時事のよもやま話

AppBankブラック企業説から見る、ブラック企業という言葉のとんでもない懐の深さ

2016年3月26日

土曜日は軽め、繰り返す土曜日は軽め!

ていうか、軽めにやらないと、土曜日中の更新が難しい現在午後の10時過ぎ!

でね、わたくし、実は、3歳の時にうちの事務所の先代に当たるわたしの叔父がスーパーマリオブラザーズ3をやっているのを傍らで食い入るように見て育って以来の、根っからのゲーマーです。ちなみに、わたしが覚えている、叔父についての一番古い記憶がそれだったりする(笑)。

(このブログやTwitter・Facebookではほとんどゲームのことに触れませんが、最近アカウントを作ったインスタグラムの方ではたまにゲームのスクショとか上げたりしてます)

で、やるのも好きなら、人がやってるのを見るのも好きということで、近年娯楽として定着しつつあるゲームの実況動画もよく見ます。というか、ゲームやりながらゲームの実況動画をBGMに流してます。

 

マックスむらいとAppBank

で、このゲーム実況動画の世界で知らない人はいないともいえるのが、マックスむらい氏

彼が所属する、というより彼が高校時代の親友の宮下泰明氏と立ち上げたのがAppBankという会社で、マックスむらい氏はゲーム実況動画をやり始めた当初は社長として(現在は平の取締役)自身のYouTubeチャンネルやニコニコ動画に出演しており、他のYouTuberたちとは一線を画していました。

で、マックスむらい氏が人気になるにつれて、目に見えて(動画は基本的に社内で撮影されているので、社員の数が増えたり、事務所が大きくなるのが動画を通してわかる)会社が大きくなっていくのを感心しながら、わたしなんかは毎日の動画を見ていたのですが、人気が出て有名になると、やっかみや批判も増えるのがネットの世界でもあります。

で、やっぱりというかなんというか、ネットの匿名の世界の中にはこのAppbankおよびそのグループ会社を「ブラック企業」と呼ぶ人もいるようです。

 

ブラック企業に定義はない

そもそもの話を先にしておくと、ブラック企業という言葉に定義はありません。労働基準法などの労働法に違反している企業のことをブラック企業と呼ぶのが比較的一般的な解釈ですが、定義がないので、ブラック企業という言葉は、世に浸透して以来、拡大解釈されっぱなし、というのが現状。

なので、コンプライアンスがすごくしっかりしている企業でも、その人にとって気に入らない企業ならばブラック企業になり得るわけで、それが今回の記事の主題。

 

AppBankが労働法上のコンプライアンスがどうなっているかは、部外者たるわたしにはわかりませんし、知る由もありません。はたから見ると、長時間労働に見えても、裁量労働だったり変形労働時間だったりするかもしれないし、それが36協定内に収まっていて、きちんと時間外手当を支払っていれば法律上問題ないからです。だから、わからない。

わからないので、疑わしきは罰せず、以下ではAppBankが労働関係のコンプライアンスをきちんとしていることを前提に記事を書きます

ただ、最近、AppBankがネット上でブラック企業と呼ばれている理由があまりにも稚拙だなあ、と思ったので今回記事を書こうと思ったのです。やばい、軽めとか言って、もう1000字超えてる…。

 

 

AppBankを辞めた2人の社員

AppBankでは最近、マックスむらい氏の動画にもよく出ていたスプリングまお氏とコスケ氏という、社員の方2人がやめました。どちらも、マックスむらい氏の動画では欠かすことのできない存在だったと言っていいくらいでした。

実は、過去にもマックスむらい氏の動画によく出ていた社員さんがAppBankをやめる、ということは割とあったのですが、それらもひっくるめて、彼らが会社を辞めたのはAppBankがブラック企業だからだ、という話がネット上たびたび出ているようなのです。

確かに、一般的には離職率の高い職場、というのもブラック企業の条件に入るようですが、社員が会社を辞める理由が必ずしも労働条件が悪いから、以外にないのかと言えば、そんなことはない。

 

それぞれの退職理由

例えば、スプリングまお氏の場合、AppBankを辞めて、あのDeNAに入っています。

これって、つまり、引き抜きってことでしょ? よって、はっきり言ってしまえば、AppBankの労働条件よりもDeNAの方が良すぎた、と考えるのが普通なんじゃないですかね? サッカーでいえば2部や1部の下位チームから1部のトップチームに移籍するようなもの。じゃあ、2部や1部の下位チームが「ブラックなチーム」かといえばそんなわけない。

一方のコスケ氏の場合はYouTuber、ネットタレントとして会社に縛られずフリーとしてやっていきたいというのが、その退職の理由

…、これはこれでただの独立じゃん。じゃあ、あれかテレビ局の女子アナは、テレビ局がブラックだから辞めるのか?

コスケ氏はそもそも、現在AppBankに何人もいる、会社の雇われYouTuberの先駆けとしてAppBankに入社した経緯があります。ただ、YouTuberって他のYouTuberを見ればわかる通り、基本的には個人でやるものだし、やれちゃうもの。ある程度人気があれば、わざわざ会社に縛られる必要もないので、そりゃあ独立も考えるでしょうよ。

だいたい、コスケ氏ってフリーになった今も、AppBankが主催のニコニコ生放送に出てるし。

 

引き抜きや独立は会社のせいなのか

なんだか、期せずして、わたしが結構AppBankに詳しいことを晒すブログ記事になっていますが、別にAppBankを擁護する意図は全然ないです。上場が決まるまで元役員の横領のこと隠してた(っぽい)件なんて、かなりアウトだと思うし、リワード広告で問題になった時の対応も結構お粗末だった。

ただ、そうした話とは別に、動画見てるとわかりますけど、AppBankって、会社だけでなくそこで働く人たちもかなり若いわけですよ。辞めたスプリングまお氏は30代前半だし、コスケ氏に至っては20代半ば。

なので、そういった人たちが次の目標をもって他で自分の力を試したくなる、っていうのは別にわからないわけでもない、というか普通のことだと思うんですよ。実力がある人ならなおさらです。

そうした。正直会社がどうにもしようのない退職を捕まえて、短絡的にブラック企業である理由とするのはなんというか腑に落ちないなあ、と思うと同時に、そんなめちゃくちゃな理由でも「ブラック企業」と言えてしまう、この言葉の懐のでかすぎさに、正直嫌気がさす今日この頃。で、そのうっぷん晴らしに記事を書いたら、2500字も書いてしまいましたとさ、でも、ぎりぎり土曜日内に更新できてめでたしめでたし(日本昔話風に)。

マックスむらい、村井智建を語る。

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  • この記事を書いた人

社会保険労務士 川嶋英明

社会保険労務士川嶋事務所の代表。「いい会社」を作るためのコンサルティングファーム「TNC」のメンバー。行動経済学会(幽霊)会員 社労士だった叔父の病気を機に猛勉強して社労士に。今は亡くなった叔父の跡を継ぎ、いつの間にか本まで出してます。 3冊の著書のほか「ビジネスガイド」「企業実務」などメディアでの執筆実績多数。

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