労災保険制度

Q8 労災保険の保険料を労働者に支払わせることは可能ですか

2015年10月15日

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Q8 労災保険の保険料を労働者に支払わせることは可能ですか

2015年10月15日

A8 できません。労災保険料は全額、使用者負担となります

労災保険は会社(事業場)が加入する保険

よく勘違いされるのですが、労災保険は、健康保険や雇用保険のように労働者1人1人が被保険者となる保険ではありません。

会社が加入する保険となっています。

そのため、社会保険料や雇用保険料のように、労働者の給与から労災保険料を徴収することは違法となります。

 

労災から給付が出ると、労働基準法の災害補償の義務の多くが免除される

では、どうして労災保険は労働者ではなく会社を対象とする保険となっているのでしょうか。

それは労働基準法の第75条~第80条に記載されている「災害補償」という項目を見るとわかります。

労働基準法の第75条~第80条には、労働者が業務上負傷しまたは疾病にかかった場合に対して、会社が労働者に対してすべき補償内容が記述されています。例えば労働基準法によると、業務上の怪我により休業せざるをえない場合、会社は労働者に対して平均賃金の100分の60を休業補償として支払わなければなりません。

しかし、実際に労働者に「休業補償」を支払う会社はほとんどありません。

なぜなら、業務上の怪我により休業せざるをえない場合、労災保険に加入していれば、「休業補償給付」として給付基礎日額(平均賃金とほぼ同じと考えてください)の100分の60が、労災保険から支払われるからです。

つまり、労災保険は労働者を保護する保険であると同時に、会社が労働者に対して補償しなければならない分を会社に変わって補償してくれる、会社のための保険でもあるのです。

そのため、自分の生命保険の保険料を赤の他人に支払わせることができないように、労災保険の保険料を労働者に支払わせることはできません。

 

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  • この記事を書いた人

社会保険労務士 川嶋英明

社会保険労務士川嶋事務所の代表。「いい会社」を作るためのコンサルティングファーム「TNC」のメンバー。行動経済学会(幽霊)会員 社労士だった叔父の病気を機に猛勉強して社労士に。今は亡くなった叔父の跡を継ぎ、いつの間にか本まで出してます。 著書に「「働き方改革法」の実務」「定年後再雇用者の同一労働同一賃金と70歳雇用等への対応実務」「就業規則作成・書換のテクニック」(いずれも日本法令)のほか、「ビジネスガイド」「企業実務」などメディアでの執筆実績多数。

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