年で急増している「退職代行」。
SNSの普及もあり、名古屋のような地方都市でも、若手社員を中心に利用が広がっています。
いざ自社に連絡が来ると驚く方も多いですが、まずは落ち着いて対応することが大切です。
この記事の目次
1. 退職代行から連絡がきたら、どうすべき?
結論から言えば、退職代行サービスから連絡があった場合、会社は退職手続きを進めるしかありません。
なぜなら、民法では、労働者が「辞めます」と意思表示すれば、原則2週間後には退職できると定められているからです。
これは、退職代行を通じて伝えられたか、本人が直接言ったかは問題ではありません。
何より「もう会社にいたくない」という意思がはっきりしている以上、引き留めても無意味でしょう。
ちょっと余談的コラム
ちょうど、この記事を投稿するタイミングで退職代行大手「モームリ」に家宅捜索が入りました。
そのため、退職代行は違法とか、退職代行の言うことを聞く必要はないと考える人もいるかもしれません。
しかし、問題があったのは労働者の代わりに退職代行をすることではありませんでした。(問題となったのはいわゆる非弁行為です)
実際、退職代行サービスの先駆けである「EXIT」に関しては裁判でも、問題はないとお墨付きを得ていると、同社の代表がXでポストしています。
2. 突然の退職で困るのは「引継ぎ」と「撤回」
とはいえ、現場としてはいきなり辞められたら困るのは確かです。
引継ぎの問題もありますし、後からやっぱり退職を撤回されても面倒。
では、こうしたトラブルを防ぐにはどうしたらいいのでしょうか。
お勧めの対応としては、「突然辞める人」と「きちんと引継ぎを行う人」に差を設ける仕組みを作ることです。
3. 辞職と合意退職で就業規則の規定に差を設けることが退職代行対策に
どういうことかというと、労働者の都合で辞める退職のことを一般に自己都合退職といいますが、この自己都合退職にも辞職と合意退職があります。
辞職と合意退職の違いは、会社が労働者の退職に合意しているかどうか。
そして、辞職か合意退職かで、例えば退職金に差をつけたり、特別に余った有給を買い取るということは法律上問題ありません。
また、会社が退職に合意するかどうかも自由です。そのため、例えば「引継ぎをきちんとする人の退職には合意する」「退職代行を使った人の退職には合意しない」といったことも可能。
こうした辞職と合意退職の違いを利用すると、退職代行への間接的な対策もできるわけです。
4. 本当に大事なのは「次に起こさない仕組みづくり」
退職代行の連絡を受けたとき、ショックを受けるのは自然なことです。
ですが、本当に大切なのは“なぜそうなったのか”を分析し、次に同じことが起きないようにする仕組みづくり。
その一手として辞職と合意退職に差を設けるルール作りは非常に効果的と言えるでしょう。
名古屋の社労士事務所、社会保険労務士川嶋事務所では、退職トラブルを防ぐ就業規則の整備サポートし、労務リスクを軽減する職場環境づくりのアドバイスを行っています。
もしも
「うちも退職代行が来たらどう対応すればいい?」
「今の就業規則で問題ないか確認したい」
という方は、ぜひお気軽にご相談ください。
退職代行に“ビクビクする会社”から、“トラブルに強い会社”へ。
今こそ、就業規則の見直しを始めましょう。