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会社がビジネスでYouTubeを利用する際の人事労務上のセオリーとリスクとは?

2016年3月27日

昨日の話と関連して、

AppBankブラック企業説から見る、ブラック企業という言葉のとんでもない懐の深さ

会社がYouTubeやニコニコ動画などのネット動画をビジネスに活用しようとする際に気を付けないといけないことに関して、簡単に。そう、日曜日は土曜日以上に軽めに行きたい現在午後9時

YouTubeの動画などを上げるのをSEOのためのバックリンク目的と考えず(効果あるか不明だけど)、きちんと広告として利用しようと考えるなら、一定の再生数がないとダメです。

で、YouTubeで再生数を稼ぐにはチャンネル登録(お気に入り登録みたいなもの)してもらうのが一番の近道です。YouTubeでチャンネル登録をするというのは、そのチャンネルが動画を上げたらすぐ見たい、見逃したくないということだからです。逆に言うと、別にそうでもないチャンネルに関してはチャンネル登録はしません。

 

YouTuberとその視聴者の関係はCtoC

間違えてはいけないのはYouTubeというのは基本的にCtoCの世界です。つまり、動画を上げる人と見る人の個人対個人の関係。よって、はっきり言ってしまえば、ある人がそのチャンネルに登録するかどうかは、そのチャンネルに出ている人による場合がほとんど。。

そのチャンネルに出ている人が好きだから、そのチャンネルに出ている人がやってることが面白いから、チャンネル登録する、というのが基本。

実は、YouTubeに宣伝目的で公式チャンネルを開設している大企業は多くありますが、その抜群の知名度にもかかわらずたいていは、チャンネル登録者数がそれほど多くないのが実情。

例えば、ゲーム会社の任天堂も公式チャンネルを開設していますが、その登録者数は現在約25万人。これは、昨日の記事で出てきたコスケ氏のチャンネル登録者数(約38万人)よりも少なかったりします。

どうしても企業が主体となってやるとテレビCMや新製品発表会の様子といった、あからさまな宣伝になりがちだし、個人のチャンネルの様に特定の誰かがフィーチャーされた動画にもなりにくい。その結果、見る人が動画内に感情移入できる相手を見つけられず「人につかない」わけです。

 

会社の宣伝に最も効果的なのは出演者がYouTuberになること

それでも、大企業はその知名度だけで何万といったチャンネル登録者数を稼ぐこともできますが、一般的にほとんど知名度のない中小企業の場合、たとえ開設したとしても、単なる宣伝みたいな動画を垂れ流しているだけではチャンネル登録する人はまずいません。

なので、やるなら、会社の社長なり、宣伝担当者なりが人気YouTuberになるつもりでないといけない。

知らない会社の宣伝目的の動画なんて誰も見ないので、初めは一般の人でも興味が引く内容を軸に、動画を毎日上げないといけない。そうして、ある程度YouTuberとしての人気が出てくればようやく、宣伝目的の動画でも、その人目的で見る人が現れるわけです。

そんなにうまくいくわけないよ、と思う方もいるかももしれませんが、上記のような方法で実際に人気YouTuberとなって、自身の企業の知名度を飛躍的に高めたのが、昨日からこのブログでおなじみマックスむらい氏なのです。

 

独立のリスクは常にある

ただ、マックスむらい氏の場合は動画を始めたときは会社の社長、現在も取締役という、責任ある立場なので、人気が出たからといって、会社を辞めるということは今までなかったし、今後もないでしょう。

しかし、AppBank内で社員としてYouTuberをやっていたコスケ氏のように、会社の社員としてYouTuberをやっている場合、ある程度人気が出てくると、会社を辞める可能性がある、ということを頭に入れておかなければならない。YouTubeやそれ以外のイベント等である程度稼げる見込みがあれば、動画を撮って上げるくらい自宅からでもできるわけですからね。

つまり、会社の社長や役員が自ら動画をやるならまだしも、社員に任せて、仮にその社員がYouTuberとして人気者になった場合、独立される恐れがあるわけです。

実際、コスケ氏以外でAppBankを辞めた社員の中にも、YouTuberなどで人気を得ている人もいるし、AppBank以外の会社でも、その会社の動画に出ながら、個人のチャンネルを立ち上げて動画を上げたりしている人もいます。

 

動画活動で企業が考えるべきこと

もちろん、YouTubeなどで人気を得ること自体そもそもとても大変なことで、企業活動の片手間レベルで動画をやっても絶対に成功しないので、こうした悩みを抱える前に動画活動自体を辞めてしまうことがほとんどだとは思いますが、もしも、YouTubeを会社として活かしたいと思うなら、出演者をどうするか、出演者の待遇をどうするか、というのはきちんと考えておいて損はないでしょう。

あっ、あと、人気YouTuberがやっているような「○○やってみた」みたいな企画やっても、喜ぶのは子供だけなので基本意味なし。なんでもそうですが、自分の会社にとってのお客さんの視点に立ったものでないと意味がないわけです。

同じように、YouTubeで成功している人にゲームの実況動画を上げている人が多いからといって、本業と関連がないのにそういう動画を上げても意味ないと思います。

企画ものとゲーム実況動画を一生懸命上げて、結果、チャンネル登録者数が1万人とか超えても、そのほとんどが小中学生じゃ、ほとんどの会社は商売にならないでしょう?

わたしの趣味がゲームなのにもかかわらず、このブログでゲームのことを書かないのもこうした理由からです。

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  • この記事を書いた人

社会保険労務士 川嶋英明

社会保険労務士川嶋事務所の代表。「いい会社」を作るためのコンサルティングファーム「TNC」のメンバー。行動経済学会(幽霊)会員 社労士だった叔父の病気を機に猛勉強して社労士に。今は亡くなった叔父の跡を継ぎ、いつの間にか本まで出してます。 著書に「「働き方改革法」の実務」「定年後再雇用者の同一労働同一賃金と70歳雇用等への対応実務」「就業規則作成・書換のテクニック」(いずれも日本法令)のほか、「ビジネスガイド」「企業実務」などメディアでの執筆実績多数。

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