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年金

高齢者向け給付金(年金生活者等支援臨時福祉給付金)の胡散臭い支給目的

今年の夏の選挙を睨んだ高齢者への賄賂との批判も大きい高齢者向け給付金(年金生活者等支援臨時福祉給付金)。

わたし、あまり年金手続きとかしない社労士なので(やらないわけではないけど、最近は年金機構が非常に親切なので、社労士の出る幕がなくなってきている)、正直注目していなかったのですが、高齢者向け給付金のサイトで、この給付金の支給目的見たらびっくりしました。

高齢者向け給付金(年金生活者等支援臨時福祉給付金)は、賃金引上げの恩恵が及びにくい所得の少ない高齢者の方を支援するために実施するものです。

【制度の趣旨】

  • 「一億総活躍社会」の実現に向け、賃金引上げの恩恵が及びにくい所得の少ない高齢者の方への支援
  • 高齢者世帯の所得全体の底上
  • 平成28年前半の個人消費の下支え

厚生労働省 確認じゃ! 高齢者向け給付金

赤字はわたしによりますが、…賃金引き上げの恩恵ってなに?

実質賃金

ご覧のとおり、実質賃金は下がってるし…。

 

年金額は物価や賃金と連動する

もちろん、アベノミクス下で名目賃金自体は上がっております。しかし、もともとアベノミクスはインフレ、つまり、物価を上げることを政策の主な目的としています。

なので、物価の変動を計算に含めない名目賃金が上がるのはある意味当たり前

その一方で、物価の変動を含めて考える実質賃金が下がっているということは、物価の上昇に比べて、賃金の上昇が追いついていない証拠

年金ではスライドと言って、物価や賃金の変動によって年金額が変動するシステムが法律で内蔵されています。

よって、わざわざ支給金という形で配分しなくても、物価や賃金の上昇分、年金額が増えるのだから、デフレ下で賃金が上がっているなんて奇妙な状況ならまだしも、インフレ政策中に「賃金引上げの恩恵が及びにくい」なんてことはありません。

(マクロ経済スライドが発動しているので、物価や賃金の上昇と合わせて青天井に年金額が増える、ということはないけど)

にも関わらず、高齢者に支給金を給付するって、そりゃあ誰が見たって選挙対策だと思うわけです。

 

高齢者向け給付金は年金生活者支援給付金の前倒し的位置づけ

今回の給付金対象者は平成27年度分の住民税が課税されていないことが支給要件なので、無年金者にも支給されます。

なので、わたしの批判はちょっと的はずれに思えるかもしれませんが、実際には、今回の支給金、平成29年度から実施される年金生活者支援給付金の前倒し的位置づけであることを考えるとやっぱり不可解。

参考:「年金生活者等支援臨時福祉給付金」の実施について (リンク先PDF)

 

悪法もまた法なり…

で、今回の高齢者向け給付金が年金生活者支援給付金の前倒しってことは、社労士としても決して他人事ではないわけです。

年金生活者支援給付金の根拠法である「年金生活者支援給付金の支給に関する法律」は社労士の関与する法律なので。

 (社会保険労務士法の一部改正)

第十八条 社会保険労務士法(昭和四十三年法律第八十九号)の一部を次のように改正する。

別表第一第二十六号の次に次の一号を加える。

二十六の二 年金生活者支援給付金の支給に関する法律(平成二十四年法律第▼▼▼号)

法律第百二号(平二四・一一・二六) ◎年金生活者支援給付金の支給に関する法律

でも、このような国民、特に若い人の信頼を失うような政策を行われると、こうした法律でも、その通り粛々と業務を行わなければならないわけですから、社労士の名誉に関わるわけです。どう名誉に関わるか、を書いちゃうと、今度は年金批判になってしまって、職業倫理条の問題がでてくるのでもどかしいですが、とりあえず、悪法もまた法なり。

法律通りに業務を行う社労士を恨まないでくださいね、というのがわたしの偽らざるホンネです。

ふー、それにしても、統計情報もろくに読めないことがまるわかりのこんな支給目的、良くも恥ずかしくもなく出せたな厚労省!

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名古屋の社労士事務所、川嶋事務所の代表で、このブログの筆者。 新しいこと、もの、特にIT関連が大好きで、社労士としては会社・労働者のITトラブル対策・就業規則作成が得意分野。 2016年4月から9月まで中日新聞で「働く人を守る労働保険」を連載、開業社労士専門誌「SR」に寄稿するなど、メディアでの執筆活動も。