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障害者雇用安定助成金が廃止!? 令和3年度の障害者の助成金について

2021年4月28日

昨日に引き続き障害者の話ですが、今回は障害者の助成金について。

実は、令和3年度より障害者の助成金の代表格ともいえる「障害者雇用安定助成金」の大幅な整理・統廃合が行われています。

こちらは、文章で説明するよりも厚生労働省のリーフレットを見た方が早いので、早速見てみましょう。

出典:令和3年度以降「障害者雇用安定助成金」が変わります!(リンクスPDF 出典:独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構

もともと障害者雇用安定助成金には「障害者職場定着支援コース」と「障害者職場適応援助コース」がありました。

しかし、上のを見てもらえればわかるとおり「障害者職場定着支援コース」については、全てのコースが他の助成金に移行、もしくは廃止。

また、「障害者職場適応援助コース」については障害者雇用安定助成金の1コースではなく、「職場適応援助助成金」という新しい助成金として独立します。

なので、障害者雇用安定助成金自体はなくなるけれど、その助成内容は基本的には残るといった感じです。

 

障害者雇用安定助成金の統廃合に当たって

実は障害者の助成金に関しては、基本的に独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が支給審査等を行っています。

一方で、今回廃止された障害者雇用安定助成金は例外的に労働局またはハローワークががその支給審査等を行っていました。

つまり、障害者雇用安定助成金が統廃合されたことで、障害者の助成金は独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構に一元化されたわけです。

なお、令和3年3月までに労働局またはハローワークに提出された職場定着支援計画に基づく措置(障害者職場定着支援コース)と、令和3年3月までに地域障害者職業センターが作成または承認した支援計画に基づく職場適応援助(障害者職場適応援助コース)に関しては、障害者雇用安定助成金として令和3年4月以降も引き続き労働局またはハローワークで支給審査等が行われるので注意が必要です(令和3年4月から「障害者雇用納付金制度に基づく助成金」が変わります(リンクスPDF 出典:独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構))。

 

令和3年度の障害者に関する助成金まとめ

最後に、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が扱う、障害者に関する助成金について紹介したいと思います。

なにぶん、数が数なので、この記事では詳しい解説はできないことをご了承ください。

ちなみに、これらの助成金の財源は前回の記事で解説した障害者雇用納付金です。

障害者作業施設設置等助成金 雇い入れ、または継続して雇用する障害者の障害特性による就労上の課題を克服する作業施設等の設置・整備を行う事業主に対して助成するもの。

作業施設等の設置を整備を工事、購入等により行う場合は「第一種作業施設設置等助成金」、貸借によって行う場合は「第二種作業施設設置等助成金」となる。

障害者福祉施設設置等助成金 継続して雇用する障害者の福祉の増進を図るための福祉施設等の設置・整備を行う事業主、または当該事業主が加入している事業主団体に対して助成するもの。

上記の作業施設設置と異なり、施設等の貸借は対象とならない

障害者介助等助成金 雇い入れるまたは継続して雇用する障害者の障害特性に応じた適切な雇用管理のために必要な介助者の配置等の特別な措置を行う事業主を対象として助成するもの。介助者の役割等によって、以下のように助成金が分けられる。

  1. 職場介助者を配置または委嘱することを助成する「職場介助者の配置または委嘱助成金」
  2. 職場介助者の配置または委嘱を継続することを助成する「職場介助者の配置または委嘱の継続措置に係る助成金」
  3. 手話通訳、要約筆記等の担当者を委嘱することを助成する「手話通訳・要約筆記等担当者の委嘱助成金」
  4. 合理的配慮に係る相談等に応じる者の増配置または委嘱することを助成する「障害者相談窓口担当者の配置助成金」
  5. 職場支援員を配置または委嘱することを助成する「職場支援員の配置又は委嘱助成金」
  6. 職場復帰のために必要な措置を講じることを助成する「職場復帰支援助成金」
職場適応援助者助成金 職場適応に特に課題を抱える障害者に対して、雇入れ後の職場適応を図るために、職場適応援助者(ジョブコーチ)による専門的な支援を提供する又は当該支援体制を整備する事業主に対してするもの。

ジョブコーチには障害者の就労支援を行う事業主に雇用される「訪問型職場適応援助者」と、障害者を雇用する企業に雇用される者を「企業在籍型職場適応援助者」がいる。

この助成金では「訪問型職場適応援助者」を雇用する障害者の就労支援を行う事業主の助成を行う「訪問型職場適応援助者助成金」と、「企業在籍型職場適応援助者」の支援を受ける事業主に助成を行う「企業在籍型職場適応援助者助成金」がある。

重度障害者等通勤対策助成金 雇い入れるまたは継続して雇用する障害者の障害特性に応じて通勤を容易にする措置を行う事業主を対象として助成するもの。通勤の支援方法によって、以下のように助成金が分けられる。

  1. 障害者を入居させるための住宅を賃借することを助成する「重度障害者等用住宅の賃借助成金」
  2. 障害者5人以上が入居する住宅に指導員を配置することを助成する「指導員の配置助成金」
  3. 障害者に住宅手当を支払うことを助成する「住宅手当の支払助成金」
  4. 障害者5人以上の通勤のためのバスを購入することを助成する「通勤用バスの購入助成金」
  5. 障害者5人以上の通勤のためのバスの運転手を委嘱することを助成する「通勤用バス運転従事者の委嘱助成金」
  6. 通勤援助者を委嘱することを助成する「通勤援助者の委嘱助成金」
  7. 自動車通勤を行う障害者のための駐車場を賃借することを助成する「駐車場の賃借助成金」
  8. 自動車通勤を行う障害者のための自動車を購入することを助成する「通勤用自動車の購入助成金」
重度障害者多数雇用事業所施設設置等助成金 対象障害者を多数継続して雇用し、これらの障害者が就労するために必要な事業施設等の整備等を行う事業主に対して助成するもの

上記の助成金の詳しい内容については独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構で公開されているパンフレットから確認できます。

また、上記の助成金の令和3年度からの変更点については、こちらのリーフレットにまとめられていますので、ご確認ください。

障害者雇用納付金制度に基づく助成金の取扱いの変更について(リンクスPDF 出典:独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構

 

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  • この記事を書いた人

社会保険労務士 川嶋英明

社会保険労務士川嶋事務所の代表。「いい会社」を作るためのコンサルティングファーム「TNC」のメンバー。行動経済学会(幽霊)会員 社労士だった叔父の病気を機に猛勉強して社労士に。今は亡くなった叔父の跡を継ぎ、いつの間にか本まで出してます。 著書に「「働き方改革法」の実務」「定年後再雇用者の同一労働同一賃金と70歳雇用等への対応実務」「就業規則作成・書換のテクニック」(いずれも日本法令)のほか、「ビジネスガイド」「企業実務」などメディアでの執筆実績多数。

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