会社が労働日を急遽休日にすることはできる?連休の中日を休みにする方法

会社の休業日は労働者の休日については、就業規則や労働契約によってあらかじめ決まっているのが普通です。

ただ、例えば連休の曜日の兼ね合いから、元々予定になかったけどこの日を休日にしたい、と思う場合もあるでしょう。

労働者側がこのように思った場合、年次有給休暇の取得をしたり、シフトを調整したりすればいいだけですが、会社側が「この日は取引先も休みだし」と急遽休みにする場合はどうでしょうか。

今回の記事では、会社側が急遽、会社を休みにする場合についてみていきます。

目次

原則は会社都合の休業

まず、こうした急遽のお休みを取る場合、原則は会社都合の休業となります。よって、休ませる場合は休業手当の支払が必要となります。

会社が良かれと思って休みにしたのに、なんでお金を払わないといけないんだ、と思う会社経営者の方もいるかもしれません。ただ、労働者からすると休日も労働日もどちらも大事なものなのです。

なぜなら、日本の労働法制では賃金と労働時間(労働日数)は密接に関連していて、労働時間や労働日数が減る、ということはその分、賃金が下がることを意味します。

なので、いくら会社が良かれと思って、労働日を休日にしたとしても、それは会社都合の休業に他ならないわけです。

とはいえ、実務上は、月給制(完全月給制、日給月給制どちらも)の労働者に関しては、急遽休みにした日を欠勤控除しなければ良いだけの話だし、日給制や時給制の労働者についても、その分のシフトを動かすことで対処できたりします。

なので、実際に休業手当を支払う場合というのはそれほど多くないかもしれません。

振替休日にする

振替休日を使えば、会社都合の休業としないで休日とすることも可能です。

振替休日とは、休日と労働日を「事前に」振り替えるものです(休日労働の事後に休日を与えるのは代休となるので注意)。

休日と労働日を振り替えてるだけなので、労働者からすると、休日の日数も労働日の日数も変わりません。

注意点としては、振替休日を行った結果、休日を労働日とした週の労働時間が40時間を超える可能性があり、その場合は割増賃金が発生します。

そのため、週40時間を超えないよう振り替えるとなると、祝日等がない限り、同じ週の中で行うのが現実的な選択肢となります。

振替休日と代休の詳しい解説については、以下の記事をどうぞ。

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1年単位の変形労働時間制でも振替休日は可能

1年単位の変形労働時間制の場合、後からカレンダーを変更することはできません。

しかし、振替休日については「1年単位の変形労働時間制の趣旨を損なわない範囲」であれば可能です。

その際、就業規則に休日振替を行う旨の規定が必要なのと、振替休日を行った後も法定の連続労働日数の制限(1年単位の変形労働時間制では、特定期間以外、連続労働日数は6日に制限されている)の範囲内に収まっている必要があります。

なお、1年単位の変形労働時間制の場合、1年単位で平均週40時間を達成する必要がありますが、休日と労働日を振り替えたとしても、休日と労働日の日数が変わるわけではありません。

そのため、通常の労働時間制と違って週40時間の制限を気にする必要はありません。

1年単位の変形労働時間制の詳しい解説は以下の記事をどうぞ。

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会社が年次有給休暇の取得時季を指定する

会社側の意向で年次有給休暇を取得させるという方法もあります。

年次有給休暇は労働者側の意思で取得するのが原則ですが、計画年休を使うか、年5日の有給取得義務を果たすためであれば、会社が取得時季を指定できる場合があります。

計画年休

まず、計画年休についてですが、労使協定であらかじめ休む日にちを決めるため「急遽」ということで使用するのは実は難しいのですが、一方で、労使協定の方に「必要がある場合は有給の日を変えることがある」といった内容の記載があれば、ある程度の対応は可能だったりもします。

年5日の有休の取得義務

また、年5日の有給取得の義務化に伴い、年5日の有給を取得していない者に関して、会社が有給の取得日を指定することが可能になったため、こちらを使う方法もあります。

ただし、すでに年5日以上取得している者や、年5日取得させる必要のない者(有給の付与日数が年10日未満の者)には使えません。

そして、これは計画年休、年5日の有給取得の両方に共通する点ですが、そもそも有給を付与されていない者についてはこうした方法は使えないため、そうした者への対応(特別の有給とするか、会社都合の休業とするか)をする必要があります。

まとめ

今回の記事では、急遽、会社を休みにする場合についてみてきましたが、本来であれば、会社の年間カレンダーであらかじめ労働日と休日を定めておきたいところ。

なので、それが例え、労働者のための休みを目的にしていたといても、ここで見た方法は、できれば使わずに、労務管理の方をできるとより良いかと思います。

なお、休日については、以下の記事で詳しく解説しているのそちらもどうぞ。

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会社の休日は、急な対応で調整するよりも、年間カレンダーや就業規則であらかじめ設計しておく方がトラブルを防ぐことができます。

・年間休日をどう決めるか
・振替休日のルールをどうするか
・連休や会社独自の休日をどう設定するか

こうした点は、就業規則や労働時間制度と密接に関係します。

名古屋で就業規則の作成や見直しをご検討の場合は、社会保険労務士川嶋事務所までお気軽にご相談ください。

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この記事を書いた人

社会保険労務士川嶋事務所の代表。
「会社の成長にとって、社員の幸せが正義」をモットーに、就業規則で会社の土台を作り、人事制度で会社を元気にしていく、社労士兼コンサルタント。
就業規則作成のスペシャリストとして豊富な人事労務の経験を持つ一方、共著・改訂版含めて7冊の著書、新聞や専門誌などでの寄稿実績100件以上あり。

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