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働き方改革 労働法 法改正

改正予定の「フレックスタイム制」の変更点と、そのおまけに制度自体も解説

2017/09/15


というわけで、上記の通り、働き方改革についてのセミナーに登壇することになりました、名古屋の社労士川嶋です。

見所はハイソ(古い)な東京の社労士様たちの前で、名古屋の田舎者がどの面下げて講演をするのか、といったところでしょうか。

冗談はさておき、セミナー代以上の内容に仕上げて当日に臨むつもりなので、ご興味ある方は是非ご応募いただければと思います。

 

で、今日も臨時国会で提出予定の働き方改革に関する法改正から。

「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱」(諮問)(PDF:593KB)(参照:厚生労働省)

自分自身の勉強も兼ねてるので、この要綱から水分がカッスカスになくなるまでは、このブログで法案の解説をしていきたいと思っています。

今日はフレックスタイム制の改正について。

これからフレックスタイム制の導入を考える人向けに、改正による変更点だけでなく、フレックスタイム制という制度自体の解説も一緒にしていきたいと思います。

 

働き方改革よりも前に決まっていたフレックスタイム制の改正

先に説明しておくと、フレックスタイム制の改正は、今年の3月に公表された「働き方改革実行計画案」に含まれるものではありません。

というのも、今回の労基法の改正は2年前から予定されていた(が結局、国会に提出されなかった)改正内容と、今回の働き方改革で改正が決まった内容が一緒になったものであり、フレックスタイム制の改正は前者に含まれるものだったからです。

しかし、フレックスタイム制自体は、働き方改革実のテーマの一つである労働者のワークライフバランスに寄与すると考えられるため、働き方改革の一環と考えて特に差し支えはないと思います。

 

フレックスタイム制とは

前置きが随分長くなりましたが、フレックスタイム制について説明していきましょう。

フレックスタイム制とは、会社ではなく労働者が自身の始業時刻と終業時刻を決める制度です。

労働者側に始業・終業時刻の決定権があるため、労働者側が自分に合った働き方できる一方、一般的な時間に業務していないことが十分考えられるため、取引先や他部門との連携が取りづらくなるなどのデメリットがあります。

よって、労働者側は導入してほしいけど、会社側は難色を示しやすい制度と言えるでしょう。

 

フレックスタイム制導入に必要なこと

就業規則等への規定

フレックスタイム制を導入するには 就業規則その他これに準ずるものに、始業及び終業の時刻をその労働者の決定にゆだねる旨を定める必要があります。

以下は東京労働局が出してるモデル規定です。

フレックスタイム制の適正な導入のために(リンク先PDF 参照:東京労働局)

労使協定の締結

フレックスタイム制では、就業規則等への規定の他、労使協定を結ぶ必要があります。

この労使協定は監督署への提出は基本不要ですが、以下の通り、必ず記載しなければならないことが複数あります。

  1. 対象となる労働者の範囲
  2. 清算期間
  3. 清算期間における起算日
  4. 清算期間における総労働時間
  5. 標準となる1日の労働時間
  6. (コアタイム)
  7. (フレキシブルタイム)

 

1.対象となる労働者の範囲

誰にフレックスタイム制を適用するかです。

必ずしも全社員に適用する必要はありません

同じ会社内でも、SEのように1日のうちいつ仕事してもいいような業種にだけ適用して、外回りの営業のように早朝や夜中にするわけにはいかない仕事には適用しないということができます。

 

2.清算期間

フレックスタイム制を適用する期間のことです。

後述しますがこの期間を見て時間外手当などの計算をします。

現行法では清算期間は「1ヶ月以内」でしか定めることができません。

今回、法改正があった部分なので、後で詳しく解説します。

 

3.清算期間における起算日

例えば、清算期間が「1ヶ月」の場合、その1ヶ月は何日から始めるのか、を定めます。

暦通り「1日」から始めてもいいですが、賃金の計算と合わせる形にしたほうがよいでしょう。

例えば、20日締めのところは「21日」といったようにしておいた方が、労働時間の計算や給与計算時、手間を省くことができます。

 

4.清算期間における総労働時間

フレックスタイム制における所定労働時間のこと。

そのため、法定労働時間(フレックスでは「法定労働時間の総枠」という言い方をする)を超える定めをすることはできません。

残業代に関しては、所定労働時間が法定よりも短い場合は、法定を超えるまでは支払い義務は発生しません。

フレックスタイム制の労働時間は少し複雑なのでこちらも後述。

 

5.標準となる1日の労働時間

4と似てますがこちらは、フレックスタイム制を取得した労働者に対して、年次有給休暇を取得した際に、何時間分の賃金を支払うかの計算に使うものです。

 

6.(コアタイム) 7.(フレキシブルタイム)

コアタイムとは、労働者に対してこの時間は必ず労働してくださいという時間。

フレキシブルタイムとは、会社が働いてもいい時間に制限をかける場合のその開始及び終了の時刻をいいます。

この2つをわざわざ括弧書きにしているのは、他の項目と違って不要であれば定める必要がないからです。

しかし、会社としても、この時間には働いていてほしいという時間はあるだろうし、フレックスを悪用して深夜帯にだけ仕事して深夜手当をガッポリもらう、というようなことを避けるには、これらを活用する必要があります。

 

フレックスタイム制と労働時間

フレックスタイム制といえども、会社に労働時間を管理する義務があることに変わりありません。

よって、会社はタイムカード等で労働者の労働時間を把握する必要があります。

ただし、残業代に関しては、通常の法定労働時間や、変形労働時間制と異なり、清算期間中の労働時間が法定労働時間の総枠を超えているかどうかで判断します。

フレックスタイム制における法定労働時間の総枠の計算方法は以下の通り。

  • 法定労働時間の総枠=(清算期間の歴日数÷7日)×1週間の法定労働時間(基本は40時間)

よって、清算期間が1ヶ月で、その月の歴日数が31日の場合、177.1時間が法定労働時間の総枠となり、これを超えると残業代の支払い義務が発生します。

 

清算期間の労働時間が、所定労働時間より短い場合

労働者の労働時間の管理不足により清算期間中の労働時間が、所定のものより短くなった場合、ノーワークノーペイにより、会社はその分の賃金を控除することができます。

また、所定労働時間が法定労働時間よりも短い場合に限りますが、上記のような場合でも賃金をそのまま支払って、翌月の労働時間に不足分をプラスする、ということもできます。

ただし、プラスできるのは法定労働時間の総枠の範囲内までです。

 

法改正により変わること

ようやく法改正についてですが、今回の法改正で変わるのは「清算期間」の上限です。

すでに解説したとおり、現在の清算期間の上限は「1ヶ月」です。

これが法改正により「3ヶ月」となります。

これに伴い「1ヶ月を超える清算期間」を定める場合、注意点が2つ生まれます(清算期間が「1ヶ月」以内の場合は現行通りです)。

 

残業代

まず、残業代について。

「1ヶ月を超える清算期間」を定める場合、清算期間全体の労働時間とは別に1週間当たりの労働時間が50時間を超える場合も割増賃金が発生します。

これは、3ヶ月の中で一部の期間に極端に労働時間が集中するようなことを防ぐための措置と考えられます。

つまり、「1ヶ月を超える清算期間」を定める場合、

  • 1週間当たり週50時間を超えてないか
  • 清算期間全体で法定労働時間の総枠を超えてないか

の2つの尺度で労働時間を管理する必要があります。

 

労使協定

もう一つは、労使協定の提出義務について。

解説で、フレックスタイム制導入のための労使協定には監督署への提出義務はないと書きましたが、「1ヶ月を超える清算期間」を定める場合は提出する必要があるので注意が必要です。

 

今日のところは以上です。

今日のあとがき

冒頭でも宣伝しましたが、日本法令さんのセミナーの募集が開始されています。

なかなかのお値段ですが、損させないだけの内容にこれから仕上げていくので、ご応募いただければと思います。

日本法令セミナー 【東京11/24】『働き方改革』と社労士のビジネスチャンス

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名古屋の社労士事務所、川嶋事務所の代表で、このブログの筆者。 新しいこと、もの、特にIT関連が大好きで、社労士としては会社・労働者のITトラブル対策・就業規則作成が得意分野。 2016年4月から9月まで中日新聞で「働く人を守る労働保険」を連載、開業社労士専門誌「SR」に寄稿するなど、メディアでの執筆活動も。