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1カ月単位の変形労働時間制とは? メリット・デメリット、導入方法を解説

1カ月単位の変形労働時間制とはこんな制度

1カ月単位の変形労働時間制とは、1カ月の中で、労働時間を平均で週40時間以内とする制度です。

平均で週40時間なので、月曜日から土曜日の6日間、毎日8時間働かせて週48時間になったとしても、他の週の労働時間が短くなっていればOK。

この48時間の週に関しては、40時間を超えている8時間の労働時間について、時間外手当を支払う必要はありません。

週A:週48時間 週B:38時間 週C:36時間 週D:38時間

→平均週40時間以内となっているのでOK

 

1カ月単位の変形労働時間制のメリット

① 1カ月の中で業務のメリハリをつけられる

1ヶ月単位の変形労働時間制は、「月始めはそれほどでもないけど、月末は忙しい」などのように、一月の中で繁閑の差がある業種を対象としている制度です。

忙しい時期に労働時間を増やす一方で、暇な時の労働時間や労働日数を減らせば、労働者はまとまった余暇を得られますし、会社は残業代の節約ができ、同じ月内で労働時間のメリハリを付けることができます。

 

② 繁忙期の残業代の節約

1年単位の変形労働時間制と同様、1カ月単位の変形労働時間制でも、繁忙期として所定労動時間を延長した期間は、所定労働時間を超えるまで時間外手当をつける必要はありません。

例えば、繁忙期の労働時間を8時間から9時間とした場合、9時間を超えるまでは時間外手当を付ける必要はなくなります。

通常の労働時間制度ですと、8時間を超えたところから時間外手当を支払う義務が発生しますが、上記の場合だと9時間を超えたところからとなるので、1時間分、時間外手当を節約することができます。

 

③ 閑散期の労働時間の節約

通常の労働時間制度では、例え、仕事が無い場合であっても、会社は労働契約上の労動時間働かせ、労働時間に応じた賃金を支払う必要があります。

労働契約上の労動時間が1日8時間である場合、例え、仕事がなくても、その時間分、働かせ賃金を支払う必要があるわけです。

仮に働かせない、休ませる場合も賃金の6割以上の休業手当を支払う必要があります。

しかし、年間の業務の繁閑がある程度つかめているのであれば、閑散期となる時期の労動時間減らしたり、労働日数を減らすことで、労働者の労働時間を節約することができます。

 

④ 1日の労働時間に制限がない

上記の②、③は、変形期間が異なるだけで、1年単位の変形労働時間制とほぼ同じ内容です。

しかし、1カ月単位と1年単位とで大きく異なるのは、1日及び1週の労働時間の限度です。

1年単位では、変形させられる範囲は1日10時間、1週52時間までと決まっていましたが、1カ月単位にはそのような変形の上限はありません。

 

1カ月単位の変形労働時間制のデメリット

事前に労働日の労働時間を決めておく必要がある

1年単位と異なり1カ月単位の変形労働時間制では、労働日よりも労働時間を変形させることがメインとなります(※)。

そして、1カ月単位の変形労働時間制では制度開始前に、あらかじめ労働日とその日の労働時間を決めておく必要があります。

そうした予定を立てる手間・負担が1カ月単位のデメリットと言えます。

労働時間を変形させず、労働日だけ変形させる分にはそれほど大きな負担になりませんが、それであれば1年単位の変形労働時間制を利用したほうが良いかと思われます。

 

※ 1年単位でも労働時間を変形させることはもちろんできます。ただ、1年後を見越して労動時間を調整することは手間が大きい上、後から変更もできないため、労働日数で調整するのが普通です。

 

1カ月単位の変形労働時間制導入の流れ

1カ月単位の変形労働時間制導入の流れは以下の通りです。

① 労使協定の締結、または就業規則に必要事項を定める

② 労働基準監督署に必要書類を提出

 

(1)労使協定を結ぶ、または就業規則に必要事項を定める

1カ月単位の変形労働時間制を導入するには、必要事項を定めた労働者代表との労使協定を結ぶか、もしくは就業規則に必要事項を定める必要があります。

労使協定にするか就業規則にするかについてですが、わたしのオススメは就業規則です。

労使協定で行う場合、有効期間の終了ごとに労働基準監督署への書類提出の手間がありますが、就業規則であれば一度提出すれば、内容に変更等なければそのような手間はありません。

また、労使協定の場合でも就業規則への記載は必要となるので、結局、二度手間となるからです。

従業員の数が10人未満の会社でも就業規則その他これに準ずるものに定めることで、1ヶ月単位の変形労働時間制の採用は可能です。この場合、就業規則その他これに準ずるものは監督署に提出する必要はありません。

労使協定または就業規則で決める必要のある事項は以下のとおりです。

 

① 変形労働時間制を採用する旨

当事業所では1カ月単位の変形労働時間制を採用する、ということを就業規則または労使協定に定め必要があります。

その際、1週間当たりの労働時間が40時間を超えない旨も記載する必要があります。

 

② 変形期間

通常は1ヶ月となります。

ただし、1カ月単位の変形労働時間制は「最長」1カ月の変形労働時間制なので、2週間のように、1ヶ月よりも短くすることもできます。

 

③ 変形期間の起算日

変形期間がいつから始まるかを定める必要があります(毎月1日など)。

 

④ 対象労働者の範囲

1カ月単位の変形労働時間制の対象となる労働者の範囲を決めます。

事務など特定の業種の労働者を範囲から外すこともできます。

 

⑤ 変形期間の各日および各週の労動時間

変形期間の各日及び各週の労働時間は、就業規則または労使協定であらかじめ定められている必要があります。

よって、1ヶ月単位の変形労働時間制を採用していたとしても、月の開始前に、会社が自由に労働時間を変形させる、ということはできません(※)。

※ ただし、就業規則に、各シフト勤務の始業終業時刻、シフトの組み合わせの考え方、シフト表の作成手順、それらの周知方法定め、その通りに変形させる、という方法であれば可能。

以下は、東京労働局の出している「1箇月単位変形労働時間制」導入の手引より、就業規則の例と、労使協定の例です。

年間カレンダー方式

月刊シフト表方式

rousikouutei

参照:「1箇月単位の変形労働時間制」導入の手引(リンク先PDF)東京労働局

 

⑥ 協定の有効期間

労使協定によって1箇月単位の変形労働時間制を導入する場合、協定の有効期間を定める必要があります。

 

(2)労働基準監督署に必要書類を提出

就業規則に必要事項を定める場合

手続きは、通常の就業規則の変更と同様となります。

参考:労働基準監督署へ提出には労働者の意見書が必要

 

労使協定に定める場合

1年単位の変形労働時間制を導入する上で、会社が労働基準監督署に提出する必要があるものは以下のとおり。

  • 労使協定
  • 協定届
  • 会社カレンダー(会社カレンダーによって、各日および各週の労働時間を定める場合)

いずれも、提出用と会社控えで2部必要となります。

協定届とは、監督署提出のための書類で、労使協定やカレンダーの内容をまとめたものとなります。

1箇月単位

 

1箇月単位の変形労働時間制に関する協定届(リンク先PDF)

 

 

1ヵ月単位の変形労働時間制はこんな会社におすすめ

一月のあいだで業務の繁閑の差が大きい会社

1カ月単位の変形労働時間制が最も想定しているのは「一月のあいだで業務の繁閑」が大きい場合です。

手前味噌で恐縮ですが、社労士業務は同じ月内で繁閑の差があります。

というのも、給与計算をしている企業の給与の支払が20日締めの末払いなど、月末に集中していたりすると、どうしても、月末に業務が偏るからです。逆に月始めなどそれ以外の時期はそうでもなかったりするので、1ヶ月の変形労働時間制が向いている業種の1つといえます。

例 月末に忙しくそれ以外は暇な会社

A1 月末の第4週だけ労働時間を8時間から10時間にし、その代わり、第1週の労働時間は6時間とする。

A2 通常は土日休みだが、月末の第4土曜日だけは出勤とし、その代わり第1金曜は休日とする

 

 

労働時間を変形させたい会社

日によって所定労働時間は変えず、土曜日や国民の休日も働かせたい、という場合でも、1カ月単位の変形労働時間制を使えますが、そういった用途であれば1年単位の変形労働時間制のほうがおすすめです。お盆や正月とも調整できるからです。

1カ月単位の変形労働時間制でより向いているのは、1日の労動時間を変形させる場合です。

月曜は6時間でいいいけど、金曜は10時間働いてほしい、という場合、1年単位で前もって決めるのは大変ですが、1カ月単位で1カ月前に決めておくのは、1年単位ほどの負担にはならないと思われるからです。

そのため、所定労働時間を業務の都合で変形させるのであれば、1年単位よりも1カ月単位のほうがオススメです。

 

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