労災保険制度

テーマは障害補償給付、「等級が軽いと一時金(働く人を守る労働保険第22回:中日新聞連載)」

2016年9月1日

 

労働災害によるけがや病気で障害が残ると、働き方に大きな影響が出ます。そこで、労災保険では労災がなければ得ていたはずの利益の一部を、働く人に支給しています。これが障害補償給付です。

障害補償給付には、定期的に支払われる年金と一度限りの一時金があります。障害の重さは、最も重い一級から十四の等級で区分けられており、この等級によって年金か一時金か決まります。一~七級は年金、八~十四級は一時金です。

給付額は、年金と一時金のどちらも、労災に遭う直前の三カ月間の給料を平均して算出した日額が基準。等級によって何日分支払われるかが変わります。例えば一級の場合、三百十三日分が毎年支払われます。十四級だと五十六日分が一度に支払われます。

年金を受け取るようになって数年後に賃金水準が変わる可能性がありますが、賃金の変動に合わせて補正されるので心配いりません。障害によっては、年月がたつにつれて発生時よりも重くなったり、軽くなったりします。その場合は等級が改定され、障害に合った給付額に変更されます。

障害を負ってほどなくは、車いすや家のリフォームなどで多くのお金が必要になることがありますね。そうした問題は障害が重いほど起きやすいですが、障害が重いと給付は年金。一時金と比べて一度にもらえる金額が少なく、対応が困難です。

そこで、年金の場合は、一定の日数分を前払いしてもらえます。前払いを受けた分だけ年金は支給停止となりますが、検討する価値はあるでしょう。

中日新聞H28.9.1付「働く人を守る労働保険」より転載

 

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  • この記事を書いた人

社会保険労務士 川嶋英明

社会保険労務士川嶋事務所の代表。「いい会社」を作るためのコンサルティングファーム「TNC」のメンバー。行動経済学会(幽霊)会員 社労士だった叔父の病気を機に猛勉強して社労士に。今は亡くなった叔父の跡を継ぎ、いつの間にか本まで出してます。 著書に「「働き方改革法」の実務」「定年後再雇用者の同一労働同一賃金と70歳雇用等への対応実務」「就業規則作成・書換のテクニック」(いずれも日本法令)のほか、「ビジネスガイド」「企業実務」などメディアでの執筆実績多数。

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