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傷病手当金や育休中の保険料免除等、令和3年改正の健康保険法等を解説

追記:育児休業の保険料免除に関して誤りがあったので訂正しました。

 

後期高齢者の一部が自己負担2割となる件がメディアでも話題になっているとおり、今国会では健康保険法等についても改正されています。

今回は改正された健康保険法等の中で、労務に関連の深い内容について解説を行っていきます。

 

傷病手当金の支給期間の通算化

私傷病により労務不能となった場合、健康保険から支給されるのが傷病手当金です。

この傷病手当金、現行法では「支給開始日から起算して1年6か月」というのが支給期間となっていました。

しかし、今回の改正で「支給開始日から通算して1年6か月」に支給期間が変更されています。

これにより何が変わってくるかというと、実はこの傷病手当金、傷病手当金にかかる傷病が軽くなった等の理由で業務に就き、賃金をもらうと、その働いた日数分の傷病手当金はもらえなくなります(賃金額によっては差額がもらえる場合あり)。

そして、これまでは「支給開始日から1年6か月」のあいだに、こうした働いた日数があろうとなかろうと傷病手当金のもらえる期間は「支給開始日から1年6か月」で終わっていたわけです。

しかし、改正後は「通算して1年6か月」なので、こうした働いたことによって不支給となった分の日数については、その分の日数を延長して支給を受けられるようになったわけです。

例えば、傷病手当金の支給開始から1年後に状態が良くなったので1か月間働いたけど、それ以降はまた労務不能となったという場合、改正前は支給開始から1年6か月で支給が終わりですが、改正後は支給開始から1年7か月まで傷病手当金がもらえるわけです。

こちらの改正の施行日は令和4年1月1日となります。

 

任意継続被保険者制度の見直し

現行の任意継続被保険者制度では、実は、任意継続被保険者の申請による資格喪失ができない制度となっていました。

しかし、今回の改正で保険者(協会けんぽや健保組合)に、資格喪失を希望する旨を申し出ることで、その申出が受理された日の属する月の翌月から資格喪失することができます。

ちなみに、現行法での任意継続の資格喪失要件は以下の通りです。

  1. 任意継続被保険者となった日から起算して二年を経過したとき
  2. 死亡したとき
  3. 保険料(初めて納付すべき保険料を除く。)を納付期日までに納付しなかったとき(納付の遅延について正当な理由があると保険者が認めたときを除く。)
  4. 被保険者となったとき
  5. 船員保険の被保険者となったとき
  6. 後期高齢者医療の被保険者等となったとき

こちらの改正の施行日は令和4年1月1日となります。

 

育児休業中の保険料の免除要件の見直し

毎月の保険料(標準報酬月額にかかる保険料)免除に関する改正

育児介護休業法の改正により、子が1歳到達時までに育児休業が2回取れるようになることもあり、育児休業中の保険料の免除要件についても見直しが入っています。

現行法では「育児休業等を開始した日の属する月」から「育児休業等を終了した日の翌日が属する月の前月」までが保険料の免除対象でした。

ただ、現行法の場合、育児休業の開始日と終了日の翌日が同月の場合、保険料が1か月も免除にならないという問題がありました。

例えば、5月1日から5月20日まで育休を取った場合、5月分の保険料は免除されないわけです。

そうした問題を解決するため、今回の改正では、育児休業の開始日と終了日の翌日が同月の場合、その月の休業日数が14日以上ある場合、その月の保険料が免除対象となります。

 

賞与の保険料(標準賞与額にかかる保険料)免除に関する改正

賞与の社会保険料も、現行法では、基本的には毎月の保険料免除と同じ仕組みで免除が行われています。

つまり、賞与支給日が免除対象月となる場合は社会保険料が免除されるわけです。

ただ、今回の改正では、賞与に関しては「育児休業の開始日と終了日の翌日が同月の場合、その月の休業日数が14日以上ある場合」によって、その月の保険料(標準報酬月額にかかる保険料)が免除されません。

賞与に関しては、育休の期間そのものが「1か月」を超えていないと保険料免除の対象とならないからです。

 

これらの改正の施行日は令和4年10月1日となります。

 

まとめ

上記以外にも、冒頭で述べたとおり後期高齢者の自己負担率の引き上げなどの改正も行われていますが、労務とあまり関係ないので、本記事では割愛。

傷病手当金、育休中の保険料免除はいずれも、普段の労務でよく扱う制度なので、施行日までに改正内容をきちんと掴んでおきたいところです。

 

全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案(令和3年2月5日提出)(出典:厚生労働省)

概要(リンク先PDF)

法律案概要(リンク先PDF)

法律案新旧対照条文(リンク先PDF)