労働契約

Q5 内定を与えてもは正式な労働契約を結んだことにはなりませんよね

2015年10月14日

A5 いいえ、一部制限付きではありますが、正式な労働契約を結んだことになります

始期付解約権留保付労働契約

内定とは、難しい言い方をすると始期付解約権留保付労働契約とされています。

始期付とは「勤務開始時期が明らかになっている」ということ。要するに入社日及び労働契約の開始がいつか決まっているということです。

また解約権留保とは「やむを得ない場合に、企業にそれを取り消すことができる」ということです。

つまり、契約の開始時期が決まっていて、やむを得ない場合に解約できるのが内定なのです。

とはいえ労働契約は労働契約。

内定を出した時点で企業と労動者のあいだには、労務の提供や賃金の支払などの勤務が開始されないと果たすことのできない義務以外の義務が発生することになります。

 

内定の取り消しは事実上の解雇

内定を取り消すことは、始期付解約権留保付労働契約の解約権を行使することであり、事実上の解雇と同義です。

そのため、この解約権はいつでも行使できるわけではなく、やむを得ない事由がある場合に限られます。

このやむを得ない事由について判例では

「採用内定当時知ることができず、また、知ることが期待できないような事実であつて、これを理由として採用内定を取り消すことが解約権留保の趣旨、目的に照らして客観的に合理的と認められ、社会通念上相当として是認することができるものに限られる(大日本製紙事件)」

としています。

つまり、それを知っていたら内定を出さなかったであろうことを内定を出した後に知り、なおかつ、その内容が客観的に見ても、社会通念上で考えても、取り消されてしょうがないと考えられるようなものでなければならないわけです。具体的には経歴詐称などがこれにあたります。

それでなくても、新卒採用至上主義が未だに蔓延する現在の日本では、内定を与えておきながらそれを取り消すという行為は、新卒という学生にとっても最も自分の労働力を売るチャンスを潰すことにもなりかねません。

第一希望の内定をもらいその後の就職活動を全てキャンセルしていた卒業間近の大学4年生などはその典型でしょう。

そのため、内定の取り消しという行為は相手の学生や家族、場合によっては世間や社会の大きな反感を生むことは避けられません。

 

労働契約についてのQ&A

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  • この記事を書いた人

社会保険労務士 川嶋英明

社会保険労務士川嶋事務所(名古屋)の代表。 人事労務と無関係に暮らしてたはずが、社労士だった叔父の病気を機に猛勉強。今は亡くなった叔父の跡を継ぎ、いつの間にか本まで出してます。 3冊の著書のほか「ビジネスガイド」「企業実務」など専門誌への寄稿、中日新聞での短期連載など、メディアでの執筆実績も多数

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