ハラスメント

佐川急便の件に思う「パワハラ」も「いじめ」も法に触れる行為はただの犯罪だ

2016年10月28日

昨日、しばらくブログは更新できないと書いたばかりですが、舌の根も乾かぬうちに今日書きます。

30分で書くんで許して。

電通に続き、佐川急便でも自殺に対する労災認定が降りたことがニュースになっています。

上司からエアガン・つば…佐川急便22歳自殺、労災認定

自殺の原因は上司からの執拗ないやがらせ。

というか、いやがらせの範疇を超え、エアガンを撃つ、つばを吐きかける、といった暴行罪や侮辱罪も十分に成立しそうな内容です。

これらの被害に遭った被災者は鬱を発症、結果的に自殺してしまったそうです。

 

電通とは異なる

個人的には今回の件は、同じ「自殺の労災認定」と言えど、電通とは全く違うとわたしは考えています。

というのも、電通の場合は、企業風土に根付いた「長時間労働」(とパワハラ)が労働者を追い詰めた一方、今回の件はあまりにも「幼稚な上司」による「個人の資質に基づくパワハラ行為」が労働者の自殺の原因となっているからです。

もちろん、そうした人間を人の上に立たせた会社の責任は免れないし、もっと早い段階で懲戒処分できなかったのか、という疑問もある。もしかしたらそうした上司を生む企業風土が佐川急便にはあるのかもしれない。

 

単なる犯罪行為まで「パワハラ」と呼ぶ違和感

その一方で、職場でエアガンを撃ったり、つばを吐きかける、ということを「平気でする」人間の行為を「パワハラ」で片付けるのはどうしても違和感がある。

これは「いじめ」という言葉に対する違和感と同じで、「いじめ」と呼ばれる行為のほとんどは犯罪だが、「いじめ」という言葉に置き換えられることで、問題は矮小化される。

「パワハラ」という言葉にも同じ効力がある。

今回のような明らかな犯罪行為を単なる「行き過ぎた行為」に置換し、おまけに「会社と責任を分け合う」ニュアンスが生まれるので、行為者の責任を軽くする(実際、賠償などの面で、会社がその多くを負担するので、金銭的な負担が軽くなる)。

本来であれば、この上司はパワハラ上司としてではなく、暴行犯として犯罪行為として刑事罰や民事罰を受けるのが筋なのではないか。

いじめが、いじめに対して何の解決力もない教師が「いじめられたら教師に言え」などと言うから、警察に通報されづらくなっているのと同じように、パワハラという言葉が、パワハラを超えた犯罪行為に苦しむ人達の妨げになっているように思えて仕方ない。

 

個人の資質にどこまで会社は責任を負うのか

また、すでに述べたように、会社がある程度の責任を負うことは仕方ないとは思う。

その一方で、今回のような個人の資質、それも人間の出来上がった大の大人の資質に関わるような部分に、どこまで会社が責任を負わなければいけないのか、という疑問は拭えない。

どんなにイカれていても、簡単には解雇できないわけだから。

 

怒りに任せて書いたので、いつものですます調は後半封印されてしまいましたな。

結果、書くのに40分かかったけど、今回は以上です。

 

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  • この記事を書いた人

社会保険労務士 川嶋英明

社会保険労務士川嶋事務所の代表。「いい会社」を作るためのコンサルティングファーム「TNC」のメンバー。行動経済学会(幽霊)会員 社労士だった叔父の病気を機に猛勉強して社労士に。今は亡くなった叔父の跡を継ぎ、いつの間にか本まで出してます。 著書に「「働き方改革法」の実務」「定年後再雇用者の同一労働同一賃金と70歳雇用等への対応実務」「就業規則作成・書換のテクニック」(いずれも日本法令)のほか、「ビジネスガイド」「企業実務」などメディアでの執筆実績多数。

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