労働契約

会社都合の休業?振替休日?GWの中日を急遽休みにする場合の注意点

2021年4月30日

連休の中日ですね。

お休みのところも多いと思うので今日は軽め。

 

GWの中日を急遽お休みにしたい場合

さて、世間がコロナでこういう状況、ということもあり、本当は今日は労働日の予定だったけど、急遽お休みにした、というところもあるかもしれません。

では、こうした急遽のお休みについて、労務管理上の扱いはどうしたらよいのでしょうか。

考えられる方法としては、以下の3つがあります。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

 

原則は会社都合の休業

こうした急遽のお休みを取る場合、原則は会社都合の休業となります。

よって、休ませる場合は休業手当の支払が必要となります。

会社が良かれと思って休みにしたのに、なんでお金を払わないといけないんだ、と思う会社経営者の方もいるかもしれませんが、労働者からすると休日も労働日もどちらも大事なのです。

なぜなら、日本の労働法制では賃金と労働時間(労働日数)は密接に関連していて、労働時間や労働日数が減る、ということはその分、賃金が下がるということだからです。

なので、いくら会社が良かれと思って、労働日を休日にしたとしても、それは会社都合の休業に他なりません。

まあ、実務上は、月給制(完全月給制、日給月給制どちらも)の労働者に関しては、急遽休みにした日を欠勤控除しなければ良いだけの話だし、日給制や時給制の労働者についても、その分のシフトを動かすことで対処できたりします。

なので、実際に休業手当を支払う場合というのはそれほど多くないかもしれません。

 

振替休日にする

振替休日を使えば、会社都合の休業としないで休日とすることも可能です。

振替休日とは、休日と労働日を「事前に」振り替えるものです(ちなみに、代休は休日労働「後」に労働日を休日にする場合をいう)。

休日と労働日を振り替えてるだけなので、労働者からすると、休日の日数も労働日の日数も変わりません。

注意点としては、振替休日を行った結果、休日を労働日とした週の労働時間が40時間を超える可能性があり、その場合は割増賃金が発生します。

そのため、週40時間を超えないよう振り替えるとなると、祝日等がない限り、同じ週の中で行うのが現実的な選択肢となります。

 

1年単位の変形労働時間制でも振替休日は可能

1年単位の変形労働時間制の場合、後からカレンダーを変更することはできません。

しかし、振替休日については「1年単位の変形労働時間制の趣旨を損なわない範囲」であれば可能です。

その際、就業規則に休日振替を行う旨の規定が必要なのと、振替休日を行った後も法定の連続労働日数の制限(1年単位の変形労働時間制では、特定期間以外、連続労働日数は6日に制限されている)の範囲内に収まっている必要があります。

1年単位の変形労働時間制の場合、1年単位で平均週40時間を達成する必要がありますが、休日と労働日を振り替えたとしても、休日と労働日の日数が変わるわけではありません。

そのため、通常の労働時間制と違って週40時間の制限を気にする必要はありません。

 

有給にする

有給にするという方法もあります。

有給で休ませる場合、計画年休を使う場合と、年5日の有給取得によるものがあります。

前者の場合、労使協定であらかじめ休む日にちを決めるため「急遽」ということで使用するのは難しいですが、一方で、労使協定の方に「必要がある場合は有給の日を変えることがある」といった内容の記載があれば、ある程度の対応は可能だったりもします。

また、年5日の有給取得の義務化に伴い、年5日の有給を取得していない者に関して、会社が有給の取得日を指定することが可能になったため、こちらを使う方法もあります。

ただし、すでに年5日以上取得している者や、年5日取得させる必要のない者(有給の付与日数が年10日未満の者)には使えません。

そして、これは計画年休、年5日の有給取得の両方に共通する点ですが、そもそも有給を付与されていない者についてはこうした方法は使えないため、そうした者への対応(特別の有給とするか、会社都合の休業とするか)をする必要があります。

今日のあとがき

5年くらい空き地だった事務所のはす向かいに高級スーパー、サポ―レができました。

オープン初日に早速いってきましたが、かなりの混雑ぶりな上、自分にはあまり縁のなさそうな高そうなものばかりで、個人的にはしばらくはもう良いかな、という感じですが。

 

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  • この記事を書いた人

社会保険労務士 川嶋英明

社会保険労務士川嶋事務所の代表。「いい会社」を作るためのコンサルティングファーム「TNC」のメンバー。行動経済学会(幽霊)会員 社労士だった叔父の病気を機に猛勉強して社労士に。今は亡くなった叔父の跡を継ぎ、いつの間にか本まで出してます。 著書に「「働き方改革法」の実務」「定年後再雇用者の同一労働同一賃金と70歳雇用等への対応実務」「就業規則作成・書換のテクニック」(いずれも日本法令)のほか、「ビジネスガイド」「企業実務」などメディアでの執筆実績多数。

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