就業規則

就業規則で社員のギャンブルや風俗を禁止し懲戒できるか

2016年2月22日

ギャンブルや風俗と言った趣味は、世間的にはあまり良いものとは思われていません。

では、会社として、自社の社員がギャンブルや風俗をやることを就業規則などで禁止することはできるのでしょうか。

 

労働者のプライベートに干渉することはできない

結論から言うと、そうした趣味そのものを禁止することは無理です。

例え、「休日でもギャンブルや風俗に行ったら解雇」と記載しても、不当解雇で訴えられたら勝ち目はないと思います。

なぜなら、会社は就業中の労働者を管理・監督することはできても、労働者のプライベートまで干渉することはできないからです。

判例では、私生活上の合法的な趣味どころか、私生活上の軽犯罪レベルであれば、それを理由とした会社の懲戒処分は無効とするものがいくつもあります。

 

趣味そのものを規制することは難しいが…

とはいえ、ギャンブルや風俗といった趣味をやってほしくない、という会社側の気持ちというのはよくわかるんですよ。

どうしても、そういった趣味の場合、お金が非常にかかるので金銭的なトラブルに発展したり、あるいは裏に反社会的な組織がいて、そういった関係者と仲良くなってしまったりする可能性がある。

しかし、違法薬物とかやってる場合はべつですが、趣味そのものが合法である場合、会社としてそれを禁止できません。

 

趣味から派生しうるトラブルを規則で制限する

では、上記のようなトラブルに対して対策を取ることはできないのかといえば、そういうわけではありません。

合法的な趣味を禁止することはできなくても、そこから派生するトラブルに対して懲戒処分を与えることはできるからです。

例えば、金銭トラブルについては、あらかじめ賃金規定等に、会社は前借り・前渡しはしないと定めておく。

また、社員の私的行為で業務が妨げられた場合に、懲戒処分とするよう定めておけば、借金取りの電話が会社にかかってきた際にも、当該社員を懲戒処分できます。

また、反社会的な組織とのつながりについても、つながりが確認できた時点で解雇できるよう就業規則に定めておいたり、絶対につながりを持たないよう誓約書を書かせることはできます。

このように、合法ではあるけれど、経営者や会社全体としてあまり好ましくない私生活上の行為については、そこから派生しうる、会社に被害が及びそうなトラブルに対して規則を定める方法が有効です。

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  • この記事を書いた人

社会保険労務士 川嶋英明

社会保険労務士川嶋事務所の代表。「いい会社」を作るためのコンサルティングファーム「TNC」のメンバー。行動経済学会(幽霊)会員 社労士だった叔父の病気を機に猛勉強して社労士に。今は亡くなった叔父の跡を継ぎ、いつの間にか本まで出してます。 著書に「「働き方改革法」の実務」「定年後再雇用者の同一労働同一賃金と70歳雇用等への対応実務」「就業規則作成・書換のテクニック」(いずれも日本法令)のほか、「ビジネスガイド」「企業実務」などメディアでの執筆実績多数。

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