雇用保険制度

テーマは教育訓練給付金、「資格取得の経費補てん(働く人を守る労働保険第11回:中日新聞連載)」

2016年6月16日

 

「もう一度勉強したい」「専門的な技能を身に付けたい」と思うことはありませんか。雇用保険には資格取得のための教育費を一部支給する「教育訓練給付金」があります。スキルアップは個人的なものですが、雇用の安定という公益性につながるとして意欲的な人を応援しています。働いている人も失業中の人も利用できます。

この給付金は、受ける教育によって「一般」と「専門実践」に分かれています。支給条件は、希望する教育訓練が国の指定を受けていることが大原則。さらに雇用保険の加入期間が規定を満たしていることも必要です。

一般は英会話などが対象で、必要な加入期間は三年以上。給付額は経費の二割で上限十万円。専門実践は看護師や保育士といった国家資格などが対象です。必要な加入期間が十年以上と厳しいですが、補助額は費用の四割、上限は一年当たり三十二万円に増えます。

さらに給付金を使って資格などを無事取得できれば、補助割合は六割、上限は一年当たり四十八万円にアップ。失業中の場合は教育訓練修了から一年以内に就職すれば割り増し対象です。専門実践で給付を受けられるのは最長三年です。

過去に転職していても、会社を辞めてから再就職するまでが一年以内なら、以前の勤め先の加入期間を通算できます。

魅力的な制度ですが、就職してほどない若い人からすると三年や十年は長いと思うかもしれません。でも実はいま、条件となる加入期間は暫定的に短縮され、一般の場合は一年、専門実践は二年で大丈夫なんです。雇用保険財政に余裕があるためです。過去に給付金を受けた人は暫定措置の対象外ですが、意欲のある人は積極的に活用すべきです。

中日新聞H28.6.16付「働く人を守る労働保険」より転載

 

 

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  • この記事を書いた人

社会保険労務士 川嶋英明

社会保険労務士川嶋事務所の代表。「いい会社」を作るためのコンサルティングファーム「TNC」のメンバー。行動経済学会(幽霊)会員 社労士だった叔父の病気を機に猛勉強して社労士に。今は亡くなった叔父の跡を継ぎ、いつの間にか本まで出してます。 著書に「「働き方改革法」の実務」「定年後再雇用者の同一労働同一賃金と70歳雇用等への対応実務」「就業規則作成・書換のテクニック」(いずれも日本法令)のほか、「ビジネスガイド」「企業実務」などメディアでの執筆実績多数。

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