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労務管理

日本の変形労働時間制は「変形労働日制」である

2017/02/02

裏でコソコソこんなページを作ってました。

適正な労働時間のための変形労働時間制 -変形労働時間制導入マニュアル

サイト全体でアクセス数を増やしたいとか、ブログ記事でやるのは違うかなと思った内容だったので。

 

変形労働時間制で労働時間を変形させるのは手間

で、こうしたページを作ったことは、改めて日本の変形労働時間制について勉強し直すいい機会になったのですが、1つ思ったのが、日本の変形労働時間制って、全然「労動時間」を変形させられないってこと。

いや、法制度上はできる、確かにできるんだけど、実際にやろうとするととんでもなく手間。

なぜなら、日本の変形労働時間制では「あらかじめ」「事前に」労働時間を変更しなければいけないから。

先のことなど誰もわからないし、社員ごとととまでは言わないまでも、部署ごとに忙しい時期も異なるからそれに合わせるとなると、個別の調整もしないといけない。

おまけに、1日8時間1週40時間とは異なる時間外手当の計算をしないといけないので給与計算も面倒、となると、わざわざ手間のかかる労働時間の変更などしないわけです。

 

実質的には変形労働日制

このため、現実には、繁忙に合わせた労働日の変更はあっても、労働時間の変更はほとんどありません。

労働日の変更が行いやすいのは、1年間の会社カレンダーで労働日と休業日を決めるだけだから。隔週土曜出勤のところなんかは、祝日や夏休み、正月休みの日程と調整したりすることができます。

ただ、本来であれば、忙しい日はある程度労働時間が長くなるのはしょうがないにしても、暇な時には早く帰れるに越したことはありません。

しかし、労働時間の変更がほとんど行えないので、ほとんど仕事がない日でも、所定労働時間、会社にいないといけない。この暇な日の所定労働時間を短くできれば、それだけでも全体の労働時間の短縮になるはずなのに、労働時間の変更が面倒な上に、事後的に調整することもできないので会社は進んでやろうとしない。

おまけに、無理に早く帰らせても、休業手当の対象になりかねない。

政府や厚労省は、日本の長時間労働を嘆く前に、こうした制度の仕組み上の不備をなんとかすべきではないでしょうか。

 

諸外国の制度は原則が変形労働時間制

さて、何とかしろー、と無責任に叫ぶだけだとSEALDsと同じになってしまうので、海外、というか欧州ですが、に良い例があるので最後にそれだけ紹介して終わりたいと思います。

欧州の主要国であるイギリスやドイツ、フランスなどでは基本的に、日本のように1日と1週の両方で労働時間を規制することはしていません。

 

イギリス

イギリスの場合、「17週の基準期間ごとに、時間外も含め各7日間の労働時間が平均で48時間」というようになっていて、この範囲内であれば、1日の労働時間については何時間でもいいわけです(ただし、インターバル規制があるので、1日の実質的な規制は存在する)。

日本の1カ月や1年単位の変形労働時間制の17週バージョンのようですが、行政に対して届出等は不要ですし、あらかじめ労働時間を決めておく必要もありません。

 

ドイツ

ドイツの場合、週ではなく日単位の規制で、1日8時間が法定となっています。日本と同じです。

しかし、6暦月または24周以内の期間を平均して1日の労働時間が8時間を超えていなければ、1日10時間まで労働時間の延長は可能です。

日本の1年単位のようですが、日本の1年単位が1日8時間1週40時間という規制の例外である一方、ドイツはこれが標準。標準なので、行政等への届出や予め労動時間定めるといった手間も不要。

 

まとめ

要するに、イギリスもドイツも、そもそもの労働時間規制が変形労働時間制のようになっている。

そのため、行政等への届出もしないし、あらかじめ労働時間を定める、ということもない。

結果、繁忙期に長く働いて、閑散期にはさっさと帰る、ということもやりやすいわけです。

これで、労働時間が日本よりも多いのであれば何も参考にはなりませんが、実際には日本よりも全然少ない上、労働生産性も高いと来ている。

roudoujikan

参照:データブック国際労働比較2015 6. 労働時間・労働時間制度

もう辞めようよ、変形労働時間制…、ていうか、1日か1週、どっちかの規制。
労働時間制度改革 労働時間制度改革

外国の労働時間制については大内先生の本を参考にさせていただきました。

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名古屋の社労士事務所、川嶋事務所の代表で、このブログの筆者。 新しいこと、もの、特にIT関連が大好きで、社労士としては会社・労働者のITトラブル対策・就業規則作成が得意分野。 2016年4月から9月まで中日新聞で「働く人を守る労働保険」を連載、開業社労士専門誌「SR」に寄稿するなど、メディアでの執筆活動も。