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労働法 労務管理

労働条件とは? 労働者への明示義務って? どうして「雇い入れ」は含まれない?

2018/02/21

今日は軽めのネタで行きます。

会社と労働者のあいだには労働契約を結ばれていますが、何のために結ぶかと言えば、それは「労働条件」について確認し、合意するためです。

では、「労働条件」とは何か、となると、賃金や労働時間、だけではなく、解雇、災害補償、安全衛生、寄宿舎等「職場における労働者の一切の待遇」を含むとされています(昭和63年3月14日基発150号等)。

なので、「会社で年に1回、社員旅行に行く」みたいなことも、実は労働条件に含まれることになります。

 

労働契約締結の際、労働者に明示しないといけないもの

こうした「労働条件」について、会社は労働契約締結の際、労働者に明示する義務があります。

具体的には、以下の通り。

絶対的明示事項

  1. 労働契約の期間
  2. 期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準(有期契約の場合のみ)
  3. 就業の場所、従事すべき業務
  4. 始業・終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇(育児・介護休業を含む)、労働者を2組以上に分けて交代で就業させる場合においては就業時転換
  5. 賃金(臨時の賃金等を除く)の決定、計算、支払の方法、賃金の締切り、支払い時期および昇給
  6. 退職(解雇の事由を含む)

相対的必要記載事項

  1. 退職手当(適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算、支払方法、支払時期)
  2. 臨時の賃金等(退職手当を除く)および最低賃金額
  3. 労働者に負担させる食費、作業用品等
  4. 安全および衛生
  5. 職業訓練
  6. 災害補償および業務外の傷病扶助
  7. 表彰および制裁
  8. 休職

絶対的明示事項と相対的明示事項の違いは、「絶対的」の場合は必ず記載が必要で、「相対的」の場合はそうした規則があるのであれば明示が必要となるものです。

例えば、退職手当に関する規定がなく支払いもしてない会社では、退職手当のことを明示する必要はないということです。

どう書いていいかわからない人は、厚生労働省が法令に則った労働条件通知書のモデルを出してるので参考にする、もしくは手直しして利用するのがいいでしょう。

労働条件通知書(一般労働者用;常用、有期雇用型)(リンク先PDF)

主要様式ダウンロードコーナー(厚生労働省のページ。上記の用紙のWord形式のものや、パートタイマー向けの労働条件通知書等も置いてあります)

 

「雇い入れ」は労働条件ではない

さて、労働条件のように思えて、実は労働条件ではないものもあります。

それが「雇い入れ」。

「労働条件」は労働関係存続中のみ有効のため、労働関係がまだ発生していない「雇い入れ」時の条件は、労働条件に含まれないのです(同じ理由で退職後の守秘義務等も「労働条件」には含まれません)。

よって、労働基準法3条では均等待遇として「国籍、信条又は社会的身分(性別は含まれていないが男女雇用機会均等法で禁止されている)」を理由とする差別を禁止していますが、雇い入れ時に関してはその範疇ではないということになります。

とはいえ、雇い入れ時であればどのような制限や差別でも認められるわけではなく、以下の通り、労働基準法以外法律で制限されている場合があるので注意が必要です。

  1. 性別:性別による募集・採用の差別は男女雇用機会均等法により禁止
  2. 年齢:募集・採用時に年齢制限をつけるのは、雇用対策法によって原則禁止。ただし、例外もあり
  3. 労働組合:労働組合を脱退することを理由に採用、あるいは採用後に労働組合に加入しないことを条件にすること(いわゆる黄犬契約)は禁止されています。一方で、労働組合員であることを理由に採用しないことは不当労働行為には当たらないとされています

上記の1.2.でいう差別とは「均等な機会を与えないこと」をいいます。

具体的には、求人段階で年齢制限を設けたり、性別を制限するのはダメということで、実際、ハローワークに求人する際、そうした制限をすることはできません。

一方で、均等な機会を与えた結果、性別や年齢に偏りがでるのは問題ありません。

 

以上です。

今日のあとがき

今回は、最近のブログの傾向からは趣向を変えて、かなり基礎的な内容にしてみました。

理由は、自分が開業6年目に入って、今一度、基礎をしっかり固めておこうと思ったから。

なので、今後も定期的にこうした記事を書くと思いますが、ただ、基礎的な内容を普通に書くと社労士試験の参考書みたいに(つまらないものに)なるので、読む人の役に立つよう、なるべく実務に即したものを書きたいと思っています。

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名古屋の社労士事務所、川嶋事務所の代表で、このブログの筆者。 新しいこと、もの、特にIT関連が大好きで、社労士としては会社・労働者のITトラブル対策・就業規則作成が得意分野。 2016年4月から9月まで中日新聞で「働く人を守る労働保険」を連載、開業社労士専門誌「SR」に寄稿するなど、メディアでの執筆活動も。