Q2 労働契約を結ぶ際に労動者に必ず伝えておかないといけないことはありますか

2015年10月14日

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Q2 労働契約を結ぶ際に労動者に必ず伝えておかないといけないことはありますか

2015年10月14日

A2 法律で絶対的明示事項と相対的明示事項というものが定められており、それらを明示する必要があります。また、書面で明示する義務のあるものも存在します

労働契約を結ぶ際、会社は労働者に労働条件の通知を行わなければなりません。

そして、労働条件の通知に関しては、絶対的明示事項と相対的明示事項という形で、法令で明示が義務づけられているものがあります。

 

絶対的明示事項

絶対的明示事項とは、その名の通り労働契約締結の際に絶対に明示しておく必要のある項目です。

具体的には、以下の通りとなります。

  1. 労働契約の期間
  2. 期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準(有期契約の場合)
  3. 就業の場所、従事すべき業務
  4. 始業・終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇(育児・介護休業を含む)、労働者を2組以上に分けて交代で就業させる場合においては就業時転換
  5. 賃金(臨時の賃金等を除く)の決定、計算、支払の方法、賃金の締切り、支払い時期および昇給
  6. 退職(解雇の事由を含む)

 

上記の絶対的明示事項のうち「昇給」以外の項目については、口頭だけでなく書面(もしくは労働者が希望する場合はeメールやFAXなどの電子媒体)で労動者に対して明示する必要があります。

 

相対的明示事項

また、相対的明示事項とは会社内に下記のような規則を定める場合に明示する必要のある事項です。

  1. 退職手当(適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算、支払方法、支払時期)
  2. 臨時の賃金等(退職手当を除く)および最低賃金額
  3. 労働者に負担させる食費、作業用品等
  4. 安全および衛生
  5. 職業訓練
  6. 災害補償および業務外の傷病扶助
  7. 表彰および制裁
  8. 休職

 

就業規則の絶対的必要記載事項および相対的必要記載事項と共通する部分が多いです。

ただし、労働契約の期間と期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準(有期契約の場合)、就業の場所、従事すべき業務、所定労働時間を超える労働の有無に関しては、個々の労働者によって異なるため、個別に明示する必要があります。

 

労働条件の通知と労働契約

労働条件の通知と労働契約は厳密には異なるものです。

労働条件の通知は、会社から労働者に一方的に通知されるものですが、労働契約は会社と労働者の合意がないと結ぶことはできません。

ただ、こと労働契約締結の際の労働条件の通知に関しては、労働条件通知の段階で労働契約の内容についてお互いが合意していると思われるため、次に説明する労働条件通知書を労働契約書代わりにすることも一般的に行われています。

 

労働条件通知書

労働条件の通知に関しては労働条件通知書を通じて行われることが普通です。

労働条件の通知には、書面で通知する必要のあるものがあるため、それ以外のものもまとめて書面で行うのが合理的だからです。

書式については、上記で解説した絶対的明示事項と相対的明示事項が記載されていれば基本的には自由ですが、厚生労働省が出している書式を会社ごとにアレンジして使用するのが一般的です。

労働条件通知書(出典:厚生労働省)

また、2019年4月より、労働者が希望する場合に限り、この労働条件通知書を紙ではなく、eメールやFAXで送ることが認められています。

 

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  • この記事を書いた人

社会保険労務士 川嶋英明

社会保険労務士川嶋事務所の代表。「いい会社」を作るためのコンサルティングファーム「TNC」のメンバー。行動経済学会(幽霊)会員 社労士だった叔父の病気を機に猛勉強して社労士に。今は亡くなった叔父の跡を継ぎ、いつの間にか本まで出してます。 著書に「「働き方改革法」の実務」「定年後再雇用者の同一労働同一賃金と70歳雇用等への対応実務」「就業規則作成・書換のテクニック」(いずれも日本法令)のほか、「ビジネスガイド」「企業実務」などメディアでの執筆実績多数。

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