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派遣

派遣会社と平成28年10月からの社会保険の適用拡大の話

2017/02/02

昨日の続き、なのですが、早速以下の表を御覧ください

  1. 1週間の所定労働時間が20時間以上
  2. 月額賃金8.8万円以上(年収106万円以上)
  3. 1年以上継続して雇用される見込みがある
  4. 被保険者の数が501人以上の企業
  5. 学生でない

以上の1.~5.のすべてを満たす場合、その労働者は社会保険に加入しなければなりません。

 

今年の10月より、「被保険者の数が501人以上の企業」は「特定適用事業所」として、社会保険の加入条件が拡大されます。

これは派遣会社も派遣労働者も同じです。

ただし、「被保険者の数が501人以上」の企業が対象なので、登録型派遣がメインの人材派遣会社の場合「登録者数が501人以上」いたからといって「特定適用事業所」になるわけではありません。

社会保険に加入する(派遣期間が2カ月以上、所定労働時間が4分の3以上)派遣労働者の数と、派遣労働者でない他の労働者で社会保険の被保険者を合わせた数が501人を超える場合、特定適用事業所となるわけです。

例えば、「正社員100人、派遣登録者数500人の人材派遣会社」の場合、正社員100人全員が社会保険に加入しているとすると、実際に派遣されていて、社会保険に加入している派遣労働者の数が400人以下なら特定適用事業所とはならないし、401人以上なら特定適用事業所となるわけです。

 

派遣元の企業規模がカギ

このように、社会保険の加入条件が、これまでどおり「通常労働者の4分の3」を基準とするか、「月額8.8万円(106万円の壁)」に代表される新基準が適用されるかは、派遣元の規模によります。

社会保険の加入条件は派遣元(人材派遣会社)によって決まるわけです。

よって、いくら派遣先がTOYOTAやSONYのように大手であっても、派遣元の会社が500人以下の会社であれば、これまでどおり「通常労働者の4分の3」が社会保険の加入条件となります。

逆に、500人以下の中小企業が派遣先となる場合でも、特定適用事業所となる大手人材派遣会社から派遣される場合、派遣労働者には新基準の方が適用されるわけです。

 

派遣期間にも注意

さて、労働者視点で見た場合、短時間勤務でも社会保険に入りたい場合、新基準が適用される大きな派遣会社に入ったほうがいいのでしょうか? あるいは、社会保険に入りたくないから、中小規模の派遣会社に入るのがいいのでしょうか?

「労働時間」の条件だけを見ればそうかもしれません。

しかし、労働時間以外にもう一つ考えないといけないのが、契約期間です。

昨日も述べたとおり、有期契約で社会保険に加入する場合、「2カ月以上(※)」の契約見込みが必要です。

一方、平成28年10月の「新基準」では、「1年以上」の見込みが必要となります。

「見込み」なので実際に1年以上の契約期間(派遣期間)が必要なわけではないし、派遣の場合、派遣と派遣の空白期間が一ヶ月以内であれば、契約期間として通算します。

ただ、社会保険に加入したい場合、あるいはしたくない場合の派遣会社選びとして、労働時間だけでなく派遣期間についても念頭に置いておく必要があるわけです。

※季節的業務の場合は4カ月、臨時的業務の場合は6カ月

 

以上となります。

とにもかくにも、派遣元の規模で派遣労働者の社会保険の加入要件は変わる、というのが今回の要点です。

人材派遣会社からすると、上記の例のように、規模がちょうど500人前後の人材派遣会社の場合、派遣労働者の数のコントロールに苦労するかもしれませんね。

ただ、一度501人以上となり特定適用事業所となれば、以後、500人以下になっても労働者の同意なく特定適用事業所でなくなることはできないので、501人以上となった段階で「特定適用事業所該当届」を出すのも手かもしれませんが。

平成28年10月から501人以上の会社は社会保険上の「特定適用事業所」となります

個人的には、今回の社会保険の適用拡大で、26業務が廃止され3年の縛りが明確化されたことに加え、大手では1年の雇用見込みが必要、ということで、派遣労働者の社会保険への加入がやや難しくなったのでは、と思います(空白期間にしたって、派遣会社がコントロールできるし)。

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名古屋の社労士事務所、川嶋事務所の代表で、このブログの筆者。 新しいこと、もの、特にIT関連が大好きで、社労士としては会社・労働者のITトラブル対策・就業規則作成が得意分野。 2016年4月から9月まで中日新聞で「働く人を守る労働保険」を連載、開業社労士専門誌「SR」に寄稿するなど、メディアでの執筆活動も。