非正規労働者の雇用

パートタイム労働法が「パートタイム・契約社員労働法」に変わる?

2017年10月4日

(以上がお知らせ、以下から本題)

解散総選挙で、今期の臨時国会で改正されるはずだった「働き方改革」に関する法案がほぼほぼ全て吹っ飛んで、来年の通常国会まで持ち越されることになりました。

労働基準法に関していえば、一昨年の臨時国会で成立予定だったのがこれで3回目のお流れ。勘弁してよ・・・。

とはいえ、内容自体は出そろいつつあり、予習はできるので、今日はその中からパートタイム労働法について。

 

働き方改革でパートタイム労働法の名前が変わる!?

パートタイム労働法は、世間一般でいうところのパートやアルバイトなどの非正規雇用労働者を保護する法律と考えておけばほぼ間違っていません。

ほぼ間違ってはいない、というのは、厳密には「所定労働時間の短い」労働者、すなわち短時間労働者を保護する法律となっているから。

短時間労働者じゃなくても非正規の人はいるので、まずは法律と一般的な意味で多少のズレがあることにご注意。

 

このパートタイム労働法が改正されるの働き方改革の目玉の一つである、同一労働同一賃金に関連してのものです。

政府が進めようとしている同一労働同一賃金は、ご託はいろいろありますが、つまるところ「正規と非正規」に格差の是正です。

一方、パートタイム労働法にはすでに、所定労働時間が短いだけで他の通常労働者と同等の働き方をしている労働者等に対する不合理な待遇差を設けることを禁止する規定があります。

では、何が変わるかというとパートタイム労働法で保護する労働者に「短時間労働者」だけでなく、「有期雇用労働者」を含めるという点です。

これにより、パートタイム労働法の正式名称「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律」は「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」に変更される予定です。

 

短時間労働者に比べて保護の薄い有期雇用労働者

実は、現状の有期雇用労働者というのは、短時間労働者に比べると保護は薄くなっています。

というのも、まず第一に保護の内容が短時間労働者に比べて不十分というのが1つ。

加えて重要なのが、有期雇用労働者に対する不合理な差別を禁止する規定を定めている「労働契約法」は私法であり、行政がこの法律を根拠に取り締まり等を行うことはできなかった点です。

こうした問題の解決のため、不合理な待遇差を設けることの禁止について、十分な規定のあるパートタイム労働法の対象労働者に「有期雇用労働者」を入れるというのが今回の改正です。

世間一般的な非正規というのは「短時間労働者」であり「有期雇用労働者」であることが多いことから、実態に合わせたといえる改正なのではないでしょうか。

 

ようはパートタイム労働法に有期雇用労働者を含むようにする改正

改正の詳しい内容については、以下の資料をご確認いただければと思いますが、

「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱」について(リンク先PDF 参照:厚生労働省・第127回労働政策審議会職業安定分科会資料)

簡単にまとめると「短時間労働者」で「有期雇用労働者」である労働者を「短時間・有期雇用労働者」と呼称し、現行のパートタイム労働法で「短時間労働者」とある箇所の多くを「」短時間・有期雇用労働者」と置き換えたものとなっています。

なので、パートタイム労働法に「有期雇用労働者」が加わって、おまけに法律名も変わったというのが一番大きな改正で、それ以外はほぼ変わってないということです。

改正後の略称はパートタイム労働法のままなのか、有期雇用要素を入れるために「パートタイム・契約社員労働法」みたいな形にするのかちょっと気になります。

それはさておき、施行は再来年となる平成31年4月1日予定となっていますが、中小企業には経過措置が設けられる予定となっています。

 

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  • この記事を書いた人

社会保険労務士 川嶋英明

社会保険労務士川嶋事務所の代表。「いい会社」を作るためのコンサルティングファーム「TNC」のメンバー。行動経済学会(幽霊)会員 社労士だった叔父の病気を機に猛勉強して社労士に。今は亡くなった叔父の跡を継ぎ、いつの間にか本まで出してます。 著書に「「働き方改革法」の実務」「定年後再雇用者の同一労働同一賃金と70歳雇用等への対応実務」「就業規則作成・書換のテクニック」(いずれも日本法令)のほか、「ビジネスガイド」「企業実務」などメディアでの執筆実績多数。

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