雇用保険制度

テーマは介護休業給付金、「8月から支給率アップ(働く人を守る労働保険第13回:中日新聞連載)」

2016年6月30日

 

法律では育児休業が子が原則一歳になるまで認められているのに対し、介護休業は家族一人につき最大九十三日間までしか認められていません。介護はいつ終わるかわからないのに、短すぎるように感じます。

勘違いしてしまいがちですが、介護休業は働く人が家族を長期的に介護する休みではありません。ヘルパーに頼むなどして在宅で介護するのか、特別養護老人ホームを利用するのかなど、態勢を整える期間として考えられています。

介護休業を取得できるのは「配偶者、父母、子、配偶者の父母」に介護が必要になった場合。さらに「祖父母やきょうだい、孫」も同居して扶養していれば対象です。来年一月からは規定が緩和され、「祖父母、きょうだい、孫」について同居と扶養の条件はなくなります。九十三日をまとまって使わなければならない仕組みを改め、三回に分けて取得できるようになります。

介護休業中は育休と同じように雇用保険から「介護休業給付金」が所得補償としてもらえます。条件も育休と同じ。休業時点で雇用保険に加入していることと、過去二年間に十二カ月以上、加入していることです。

給付額は、休業前の六カ月間の合計賃金を百八十で割った日額が基準となるのは育休と同じですが、日額に対する支給率は40%と低め。ただ、こちらも法改正により今年の八月から支給率は育休と同じ67%に引き上げられることが決まっています。

支給率は休みの開始日で決まるため、七月までに休み始めると八月以降も支給率は40%。近く取得を考えている人は、要介護者や家庭の状況をみながらいつから休むか慎重に見極めてください。

中日新聞H28.6.30付「働く人を守る労働保険」より転載

 

 

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  • この記事を書いた人

社会保険労務士 川嶋英明

社会保険労務士川嶋事務所の代表。「いい会社」を作るためのコンサルティングファーム「TNC」のメンバー。行動経済学会(幽霊)会員 社労士だった叔父の病気を機に猛勉強して社労士に。今は亡くなった叔父の跡を継ぎ、いつの間にか本まで出してます。 著書に「「働き方改革法」の実務」「定年後再雇用者の同一労働同一賃金と70歳雇用等への対応実務」「就業規則作成・書換のテクニック」(いずれも日本法令)のほか、「ビジネスガイド」「企業実務」などメディアでの執筆実績多数。

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