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「休職トラブル」を防ぐために—就業規則で防ぐ3つの見直しポイント【名古屋の社労士が解説】

「突然、社員が会社に来なくなったが、休職制度を適用していいかわからない」

「長期休職の社員をどう扱えばいいのか分からない」

近年、名古屋市近郊の中小企業からこのような相談が増えています。

こうしたトラブルを避けるため、重要となるのが就業規則の「休職規定」です。

本記事では、弊所で実際にあった相談事例をもとに、休職規定の見直し方や、ポイントとなる部分を解説していきます。

 

1. 「休職トラブル」3つのポイント

経営者を悩ませる休職トラブルですが、実はトラブルに発展しやすいポイントは以下の3つに絞られます。

  1. 休職期間が長すぎる
  2. 復職時の判断基準が不明瞭
  3. 休職期間満了時の取扱い

 

1.1. 休職期間が長すぎる

就業規則の中には、休職期間を「6か月」「1年」としているものがあります。

しかし、6か月や1年という期間は、中小企業には長すぎることがほとんどです。

それでも、「最長」1年などのように、会社が柔軟に期間を決められるようにしてあればいいのですが、単に6か月や1年としているとこうした対応も困難となります。

そもそも、休職期間の長さについては、法律上定めのない部分となります。そのため、1か月や3か月など、会社にとって無理のない期間を定めるべきといえるでしょう。

(規定例)

休職期間は次の期間を限度とし会社が定める。
① 私傷病休職 3か月

 

1.2. 復職時の判断基準が不明瞭

復職にあたって重要となるのが、主治医の診断書ですが、これだけでは不十分な場合があります。

というのも、主治医はどうしても患者さんである労働者に忖度しがちだからです。

つまり、患者の意を汲んで、本来、復職が難しいにもかかわらず、復職可能と診断してくる場合があるわけです。

こうしたことを避けるには、産業医など、会社側に立って診断をしてくれる医師の診断を受けられるようにしておいた方がよいでしょう。

したがって、就業規則には以下のような定めを行っておくのが望ましいといえます。

(規定例)

復職の可否を判断するに当たって、会社が必要と判断した場合、会社は従業員に対し、会社の指定する医師への受診を行わせることがある。

 

1.3. 休職期間満了時の取扱い

休職期間が満了した場合、自然退職扱いとするのが一般的です。

実際、「休職期間が終わっても復職できない場合は退職とする」と明文化している就業規則がほとんどだと思いますが、そうした定めがない場合はきちんと定めを行うべきです。

ただ、休職期間満了による退職は、例え、就業規則に定めがあったとしても揉めやすい部分です。

そのため、上でみた復職の可否きちんと判断し、仮に自然退職扱いとする場合でも、最大限相手のことを慮ることが、トラブルを予防する上で重要となります。

(規定例)

休職期間を満了しても復職できない場合、休職期間満了日をもって自然退職とする。

 

2. 実際にあったトラブル事例(名古屋市・製造業)

【事例】

従業員がメンタルの疾患を抱え休職と復職を繰り返す。

しかし、休職期間が1年と長すぎたため、退職させることができない状態に(その間、社会保険料の負担は会社が立て替え→結局、払ってもらえず)。

最終的には休職期間満了前に、本人から退職の申出があったが、社長も「これが休職期間満了まで続いていたらゾッとした」とおっしゃっていました。

その後、この経験を活かし、期間を1年から3か月に変更。

 

3. 貴社の「休職規定」はこのような状態になっていませんか?

  • 休職期間の上限があいまい

  • 復職判断の基準が定められていない

  • 休職期間満了後の扱いを明文化していない

  • 実際に復職判断で揉めたことがある

3つ以上該当する場合、就業規則の見直しで防げるトラブルが潜んでいる可能性があります。

是非とも、以下より、弊所にお問い合わせください!

 

川嶋事務所へのお問い合わせはこちらから!

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  • この記事を書いた人

社会保険労務士 川嶋英明

社会保険労務士川嶋事務所の代表。「いい会社」を作るためのコンサルティングファーム「TNC」のメンバー。行動経済学会(幽霊)会員 社労士だった叔父の病気を機に猛勉強して社労士に。今は亡くなった叔父の跡を継ぎ、いつの間にか本まで出してます。 著書に「「働き方改革法」の実務」「定年後再雇用者の同一労働同一賃金と70歳雇用等への対応実務」「就業規則作成・書換のテクニック」(いずれも日本法令)のほか、「ビジネスガイド」「企業実務」などメディアでの執筆実績多数。

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