1. A5 雇用形態にかかわらず適用は可能ですが、派遣社員の場合、気をつける点もあります
1.1. 雇用形態にかかわらず変形労働時間制は適用可能
変形労働時間制は雇用形態によって適用できる、適用できない、というものではありません。
よって、パートやアルバイト、契約社員や嘱託社員の場合でも変形労働時間制は適用できます。
ただ、パートやアルバイトの場合、そもそも所定労働時間が通常の労働者よりも短かったり、働き方がシフト制だったりして、活用しなくても問題ない、ということも少なくありません。
1.2. 派遣社員に変形労働時間制を適用する場合の注意点
派遣社員の場合も適用することはできますが、注意する点があります。
派遣社員が変形労働時間制を利用する場合、労使協定の締結や監督署への提出は、派遣先の企業ではなく、派遣元の企業となります。
派遣元に責任:36協定の提出、1年単位の変形労働時間制の届出、時間外手当の支払い
派遣先に責任:労働時間、休憩等の管理:
そのため、派遣先の企業で変形労働時間制を利用していたとしても、派遣元で変形労働時間制を利用していない場合、派遣労働者は変形労働時間制ではなく通常の法定労動時間で業務を行い残業代計算等を行う必要があります。
例えば、派遣先は隔週土曜が出勤日だけども、1年単位の変形労働時間制を利用しているので、1日の所定労働時間については残業代は発生しない、という場合でも、派遣元で派遣先に合わせた1年単位の変形労働時間を利用していないと、この土曜日は残業代が発生する可能性があるわけです。
よって、派遣先が多数ある派遣会社の場合、変形労働時間制の適用は現実的とは言えないかもしれません。
ただし、派遣先がある程度決まっている労働者に絞って、その派遣先に合わせた変形労働時間制の採用をすることは十分可能です。