労災保険制度

Q2 労災保険に加入しないとどうなりますか

2015年10月15日

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Q2 労災保険に加入しないとどうなりますか

2015年10月15日

A2 労災未加入時に労働災害が起こると、労働者への補償を全て会社が行わなければいけない可能性があります。また過去2年間分の保険料を遡及して支払う必要があります

会社が労災保険に未加入でも労働者は給付を受けられる

まず、労災保険に未加入の会社で労働者が労働災害に被災した場合、労働者への補償はすべて行われます。

 

会社は労災の給付にかかった費用を肩代わりすることに

一方、会社側は「事業主が故意または重大な過失により労災保険に係る保険関係成立届が提出していない期間」に生じた労働災害については労働者災害補償保険法に基づき、被災した労働者に対する労災保険の給付に要した費用の全部または一部の金額を、政府から徴収されます。

つまり、労災から労働者に支払われる給付分を会社が肩代わりしなければいけないということです(厳密に言えば逆で、労働基準法で支払わなければいけないとされる労働者への給付を肩代わりしてくれるのが労災保険です)。

このとき、肩代わりすることになる給付額は加入手続きを「故意」にしていなかったか、「重大な過失」によりしていなかったかで変わります。

故意の場合:給付額の100%を未加入事業者から徴収

重大な過失:給付額の40%を未加入事業者から徴収

 

また、徴収される「労災保険の給付に要した費用」とは具体的には、以下の通りです。

休業補償給付
→ 給付基礎日額(3ヶ月間の賃金を平均し日割りしたもの)の60%を会社を休業した日数分

障害補償年金
→ 障害の重さにより年間で給付基礎日額の131日分~313日分

遺族補償年金
→ 遺族の人数により給付基礎日額の153日分~245日分

 

ただし、こうした費用の徴収が行われるのは「保険関係成立届の提出期限の翌日から成立届けの提出があった日の前日までに発生した事故について行った保険給付」に限られます。そのため、労災発生後、速やかに労災保険の保険関係成立届を提出すれば徴収される額は少なくなります。

その他、費用徴収されるのは、療養開始後3年間に支給されるものに限ります。
また、療養(補償)給付及び介護(補償)給付は除かれます。

 

未加入期間の保険料

また、未加入期間に労働災害が発生している、していないに関わらず、加入が必要にもかかわらず未加入だった期間については、過去2年間分の保険料を遡及して支払う必要があります。

ここで支払う保険料には、本来支払う必要があった保険料の他に、未払いの保険料の10%の追徴金の支払も必要となります。

 

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  • この記事を書いた人

社会保険労務士 川嶋英明

社会保険労務士川嶋事務所の代表。「いい会社」を作るためのコンサルティングファーム「TNC」のメンバー。行動経済学会(幽霊)会員 社労士だった叔父の病気を機に猛勉強して社労士に。今は亡くなった叔父の跡を継ぎ、いつの間にか本まで出してます。 著書に「「働き方改革法」の実務」「定年後再雇用者の同一労働同一賃金と70歳雇用等への対応実務」「就業規則作成・書換のテクニック」(いずれも日本法令)のほか、「ビジネスガイド」「企業実務」などメディアでの執筆実績多数。

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