家族従業者と労働基準法や労災・雇用・社会保険の関係

形はどうあれ会社に社長の家族が関わっている、ということは珍しくありません。

社長の奥さんが経理をやっていたり、社長の兄妹が労働者と働いている、あるいは子どもが新入社員として入ってきたりなど。

このように「家族」が会社に関わるとき、労働法や各種公的保険の扱いはどのようになるのでしょうか。

今回はその解説。

目次

労働基準法と家族従業者

「同居の親族のみを使用する事業」はそもそも労働基準法の適用除外

まずは家族は労働基準法の対象となるのかについて。

労働基準法には以下のような規定があります。

第百十六条 2 この法律は、同居の親族のみを使用する事業及び家事使用人については、適用しない。

ここでいう「同居」とは単に一緒に住んでいるだけでなく、生計を同一にしている場合を言います。

また、「親族」とは「6親等内の血族、配偶者および3親等内の姻族」という、民法上の親族を言います。

よって、「同居の親族のみ」のいわゆる家族経営の会社で働く家族というのは、そもそも労働基準法自体の適用を受けることはありません。

「同居の親族のみを使用する事業」に家族以外の労働者が加わったら?

では、「同居の親族のみ」のいわゆる家族経営の会社に1人でも家族でない労働者が加わったらどうでしょうか。

当然、その会社は労働基準法の適用を受けることになります。

ただ、仮にそうなったとしても「同居の親族」が即労働者になるかというと、話は別です。

労働者性の有無が重要

というのも、労働者とは「労働者性」があって初めて労働者となるからです。

よって、「同居の親族」に「労働者性」がなければ、結局、その同居の親族は労働者扱いにはなりません。

では、「同居の親族」に「労働者性」が認められる条件とはどのようなものでしょうか。

S54.4.2基発153号という通達では、以下のようにその条件を示しています。

  1. 業務を行なうにつき、事業主の指揮命令に従っていることが明確であること
  2. 就労の実態が当該事業場における他の労働者と同様であり、賃金もこれに応じて支払われていること。特に、始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇等及び賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期等について、就業規則その他これに準ずるものに定めるところにより、その管理が他の労働者と同様になされていること

つまり、事業主の指揮命令下にあり、就労の実態が他の労働者と同じで、賃金等の労働条件も同様となっていることがその条件ということです。

各種公的保険と家族従業者の関係

それでは「同居の親族のみを使用する事業」における労災保険や雇用保険、社会保険はどうなるのでしょうか。

労働保険(労災保険・雇用保険)

まず、「同居の親族のみを使用する事業」の場合、「労働者」がいないため、そもそも会社が労災保険の加入や、雇用保険の設置をすることができません。

もちろん、同居の親族以外の労働者がいる場合、会社として労災保険への加入が必須です。

また、雇用保険についても同様に、会社として設置する必要があるほか、その同居の親族の働き方が「労働者と認められる場合」であれば、その同居の親族は雇用保険に加入可能です。

社会保険

社会保険については、個人事業主の場合と法人の場合とで変わってきます。

個人事業主の場合、同居の親族は通常「事業所に使用される者」に該当しないため、被保険者にはなりません。しかし、労働者性が認められる場合は加入可能となります。

一方、法人の場合については「同居の親族」を適用除外とする定めが法令にないため、加入可能です。

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この記事を書いた人

名古屋の社労士事務所、社会保険労務士川嶋事務所の代表。
「会社の成長にとって、社員の幸せが正義」をモットーに、就業規則で会社の土台を作り、人事制度で会社を元気にしていく、社労士兼コンサルタント。
就業規則作成のスペシャリストとして、名古屋市内・近郊の中小企業をサポートする一方で、共著・改訂版含めて8冊の著書、新聞や専門誌などでの寄稿実績100件以上あり。

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