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労働法 法改正

労働基準法改正によって中小に拡大される「1カ月60時間超えの時間外は割増率5割以上」と「代替休暇」

2017/06/23

臨時国会が招集されましたね。

社労士や人事・総務関係者の方々からすると、今年こそ、労働基準法の改正案がきちんと国会を通るのか気になるところではないでしょうか。

 

少し前にこのブログで、

有給の強制取得や残業割増率5割など、2017年以降に改正されるはずの改正労働基準法を解説

この臨時国会で予定されている改正労働基準法について解説させていただきました。

ただ、前回は1つ1つを詳しく、というよりは網羅的な感じだったので、今後は各項目についてより詳しく見ていきたいと思います。

といっても、きちんと法案が通らない限りははっきりとしたことは言いにくいので、今回は、改正労働基準法のなかから、「1ヶ月に60時間を超える時間外労働」について、詳しく解説したいと思います。

というのも、この「1ヶ月に60時間を超える時間外労働」については、大企業ではすでに導入されているので、大企業に適用されるものと、中小企業に適用されるもので大きな変更はないと考えられるから。

 

1カ月60時間超えの時間外は割増率5割以上

現在、資本金または出資の総額が3億円超え、または、常時使用する労働者が300人超えなどの大企業(※)では「1ヶ月に60時間を超える時間外労働」を労働者にさせた場合、通常の2割5分以上の時間外割増手当ではなく、5割以上の時間外手当を支払う必要があります。

例えば、週平均で20時間の残業がある会社の場合、3週目までは2割5分以上の割増率で良いものの、4週目以降の割増率は5割以上となるわけです。

また、例えば、時間外の深夜労働の場合で1カ月60時間超えとなると、時間外プラス深夜の割増率「5割以上」に加えて、深夜労働の「2割5分以上」の割増率が加算されるので、計「7割5分以上」の割増率となります。

一方で、法定休日労働については、1カ月60時間超えしている状態で法定休日労働をしたとしても、割増率に変化はありません。

そもそも法定休日労働の時間は、「1ヶ月に60時間を超える時間外労働」に含まないからです。

含めるのはあくまで時間外労働の時間。深夜や休日労働は関係ないのでご注意を

 

※ 業種によって異なり、以下の基準に当てはまる場合は中小企業となり、これまでは適用が猶予されていた。

業種 資本金の額または出資の総額 常時使用する労働者数
小売業 5000万円以下 または 50人以下
サービス業 5000万円以下 または 100人以下
卸売業 1億円以下 または 100人以下
その他の事業 3億円以下 または 300人以下

 

中小企業の適用は猶予されていた

この規定は平成22年4月1日より施行されたものですが、3年をめどに、施行当初は中小企業への適用は猶予されていました。

3年はとうの昔にすぎてしまいましたが、その間も、中小企業に適用してもいいかどうか厚生労働省の方で話し合いが行われ、その結果、晴れて(!)今回の改正でGOサインが出るわけです。

ちなみに、改正後すぐに中小企業への適用が行われるわけではありません。

去年の予定では平成31年4月より適用開始予定でしたが、改正が1年遅れたのでもしかしたら適用開始も1年遅れるかもしれません。そのままの可能性もありますが。

 

割増賃金の代わり? 代替休暇制度

実は「1ヶ月に60時間を超える時間外労働」については、5割以上の割増率の他に、別の制度が存在します。

それが代替休暇

代替休暇とは「1ヶ月に60時間を超える時間外労働」をした労働者に対して、5割以上の時間外手当ではなく、2割5分以上の時間外手当を支払った上で、有給休暇を与えるというもの。

つまり、今までの「2割5分以上」の割増賃金を支払った上で残りの2割5分以上の割増賃金については有給休暇=代替休暇にする、というものです。

代替休暇を与えたとしても、通常の割増賃金である「2割5分以上」の割増賃金の支払は免除とならない点に注意が必要です。

イメージとしては以下の通り。

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労働基準法の一部改正法が成立(リンク先PDF 参照先:厚生労働省HP

この代替休暇は「1日または半日」単位で、「1ヶ月に60時間を超える時間外労働をした月の末日の翌日から2カ月以内」に与える必要があり、これらについてきちんと労使協定(提出不要)を結んでおく必要があります。

 

代替休暇の存在意義

実は、この代替休暇という制度を利用しても、会社が労働者に支払う金額は変わりません。

1カ月60時間超えの5割以上の割増賃金から、通常の2割5分以上の割増賃金を引いた2割5分以上の割増賃金(わかりづらいが要は、上の図の濃いオレンジの部分)を、後で有給休暇の休暇中の給与とするだけなので。

代替休暇で有給休暇にしきれなかった部分は当然、5割以上で支払い義務があります。

じゃあ、なんでこんな制度があるのかというと、1ヶ月に60時間を超えるような時間外労働をしている労働者に対して、きちんと休んでもらう、というのがその趣旨です。

なので、働かせ過ぎを防ぐためにも、導入を考えてみてもいいのではないでしょうか。

といっても、施行は早くても平成31年からなので、中小企業からすると、まだまだ先の話ですが。

 

というか、インターバル規制や時間外労働の上限とかいう話が最近良くでているので、そもそも60時間を超えられないような法改正が施行までに行われる可能性もありますね。

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名古屋の社労士事務所、川嶋事務所の代表で、このブログの筆者。 新しいこと、もの、特にIT関連が大好きで、社労士としては会社・労働者のITトラブル対策・就業規則作成が得意分野。 2016年4月から9月まで中日新聞で「働く人を守る労働保険」を連載、開業社労士専門誌「SR」に寄稿するなど、メディアでの執筆活動も。