雇用保険制度

限りなく無意味な「雇用保険の手続き漏れはありませんか?」のハガキ

2016年3月8日

年度末と言うことで、この時期になると、厚生労働省から各事業所に「事業主の皆様へ 厚生労働省から「雇用保険」に関するお知らせです」という、青ベースのハガキが届きます。

手元にハガキがなくて写真が載せられないので、実物を見たい方は、他のページですが、こちらをどうぞ。

で、中を開けると「雇用保険の手続き漏れはありませんか?」と書いてありますが、このハガキは各事業所に届いているので、こんなの届いてるの自分の会社だけ? と慌てる必要はありません。

 

雇用保険の加入漏れチェックのチャンス!?

で、こちらのハガキなんですが、現在ハローワークで把握しているその事業所に加入している被保険者の数が記載されています。

なので、そのハガキに書かれている被保険者の数と、自分の会社で把握している雇用保険加入者の数を確認すれば、自ずと、雇用保険加入・喪失の手続きが漏れていないかが確認できる、厚生労働省もなかなか親切だなあ、と思ったらなかなかどうして、そうは問屋が卸さない。

なにせ、このハガキ、送られてくるのは毎年2月から3月という年度末にもかかわらず、ハガキに書かれている雇用保険の被保険者数は、

昨年の11月末現在

のものだから。

 

3ヶ月前の被保険者数を知らされても現場は混乱するだけ

これに気づかずに、今現在、2月とか3月現在の雇用保険の被保険者数と照らし合わせてしまうと、合わない可能性があるわけです。小規模でほとんど労働者の動きのない会社ならともかく、ある程度人が多いところだと、冬の賞与もらって会社辞めてる人も結構いたりして、労働者数に変動があったりしますからね。

つーか、ハローワークは親切のつもりか何か知りませんが、そもそも昨年の11月末の被保険者数を3ヶ月も後に知らせるって、業務の混乱の元。

わざわざ無駄にハガキ代払ってすることじゃないし、会社って、行政から訳のわからない書類が届くと、結構慌てるんですよ(なので、こういうのが会社に届くとうちに相談の電話が飛んでくる)。

というか、労働保険の年度末ということで、この時期に一斉に事業所にこのハガキを送っているんでしょうが、こんなにズレが出るなら、一斉に送ること自体見直した方がいい。その方が、被保険者の加入漏れチェックを行う会社にとっても有意義だし。

もちろん、行政から、民間に積極的に情報提供することは大切なので、今回、わたしからの提案を1つだけすると、来年から始まる法人ポータルに雇用保険の被保険者数をリアルタイム、とまでは言わないまでも、1ヶ月に1回ペースで更新したものをきちんと載せるというのはどうでしょうか。

それなら、会社が確認したいときに確認できるし、ハガキ代も無駄にならないでしょ!

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  • この記事を書いた人

社会保険労務士 川嶋英明

社会保険労務士川嶋事務所の代表。「いい会社」を作るためのコンサルティングファーム「TNC」のメンバー。行動経済学会(幽霊)会員 社労士だった叔父の病気を機に猛勉強して社労士に。今は亡くなった叔父の跡を継ぎ、いつの間にか本まで出してます。 著書に「「働き方改革法」の実務」「定年後再雇用者の同一労働同一賃金と70歳雇用等への対応実務」「就業規則作成・書換のテクニック」(いずれも日本法令)のほか、「ビジネスガイド」「企業実務」などメディアでの執筆実績多数。

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