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新型コロナで休校した子を持つ労働者向け助成金の現時点での概要

2020年3月3日

すでにメディアでも大きなニュースとなっていますが、新型コロナで休校した子を持つ労働者に対する助成金の簡単な概要が出ています。

詳細はこれから詰めるとのことですが、現時点での情報をまとめておくことは助成金受給のための準備につながります。

今回は本助成金について現時点で出ている情報を簡単にまとめておきたいと思います(詳細が決まり次第、このブログでもお伝えします)。

新型コロナウイルス感染症に係る小学校等の臨時休業等に伴う保護者の休暇取得支援(新たな助成金制度)について(厚生労働省)

 

助成金の概要

今回の助成金は、政府の出した全国の学校の休校要請により、休校した学校の生徒を子を持つ労働者に対して、年次有給休暇と同等の休暇を取らせた事業主に対して支給されるものです。

支給を受けるのはあくまで会社である点に注意が必要です。

というのも、今回の助成金はメディアで大きく報道されたこともあり「子育てのために休んだら国が直接賃金を全額保証してもらえる」と勘違いしている労働者も少なくないとみられるからです。

支給を受けるのは会社なので、当然、会社が支給申請を行わない限り、助成金がもらえるということはありません。

 

年次有給休暇と同等の休暇

取得させる休暇は有給である必要がありますが、労働基準法上の年次有給休暇では駄目です。

年次有給休暇取得時と同じ賃金を払う別の休暇、わかりやすくいうと年次有給休暇の付与日数を消化しない、年次有給休暇を取得させる必要があるわけです。

 

助成金はおそらく(でも、ほぼ間違いなく)後払い

詳細な申請内容や支給方法はまだ不明ですが、他の助成金の例を踏まえると、助成金はほぼ間違いなく後払いになるはずです。

どういうことかというと、会社はまず年次有給休暇と同等の休暇を取得させ、その分の賃金を支払います。

そして、その後に助成金を請求。請求時には、休暇を取得させたことと賃金が支払われたことについて、賃金台帳とタイムカード等で証明が求められるはずです。

そして、無事、支給申請が通ると、有給として支払った賃金分が返ってくる、ということです。

 

助成金の対象となる労働者の子

次に、今回の助成金の対象となる「労働者の子」についてですが、

こちらは以下のようになる予定です。

① 新型コロナウイルス感染拡大防止策として、臨時休業した小学校等(※)に通う子

※小学校等:小学校、義務教育学校(小学校課程のみ)、特別支援学校(高校まで)、放課後児童クラブ、幼稚園、保育所、認定こども園等

② 風邪症状など新型コロナウイルスに感染したおそれのある、小学校等に通う子

 

今回の休校はあくまで政府の「要請」であり、法的な拘束力がないため、休校しない学校があることも踏まえて上記のような条件がついています。

助成金の申請の際は、その子の通う学校が実際に「休校していた」ことを証明する必要があるはずですが、その方法は今のところ不明です。

 

助成金の額

助成金の額は、休暇中に支払った賃金相当額の100%ですが、上限がある点に注意が必要です。

支給額:休暇中に支払った賃金相当額 × 10/10

※ 支給額は8,330円を日額上限とする。

※ 大企業、中小企業ともに同様。

 

助成金の対象となる期間

助成金の対象となる期間は以下のとおりです。

適用日:令和2年2月27日~3月31日の間に取得した休暇

 

財源

あまり、解説する必要のないことですが、今回の助成金は労働保険の保険料を財源としている(ただし、雇用保険の被保険者とならない短時間労働者の分は国庫より支出)ので、この助成金分のお金を「他のことに使え」という批判は的外れです。

労働保険の保険料は労災保険の給付や、雇用保険の給付のほか、雇用や労働に関する助成金についても使われることになっていますが、逆に言うと、それ以外の他のことには使えないからです。

 

まとめ

今回の助成金はメディアで大きく報道されたこともあり、支給について期待する労働者や勘違いしている労働者も少なくないと思われます。

そのため、会社が何もしないと、それだけで、不平不満のもとになりかねません。

まだ、助成金の詳細が決まっていないので難しい判断が迫られますが、会社として今回の問題にどう対応していくか、方針だけでも予め決め、労働者向けにアナウンスしておく必要があるでしょう。

 

追記:弁護士の向井蘭先生のTwitterより。

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  • この記事を書いた人

社会保険労務士 川嶋英明

社会保険労務士川嶋事務所の代表。「いい会社」を作るためのコンサルティングファーム「TNC」のメンバー。行動経済学会(幽霊)会員 社労士だった叔父の病気を機に猛勉強して社労士に。今は亡くなった叔父の跡を継ぎ、いつの間にか本まで出してます。 著書に「「働き方改革法」の実務」「定年後再雇用者の同一労働同一賃金と70歳雇用等への対応実務」「就業規則作成・書換のテクニック」(いずれも日本法令)のほか、「ビジネスガイド」「企業実務」などメディアでの執筆実績多数。

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